日本アカデミー賞って……
「おくりびと」(2008 日本)
監督:滝田洋二郎
主演:本木雅弘 広末涼子
日本映画あまりみないんですけど、たまには。
アカデミー賞の外国語映画賞部門にノミネートだし、今月末の日本アカデミー賞でも賞をけっこうとって話題になりそうな気配もあり、見逃していたので、「凱旋ロードショー」とやらを映画サービスデー価格1000円で観る。
うーん、期待しすぎたせいもあるけど、そんなによいとは思えないなあ……。この映画。去年公開だったら、「ぐるりのこと。」や「歩いても歩いても」のほうがずっといい。しかし、日本アカデミー賞の作品賞ノミネートにこの2作品がないので、「あれ? 一昨年だっけ?」と思ってしまった。各賞のリストを見ていったら、主演女優賞と助演女優賞に作品名が挙がっていて、やはり、同じ年度だったのだ。うーん。そうなのか。そもそも日本映画はあまり観ないので、えらそうなことはいえないけど、私の評価とここまで違うとは……。
で、「おくりびと」です。
なんというか、映画の世界観が作れていない感じがした。ぐいぐいと引き込まれる一つの完結した世界がない、というか。
いや、テーマはおもしろいと思うんですよ。納棺師。アカデミー外国語賞ノミネートの最大の理由はこのへんかな。極めて日本的。
主人公が仕事する数々の普通の人々の葬儀エピソードも面白い、面白いけど、葬儀で泣かせるのって、ちょっと安易というか、ズルイ。しかも、その手を何度も使いすぎ。
仕事で行った見知らぬ人の死、知っている人の死、肉親の死、それぞれのエピソードがバラバラな感じがした。どのエピソードにも「泣き」ポイントがあるんで、けっこう泣かされるんですけどね……。
「泣き」ポイントで言えば、彼自身は死ぬ役じゃないけど、笹野高史のエピソードはちょっとやりすぎというか蛇足だと思った。「観客の感動をもう一押し」と欲張ったんじゃないか? 笹野自身はいい味だしてるけど。
なんと言ってもテンション下がったのが広末涼子演じる主人公の妻。これが全然魅力を感じられないんですよね。非常に浅い人物になっている。子供っぽい。主人公は成長するのに、妻の方はあまり成長が見られない(まあ、最後には主人公の仕事ぶりを見て、それを認めるんだけど)のはどうかと思いますよ。「ああ、もっとマトモな女性を見せてくれ!」。
仮に、監督が、「妻は理解がなくて幼いキャラでいい」と思っていたとしても(私はそれはどうかと思うけど)、演技があれでよかったとも思えないんですが……。などと思っていたら、彼女が日本アカデミー賞優秀主演女優賞でびっくり(つまり、最優秀主演女優賞にノミネート)。ますます理解不能だ。(地で幼いんじゃ、と錯覚するくらい演技が上手いってことで評価されてたりして)
本木雅弘はよかったと思う。上にも書いたとおり、納棺師という仕事を通して成長していくのが伝わってくるし……。あと、脇では納棺の会社の上司の山崎務と事務員の余貴美子がいい。この2人は出てくるだけで、人生が感じられるというか。本木雅弘とこの2人が揃う会社のシーンは密度が濃かった。
というわけで、駄作とは言いませんが、これだけ高い評価を受けるのはちょっと。
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