タレンタイム@東京国際映画祭
う、人生で必要な知恵は宝塚以外からも学んでいるのだ。
ということで、久しぶりの「アジア映画」。
もう閉幕してしまいましたが、第22回東京国際映画祭より。
「タレンタイム」(2009年 マレーシア)
監督:ヤスミン・アフマド
東京国際映画祭サイトの解説はこちら
「タレンタイム」は、今年の7月に急死したヤスミン・アフマド監督の最後の長編。
民族を超える愛、赦し、愛する人の死など、
今までのヤスミン・アフマド作品のテーマが全部入っている感じ。
(……と言いつつ、実は私「タレンタイム」を含め3作しか見ていないけど……)
中でも、一人息子を残し死んでゆく母親(この女優が肝っ玉母さん系でいい!)のエピソードが監督とダブる。
ストーリーは、一応青春群像風。
タレンタイムという発表会というかコンテストに出ることになった
高校生がオーディションから本選までの間に
人生のさまざまな試練を経験していく……というもの。
中心になるのはタレンタイムに出る高校生女1人男3人とその家族たち。
彼らが経験するのは、民族を越える恋、友情と嫉妬、家族の死、などなど、
で、ベタと言えばベタな話。
でも、そこにユーモアと、限りない人間賛歌があるんですよね……。
もう号泣でした。必ずしも号泣イコール名作ではないけれど(号泣しつつ、
ちっ、泣かせツボは抑えているけど、ちょっと安易じゃね? という作品もありますよ。一応)これは、名作、わたし的には、東京国際映画祭ベストワンですね。
去年見ていなかった、前作、「ムアラフ」を今年見ることができたのですが、
「ムアラフ」もすばらしい作品だと思うけれど、
テーマの重要な部分である「赦し」の宗教的な側面が、
ややとっつきにくいのは確かで、その点では、
この「タレンタイム」のほうが作品の幅が広いと言えそう。
いや、「ムアラフ」も本当に魅力的な作品で、
ある意味、より意欲的なのかもしれないけれど。
ヤスミン映画のすばらしいところを一つ、
それは出てくる女性がマトモなところ。
今作品はいつものオーキッドちゃんが主人公ではなく、
ヒロインの比重はそれほど高くないのですが、
ヒロイン以外でも、モダンで教育もあって、古い慣習に縛られないヒロインの母親
(この母親がヤスミン本人に一番近い存在かな)、
死が近いにも関わらずユーモアを失わない、マレー系の男の子のお母さん、
など女性の登場人物がすごく魅力的に描かれている。
ヒロインのボーイフレンド(彼がインド系モスリムで、ここに人種の壁を越える恋が描かれる)のお母さんも重要な役だし……。
いや、男性も存在感がないわけではないし(というか、高校生群像のうち、
ヒロイン以外の3人は男の子ですから、男子比重は結構高い)
子供も大人もいい味出しているんですが。
ヤスミンの新作がもうこれ以上見られないことが本当に残念。
準備中だった作品「わすれなぐさ」はヤスミンの祖母(日本人)がモデルの作品だったということで、これまでの作品とはまた違った彼女の面が見られたのかもしれないと思うにつけ……。
全作品上映の機会を熱望。
ここで、いきなりアン・ホイと比べるのは唐突ですが、
同じアジアの女性の映画監督でも、
私はアン・ホイよりだんぜんヤスミン派なんだなー。
ヤスミンの作品は多民族国家マレーシアに深く根ざした映画であることは
違いないんだけど、同時に
それを越えた普遍的なものがあり、宗教とか民族の状況は違っても、
「これは私たちの(同時代の)物語である」と思える=共感できるんです。
アン・ホイの描く香港は、どっちかと言えば、マレーシアよりは
今の日本に近い社会なのかもしれないけれど、
距離を感じるというか……。うーむ。
問題へのアプローチの仕方の違いなんでしょうね。
これについてはまた。
最後に、状況は違ってもじゅうぶん共感できる、とはいえ、映画を観ると
マレーシアの社会状況について、ヤスミンについて、
もっと知りたくなってしまうわけですが、
「ジャカルタ深読み日記」が大変参考になりました。感謝。
「タレンタイム」で死にゆく肝っ玉母さんを演じた女優さんが実際に
ガンで闘病中……という話が紹介されていたり。
<おまけ>
だめだ……。映画の話久しぶりなせいもあり、何度も書き直しちゃって時間が……。
次は、「キングコングを持ち上げる」だ!と予告して自分にプレッシャーを。


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