ベルばら恐るるに足らず
東京宝塚劇場花組「外伝ベルサイユのばら ―アンドレ編―」「EXCITER!!」-1
ショーが最高!(涙)ですが、まずは「外伝ベルばら」をやっつけて。
今回の花組は、宝塚をあまり観ない人、初めて観る人と観劇する予定があり、その相手にあらかじめ「とにかくヒドイから。話メチャクチャで崩壊しているし、外伝はさらにヒドイらしいから」(大意)と予防線を張ってきた私。だって、私らはヒドイとわかって観ているからまだいいけど、「宝塚の名作ですよね」などと期待してみたら、ショックが大きいんじゃないかと思い……。そんなこんなで、かなり覚悟していたんですが、観おわっての感想は、「つまらない。でも、破壊的パワーはそれほどでもないかも。これって『ただの駄作』レベル?」というもの。
激怒モノではなかった理由は……宝塚の「ベルばら」につきものの「これだけは何とかしてくれ」という諸悪がこの外伝では結構なくなっていたのです。例えば、芝居の冒頭でなぜか延々と行われる、キッチュと片付けるにはあまりにもかっこ悪いピンクのヒラヒラレース満載のショー(?)とか、羞恥プレイにしか見えない、白タイツ「小公子」たちの「ごらんなさい」とか。原作漫画の絵から飛び出てくる登場人物とか、とても笑う気になれない失神夫人&悶絶夫人とか。あと、代々先輩から後輩に伝えられているうちに、劣化してただ形だけ引き継がれていると思われる長谷川一夫先生指導の横すわりオスカルとアンドレの変なポーズとか。
ま、思わず脱力するギャグと言えば、プロバンス訛りを博多弁にしたとこぐらいですかね。しかし、それを最初に大きな声で言わされている、子マリーズ役の天咲千華ちゃん、かわいそー(彼女の一声が少なくとも観客の笑いをさそった博多弁としては最初だったような)。まあ、これも試練と思ってがんばってください。しかし本来は体験する必要のない試練だと思うが。
しかし、失神夫人とか、小公子とか目立つ「トホホ」あるいは「怒!」なものを取り除いても、崩壊したプロットはどうにもならなかった、いや、古臭い飾りやはったり、ピンクのレースをはずしたら、崩壊したプロットだけが残っていた、といいましょうか……。激怒はしないけれど、沈滞ムードのベルばらでした。宮廷シーンが少ないから、ベルばららしい見た目の派手さもあまりないしね。それで登場人物に魅力がないからねー。
そもそも、オスカルがナヨナヨしていて、なんで主人公アンドレがこんな女を愛しているのか説得力なし。しかし、ヅカファンおよび原作漫画ファンは、ここで自分の記憶の中にある、もっとまともなオスカルを思い出して目の前のオスカルに補完しちゃうんですよね。ああ、罪作りだわー。
そして、マリーズ!! こっちは脳内補完も効かない新キャラなのに、全く共感できるとこなし。いや、アンドレを愛するあまり、振り向いてくれない彼を許せなくて、結果的に彼を死なせてしまう、という悲劇って、うまくやれば盛り上がるとは思う。誰だって心の中に魔物がいるはずだから。しかし、今作品では、そこまでの彼女の行動が単なる思慮不足で、彼女はただの「おばかさん」にしか見えないので、同情の余地なし!! しかもブイエ将軍の養女になって「磨かれた」ってなんだそりゃ! このベルばらは、作者の人格を疑うようなセリフは少ないかな、と思っていたけど、ここはイエローカードでしたね。
そんな調子なんで、私なんて、本来、ベルばらでは一番盛り上がるはずのいわゆる「今宵一夜」の場面で、眠くなって、オペラグラス落としちゃいましたもん。
覚醒できるシーンは、衛兵隊とか市民が出てくるところだけ。本当に、あの2つのシーンがあってよかったです。衛兵隊はいきがる下級生とチェックするのが楽しいし、革命のシーンは、フォーメーションとか振り付けとか、今までのベルばらと、だいぶ変ってカッコよくなったよね!! そう、革命ダンスに関しては結構近代化したと思う。いくらベルばらでも少しは進化するのね。
それにしても、身分違いの恋に悩む月のような男アンドレって、主人公にすると、けっこう美味しいはずなんだけどなあー。本当に「ベルばら」って素材は悪くないと思うから、これ以上、原作を冒涜するのはやめて欲しいですわ……。あとは、どうしても「ベルばら」やるなら、せめてノー天気な華やかさだけは伝統を守った方がいいような。作品が崩壊している上に、地味だと、救いようがないですな……。
というわけで、すごいモンスターと対決するつもりで言ったら、相手が弱っていたので、気が抜けた、という感じ。結論「ベルばら恐るるに足らず」


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