緒月くん、三つ揃いが似合いすぎ!
雪組日本青年館「シルバー・ローズ・クロニクル」-1
全体に関しては、ちょっと辛口。ホンは、まあ、悪くはないのだけど、元ネタである萩尾望都「ポーの一族」ファンとすると、新鮮味がない、それだけならまだしも、宝塚では、「ポーの一族」の設定を借りて、小柳先生の師、小池先生が、バンパイアものをやっているし(私は、「薔薇の封印」しか見ていないけど)、マッドサイエンティストが出てくるところは、その「薔薇の封印」だけでなく、同じく小池先生の「マインド・トラベラー」とか「LUNA」と似ているし……。全体にかなりデジャブなのでした。
今、気づいたけど、プログラムで、萩尾望都先生に言及してないぞ……。いや、「アメリカン・パイ」を宝塚の舞台にした小柳先生ですから、もちろん、萩尾先生には「ポーの一族でやりまーす」とかなんとか伝えてあるんだと思いますが、萩尾先生への敬意は、プログラムに記していたほうがいいのでは……。萩尾先生が載せないで、と言ってるのなら別ですが。
話がそれました。作品についてもう一つ。主人公が「オタク」というのはやはりどうなのか……。最初だけオタクで、途中でカッコよく変身するならいいけれど、けっこうオタクのシーンが長くて、彩吹真央が、すごくわかりやすくかっこいいタイプの男役ではないだけに、この役がふさわしかったのかどうか……。いや、芝居が下手なジェンヌだったら、目も当てられなかったとは思うので、その点では彼女でよかったと思いますが。
今回の公演での私の最大の収穫は、凰稀かなめと緒月遠麻の同期コンビを堪能できた、ということでしょうか(ポイントはそこなのか……)。一番の眼福シーンは、プロローグの群舞。センターの彩吹真央をはさんで、長身の緒月と凰稀が両サイドでライトを浴びているんですが、片や超美形、片や男の色気むんむん、2人とも長身でスタイルよし。その構図は近来まれに見る贅沢さでした。いや、雪組をこれからも見続けたい、という気持ちにさせる並びでしたよ。
で、各ジェンヌさんたち。
彩吹真央……彼女は健闘していたと思う。ただ、この「おタク」の役は、彼女の未知の演技力を引き出した、という点ではよかったかもしれないが、彼女の男役としての魅力をさらに引き出したかというと疑問。今、難しい位置にいると思うので、今劇団がやるべきことは、彼女に合った、かつ、彼女の男役としての魅力を最大限に引き出す芝居を作ることではないのでしょうか。
大月さゆ……これは多くの人が書いていることだけど、衣裳がお気の毒。無理に60年代ファッションにしなくてもよかったのでは。そもそも、この役は、もうちょっと「この世のものとは思えない」キャラの娘役がやるとより雰囲気が出てよかったようにも思う。彼女は庶民キャラだからね……。
凰稀かなめ……美しさは相変わらず。ちょっとニヒルな長髪のバンパイアの青年、とビジュアルもキャラも本人にぴったりの役である意味やりやすかったのでは。新しい発見としては、カッコつけて言っている一言がとぼけていて笑いを誘う、というシーンがいくつかあり、意外と演技派か、と思わせたところ。美しさはよく知っていましたが、まさか彼女に笑わせてもらえる日が来るとは……。苦手と言われていた歌も気にならない程度に普通に歌えていました。声が渋いのもけっこう好き。このまま王道を突っ走っていってほしいです。でも、ベタなコメディシーンとかはあまり見たくないなあ。
緒月遠麻……彼女もある意味引き出しにすでにあったと思われる”悪役”。贅沢を言えば、もうちょっとヒネリのある役がよかったかな。で、まずそのお姿から。頬が以前よりこけて、ますます男前になったように思いました。オールバックに三つ揃いが似合いすぎ!!! いや、女子ではもちろん、日本人男子でも彼女より三つ揃いが似合う人はそういないでしょう。ズボンのラインがピシっと決まっていて立ち姿がカッコイイ!! 顔だけでなく全体的に前より痩せて細く見えました。まあ、冒頭にも書いたように、役がフツーの悪役なので、「緒月の新しい面が見られた!!」というほどのオドロキはないのですが、カッコよく、悪くやってました。
ダンスのキメがうまくて、ダンスシーンでは光ってました。とても、音楽学校のバレエのクラスが一番下だった(と、スカイステージの陽月華との対談で言ってましたね。陽月華も最初同じクラスだった、というのも今では全く信じられませんが)とは思えないです。今回新たに気づいたのは、手の平の使い方がキレイでそれがダンスをより大きくキレイに見せているということ。
とにかく、雪組の狛犬コンビ、これからももっともっと見ていたいと思ったこの公演。彼女には、ぜひ、凰稀かなめ(トップになると仮定して)の退団まで辞めずにいてほしい……。そして、ただの悪役ではない、もっといい役をぜひ彼女にはつけてほしいですね。歌が弱いのがちょっと残念ですが。
蓮城まこと……凰稀かなめと緒月遠麻が今まで8の力が出ていたところ、今回は8.5ぐらいだったとすれば、今まで5だったのに、7の力を出して大健闘なのが、蓮城まこと。そういう意味では、一番の発見かな?(まあ、私は彼女は大劇場以外ほとんど見たことがないので、実はすでに6ぐらいまで来てたのかもしれませんが)。アイドルグループのリーダーをしっかり務めてました。ちゃんとアイドルっぽかったし(まだそこまで人気出てないから、地元で人気のバンドのリーダーぐらいの感じではありますが、とにかく女の子にはそこそこもてていそう)、お笑いシーンもそつなく。けっこう芸達者? ちゃんとスターオーラ出てました。彼女は、今回ジャンピングボードを与えられたけど、ちゃんとその期待には答えたって感じでした。
葵吹雪……前からその風貌が気になっていたけど、芸達者ジェンヌだったんですね。お見事。これからも、芸達者な脇路線でがんばってほしい。笑いもきちんととれてたし、衣裳や鬘の造形もオタク3人組の中では一番的確だったです。
そのほか……アイドルグループでは、凰華れのが相変わらず美形。セリフ声もしっかりしていたような。さらに、いかにも60年代のアイドルグループにいそうなかわいい子は誰?と思ったら、どうも真那春人クンのようでした。あと、彩吹真央演じるエリオットの同僚3人組(ちょっといじめっ子モードあり)が、なかなかゴツくて頼もし気でした。そのなかで、ちょっと色気があって気になったのは央雅光希くんかな(これはあまり自信なし)。
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