どうなる? 花組路線男役
東京宝塚劇場花組「太王四神記」-1
ああ……。本当は芝居も映画もいろいろ観たんですが……。「チェ28歳」(So What? と言いたくなる映画)、「悲夢」(キム・ギドク×オダギリ・ジョー)、「マルグリット」、宝塚では、激怒の「忘れ雪」はもう古いから書かないとしても、月の「夢の浮橋」も感想書いてない……。でもとにかく一番新しいのを。
「太王四神記」
なかなかの良作。しかし、チケットはあまり売れていない。うーん…。そう悪くはないけど、「宝塚度」が低いからなかなー。宝塚度が低くても、海外ミュージカルならけっこう入るみたいだけどねー。
で、私はどうだったかというと……。いや、さすが小池先生。絵作りは洗練されているし、衣装もいいし、おバカなセリフもない。そして、何より、多くの生徒を上手く使っている。さらに、今の花組のトップ男役、娘役、二番手にちょうどいい設定。当然平均点をはるかにクリアーしているんだけど、贅沢言うといま一つもの足りない。なぜだろう。
まず、宝塚っぽいくさみ(言い換えると「ちょっと恥ずかしくなっちゃうようなかっこよさ」)があまり出ていないからかなー。コスチュームプレイとはいえ、あまりクサイ話じゃないんですよね。もちろん、「スカーレット・ピンパーネル」だってそれほど「クサい」話ではなかったわけだけど、あれは音楽もよかったし、話がもう少し情熱的だったというか……。そう、今回の神話の話は御伽噺(=ファンタジー)なんで、ちょっとお子ちゃまっぽくて、自己投影がしにくいんですよね。これは原作ものだからしょうがないけど。でもって、ファンタジーとしてはやや詰め込みすぎでわかりにくい。最初の神話の部分とか、神器の意味とか、たぶん全ウン十話のドラマだったらいいんだろうけど、あの作品では中途半端。あと、黒朱雀のの意味付けもよくわからないし……。まあ、そのへんはわからなくてもあまり気にはならないつくりになっていましたが。あとは、覚えやすいメロディーラインの歌がないのも残念。
で、今回ベストアテガキ? と思うくらい、役がキャラに合っていて、衣装もかっこよかった主要3人。
真飛聖(タムドク)……今回あらためて思ったけど、発声が好き。声に「主役オーラ」があるように思ったんだけどそれって単にマイクのボリュームの問題? 普通に美形なのでコスチュームは映える。白い王子様キャラは彼女が得意とする役の一つ(個人的には、一度ワルいまとぶんが見たい。最近そういう役全然ないんだもん。トップだとなかなか難しいと思うけど)。ただ、受身っぽくていつも苦悩している役だったのでやや損をしているかも。もう少し「この人スゴイ」というエピソードを書いてあげてもよかったのは?
大空祐飛(ヨン・ホゲ)……彼女もややアニメっぽいコスチュームはばっちり。しかも、もともとおトクでさらにキャラに合っている「影のある敵役」。カッコイー! 盾の群舞のセンターで出てきたときは、「こんなかっこいいシーンのセンター!!よかったねー」としみじみ。あと、フィナーレの黒いスーツの群舞でセンターのところもあり、ファンはまた涙……。ここまでやらせてもらって……。ただし、フィナーレ最初の銀橋のソロの衣装は最悪。この作品の衣装の中で一番ヒドイと思う。
桜乃彩音(キハ)……こういうのが似合うんだ。彼女。今までのトップ作品で一番よいかも。彼女、「可愛い」とか「娘っぽい」感じだとどうもダメなんだね。今回の役は、彼女の硬さが心を閉ざしているという役にぴったり合ったみたい。そう、彼女って自然なセリフ回しとかがあまり得意でないし、風貌にも特徴があるから、現代モノが似合わないんだな。衣装で言えばワンピースとか普通の服が似合わない。その代わり、こういうプリンセス天功系コスは似合う。あ、ただ、歌はだいぶ上手くなったと思う。
<そのほかに気づいたおトクな方たち>
真野すがた……同期の華形ひかるに比べると、出番は少ないんだけど、出が印象的で、おトク。愁いを帯びた武将?で、真飛に助けられ忠誠を誓う。耽美なロン毛も似合う。やはり、こういうアニメチックなコスチュームものだと背が高い美形は映えるんだな、と感心。一番印象に残っているのは、戦闘シーンとかではなく、寝そべって水パイプ?をくゆらしている登場シーンなんですけど(笑)。なんか全然強そうじゃありません。でも、キレイだからオッケーです。それに比べて華形ひかるは、キレイはキレイだし、セリフもたくさんある役なんだけど、平たく言うと、悪者の手下なのでちょっと小物感が出てしまっている。うーむ。まあ、せっかく見張り役を務めているうちにヒロインを慕うようになってしまい、最後は彼女をかばったせいで殺される役なんだから、もっとベタに、彼女に向けられた剣を代わりに受けて、彼女の腕の中で、告白して死ぬ、ってな設定にしたらよかったんでは。ちなみに、フィナーレのはじけるダンスになると、今度は華形のほうががんがん発光してきました。
<うまい、ぴったり。でもこれでいいのか……>
壮一帆……悪役しかもオヤジ。しかし、これが上手いのだ! 正直今まで彼女は技術はあるんだけど、どうも芝居の雰囲気に乗れていない感じがしてたんだけど、今回のように鬘とか衣装とかで全く別の人間を作りこんでしまうとこんなに違和感ないとは……。やっぱり華奢すぎる体とかお嬢さんっぽい顔が普段(スーツなどのとき)いつも芝居をジャマしていたのかな。
愛音羽麗……またしても女役。セリフの声がきれいだった。女役が続いて高い声にも慣れた? でもやっぱり次は男に戻るのかしら。しかし、こんなにも女役が多くてよいのでしょうか。
未涼亜希……こちらも声がいい。セリフも歌も。彼女の明瞭な語りは今回の芝居のクオリティの向上にかなり貢献していると思う。しかし、役が「語り部」の長老役。これも若手路線の役ではないよね。
というわけで、1番手は白い二枚目、2番手は影のある敵役(しかもかつては主人公の親友)、とここまでは黄金パターンの役付なんですが、3番手~5番手の男役が「敵役長老」「娘(女)役」「語り部役の長老」ってどうよ!?もしかして、花組の路線は一気に、真飛~大空、のあと、華形or真野(この2人も、どちらが路線として残るのか、そもそもどちらか1人でも残れるのかなんとも言えませんが)~朝夏と来るってことか……と深読みしてしまいました。あ、そういえば、退団ですけど、華形の一期下の望月理世も女役でしたね。全くどうなってんだか。
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