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March 22, 2009

龍真咲の主役オーラ

宝塚バウホール月組「二人の貴公子」-1

 行ってきました。バウホール。月組の注目若手男役の龍真咲明日海りおがダブルで主演とくれば、二人のファンとして行かずにいられようか……。正直、交通費等の出費はイタかったですが、この時期の二人を見ることができてよかったと思います。
 ただ、ちょっと残念なのが、スケジュールの都合で見に行ったのが公演始まって3日目と4日目、とかなり初めの方だったこと。すでに宝塚で公演を終えている東京公演と違って、バウホール公演の3日目は正真正銘の3日目だから、本当に始まったばかりなんですよね。今公演は若手も多いし、きっと公演を重ねるごとに完成度が上がったんじゃないないかなーと思うと、もう少し日が進んでからも見たかったなあ、という新たな欲望が。いやもう無理ですから。

(というわけで、この感想は約一週間前の舞台のもの)

 さて、「二人の貴公子」。シェークスピア(とジョン・フレッチャー)作品ということで、わけわからないんでは?とちょっと危惧していたのですが、適度に宝塚テイストも入り、テーマのはっきりした、親しみ易いものに仕上がっていました。
 シェークスピアらしい長ゼリフとか、簡単に決闘したり、嘆き悲しんだりするやたら大げさな登場人物とか、なぜか素人芝居をやりだす暇そうで教養もある村人たちとか、突飛といえば突飛なのですが、私にも少しだけある「シェークスピア体験」のおかげで、そのへんは、「ま、そんなものだろう」と受け入れることができました。
 たぶん当時の劇場を模しているんだろうと思うんですが、一つのセットで「森」や「宮殿」に見せてしまうのも寓話っぽい効果を上げていてよかったと思います。

 そして、この作品のテーマは、「少年期への別れ」。劇に則して言えば、同性の友達と固い友情を結ぶ少年期を卒業し、異性と結ばれる「大人の世界」に入っていくことの苦さとか痛みとか。

 原作を読んでいないので、どこまでが原作に書かれていて、どこからが小柳先生の脚色かはわからないのですが、そのテーマが無理なく伝わってくる作品でした。いや、シェークスピアってこんなに分かり易かったっけ(笑)。

 劇中でも、龍真咲演じるパラモンのセリフ(歌?)に、「さらば少年の日よ」みたいなのがあった(と思うけど)し、ヒロインのエミーリア(羽桜しずく)も、かつてすごく親しかった同性の友人がいて、彼女が死んだときに、今後男性と決して一緒にならない、と誓ったことがあると告白するなど、このテーマはかなり明確に示されているんですよね。

 生き残って、少年から大人に成長するのがパラモンで、少年時代の象徴として消えていくのが、明日海りお演じるアーサイト。とすると、パラモンはこの成長譚の主人公で、アーサイトは、失われた少年期の象徴として途中で死んでしまう、明らかに客体。ってことは、アーサイトは本来美味しい2番手の役か?

 龍真咲は、この「主役」をまさに「主役らしく」演じていたと思います。いちおうダブル主演ということだけど、さきほど書いたように、この作品は、パラモンが大人になる物語だし、パラモンとアーサイトの歌のシーンでもだいたい歌い出しはパラモンだから、物語が進むにつて、実質的にパラモンが主役だと私には見えてきました。そして、彼女の押し出しの良さ、佇まいはきちんと彼女自身を主役に見せていた、と思います(最後の挨拶を仕切っていたのも彼女だったけど、これは学年順だからだよね)。
 歌とセリフが安定していたのはまあ、想定内なんですが、いつも失敗しがちな髪型も今回はよかった(ちょっと女性っぽく見えてしまうところがあったけど)。彼女、本当は美形なんだよね、と再確認できたというか(笑)。衣装も彼女の線の細さをうまくカバーしていたと思います。特に、脱走したあとの森のシーンの衣装(茶色っぽいマント?)は似合っていた! 目ヂカラも強くて○。
 ちょっと残念だったのは、立ち回りかな。剣を持つ手つきがあまりよくなかったような。

 
 で、明日海りおですが、彼女については、割と想定範囲内というか、きちんとやっていたけど、今まで見たちょっと弟的な美少年路線とだいたい同じだったことで損をしたかも。最近新公やバウ(ホフマン物語)で露出が多く、やや見慣れた感があったせいもあり、久しぶりのセンターで、センターにふさわしくテンション上げてきた龍真咲ほどのインパクトはなかったというか……。私自身は、どちらも好きで、公演見る前はどちらも同じくらい期待していたんですが……。
 あ、でも明日海りおが白い衣装を血に染めて死ぬところは、彼女のちょっとはかない雰囲気に似合っていて印象に残るシーンでした。そんな見せ場もあるアーサイトはけっこう美味しい役だと思います。もしかして、主役より美味しい?ってぐらい。その割に、明日海りおはちょっとおとなしすぎたかな、と。

 最近、劇団の明日海りお推しが目立っていたけど、龍真咲もここで一矢報いたかな?
 同じ組に学年が近いけど対照的な二人。将来楽しみですよね。

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