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September 19, 2016

Melodiaな若者たち

花組 全国ツアー公演「仮面のロマネスク」「Melodia」-4

まったくタイトルとは関係ないんですが、最近このブログに来てくださった方の検索キーワードを調べると上位(っていうか1位)に「太い 花陽みら」と出てくるんですよね……。彼女の退団発表があったからですね。確かに「1789」で花陽みらが役替わりでソレーヌを演ったときのエントリ「花陽みらのソレーヌを観て」には、「太い」という単語もありますが、それが主眼じゃないんで! 好きだったんですよ。みくちゃん。まさかバウで退団とは。寂しいです。

さて、全国ツアーもあと3日。私が最後にみたのは「さいたま」だから、もうだいぶ前ですが、備忘録として生徒別感想。ショーが中心ですが芝居の話もあり。ごっちゃごちゃです。

<今回注目した下級生たち>
一之瀬航季……去年の「スターダム」に出ていたから名前と顔は知っていました。マイティの秘書?の役で下級生なのに(研2)芝居がうまくて驚いたものです。今回は芝居では貴族の一人(テチエンヌ公爵)だったけど、セリフは少しだからちょっともの足りなかったかな。ちなみに、プログラム(および公式HP)の写真はお化粧がひどくてほとんど別人。今はすっきり美形さんです。早くプログラムの写真変わるといいね……。で、今回ちょっと驚いたのは、ショー。ダンスが……なんというかなめらかで独特の動きで目立つんです。動きがほかの人たちと違う。すごく身体能力が高い!という上手さではなく(身体能力が低いと言っているのではなく)、ニュアンスがすてき!なんです。ダンスに表情があるというのか。特にダウンタウンジャズの場面、ちなつちゃん見つつもかなり気になりました。それで、スペインの場面なども注意して見てましたが、表情もキレイです。ちょっと色気があって。惜しむらくは身長があまり高くないこと……と思っていたのですが、公式見ると、173cmとある。ええええー。本当かな。全身のバランスのせいで低く見えるだけかしら。とにかく、これから下級生の場面でも楽しみが増えました。路線まっしぐらと思われる聖乃あすかと同期、というのがちょっと不幸かもしれませんが……。
帆純まひろ……男役らしい顔だちだし、華もあり、スタイルもよくて路線スターっぽいスターさん。スペインでも若手6人口とかに入っていたかな。あとは、ロケットで側転を披露していますよね。確か大劇場のときもアクロバティックな振りをやる生徒がいたけど、大劇のときから彼女がやっていたのかな……(ですよね。きっと)。今研4。一期下には聖乃あすかがいて、セットで若手路線として抜擢中という感じですが、私は彼女のほうが正統派男役スターっぽいとは思います。ふつうにいったらそのうち新公主役が来るでしょう。これからが楽しみ。
聖乃あすか……前からすでに注目されていたようですが、私が舞台でちゃんと認識できるようになったのは「ミーマイ」から。でも本公演では本当にモブ(貴族の男とか)。新公のジャッキー&ジェラルドは見ていないので、今回の「仮面のロマネスク」で初めてお芝居している彼女をちゃんと観ました。で、Melodiaではなんと鳳月杏が本公演でやっていたスペインの女に抜擢。その第一印象は「あれ、足の長さが……?」だったのですが、これはもちろん、本公演の鳳月杏ほど長くない、というだけなので、彼女の足が特に短いということはありません(笑)。適度に力強く(男役による女役らしく)きれいに出ることができていたと思います(ただし、あの衣装安っぽくてあまりいいとは思わないんですけどね……。本公演のときからの不満)。で、かつらは二種類あったそうなんですが、私はストレートしか見れず残念。素顔美人だけど、メイクも上手いですよね(素顔美人あるあるで、メイクダウンってのがよくあるんで)。ただ、スカステのトークコーナーを見ていて気づいたのですが、彼女、肩幅が狭い、というかなで肩なのかな、どうも肩、首、顔のバランスがあまりよくないんですよね(顔が大きく、首が太く見える)。あと、リーゼントにしたときの頭の形もあんまりよくないような気が(これは何がいけないのか?)。なので、基本美形さんですが、場面によって美しさにちょっとムラがあるのが残念。で、私の一押しは「黄金の旋律」です。肩の張ったお衣裳で、かつ海賊風バンダナ(?)とロングヘアの鬘のバランスがよかったようで、とてもスタイルよく見えました。というか、キレイすぎて、最初「あれ、じゅりあ姉さんのほかにも女海賊(じゃなくてコンキスタドール女ですけど……)いたっけ?」と一瞬思ってしまったほど。彼女はちょっとお顔が優しい感じなので余計ね……。彼女はこの場面、本公演でも入っていましたが、全ツは人数が減ったせいもあって、かなりじっくり見ることができました。今から見る方、おすすめです!!
(ここで一休み)
花組は95期のすぐ下の路線男役がちょっと弱い感じ。「ミーマイ」で優波慧(96期・研7)と綺城ひか理(97期・研6)が主演を分け合ったし、矢吹世奈(97期)、飛龍つかさ(98期)もいるけれど、「正統派路線」という感じとはちょっと違うような……。そこでいうと、この帆純まひろ(99期)、聖乃あすか(100期)は、まっすぐな華があって、正統派路線男役きたー!というわかりやすさがあります。個性派もいいけれど(どっちかというと典型的なタカラジェンヌをやや逸脱した個性派に注目して愛でるのが好き)、やはり王道スター的な人もいないとね。あ、99期には今回もバウで活躍しているという亜蓮冬馬くんもいて目が離せないんですけど……。

<前から知っていたけど、いよいよ正念場な人たち>
優波慧……芝居ではアゾランという路線若手男役のやる役。確か初演は安蘭けい、再演は凪七瑠海でしたよね。この役、けっこう難しいと思いました。演技力は要求されると思いますが、宝塚の正統派男役が演じるにはちょっと軽くてヒネた感じなんですよね。台本通りまじめにやるとあまりかっこよく見えないというか。こういうとき路線男役としてはどういう演じ方をすべきなのか、難しいところではないでしょうか。安蘭けいはもともと真っ白い王子様キャラじゃなかったからまあよかったような記憶がありますが。で、優波慧の場合はやや地味になっちゃったかな。彼女の達者さは伝わりましたが。まあ、ただのさわやか好青年では役の意味が違ってきますからね。演出家の指示もあるだろうけど、もう少しちゃらいプレーボーイ風に作るとか?(勝手なこと言ってますが)
ショーではロケットボーイじゃなくて、ロケット導入?役。フィナーレの幕開きで目立ちます。ここはもう少し華が出たらよかったかな(本公演が水美舞斗だしね)。彼女は輪郭がまるで男役になるために生まれてきたようなところがあって(「Ernest in Love」のハンドバッグのメイドでも、ちゃんと女装感が出ていた)恵まれているとは思うんですけど。もしかすると、ちょっと影のある安蘭けい路線が狙いどころ?
矢吹世奈……Melodiaロケットで大活躍。ロケットってかわいらしいことが多いけれど、彼女のダンスのせいもあり、全体的により本公演よりアクロバティックになっていたというか、男役色の強い大人なロケットになっていました。羽根を背負った衣装もシックでかっこいいし、このロケット好きです。でもって、彼女にはスペインのところでもちょっとソロ歌がありました。かつて抜擢子ルドルフの歌を聴いて、「なぜ彼女が?」と思ったのですが、今回は歌もふつうに歌えていて、さすが成績上位、なんでもできるんだな、と認識を改めました。っていうか子ルドルフの歌が難しすぎるのか?(今回、宙組のまどかちゃんで、初めてまともな子ルドの歌を聞いたような気がする)
最後に……芝居で、メルトゥイユ夫人のツバメ、ベルロッシュをやっていましたが、これはちょっとキャラ違いでしたね。ここは番手を無視しして華だけはある下級生とかにやてってもらったらメルトゥイユの火遊び感が出てよかったのでは(しかし、誰?)。
(そういう意味で、再演の鳳翔大はぴったりでしたね……)

ショー全体の話をちょっとすると、私、変な芝居仕立ての少人数の場面とかがなくて、とにかく舞台に人があふれて歌い踊る中村一徳先生のショーはもともと好きなんです。たぶん選曲の適度な古さ(昭和感)もちょうど合うのだと思う(笑)。特に今回は、普段ショーでテンションが下がることの多いシーンに好きな場面が多かったような。ロケットとか、娘役の「all of me」、それからやたら恐ろし気なアレンジ?の「マイ・ファニー・バレンタイン」(ソロの高峰潤と音くり寿もイイ)で、ツンデレな振り付けのデュエット・ダンスも好きですね。「My favorite things」の黒燕尾がかなり好きなのはもちろんなんですけど。
 
ところで、身長の疑問パート2。芝居で、鳳月杏のジェルクール伯爵には部下が2人いて、それを高峰潤(99期)と芹尚英(101期)がやっているんですが(ソロ歌もちょこっとあり)、3人ならんでいるところを見たら、なんか鳳月杏より2人の方が大きく見えたんですよ。ところが公式身長を見ると、鳳月172㎝、高峰172㎝、芹尚170㎝……。あれれ。さきほどの一之瀬航季173㎝に続き、まったく解せない。
 
<軽んじているわけではないのです。娘役のみなさん>
最後に、娘役をまとめて書くと、春妃うららは、ミーマイ新公をスカステでちらっと見てけっこううまいじゃん、と思ったけれど、「仮面のロマネスク」ではやっぱりやや棒読みテイストだった……(源氏物語のときからあまり進歩がない?)。かわいいんだけどね。メイド仲間の雛リリカのほうがうまかったような。あと、芝居の途中で「貴族の娘」として「ミモザの香の……」とソロ歌った夏葉ことり。非常にオーソドックスな宝塚らしい美声でした。ああいう人もいないといけないよね(しかし、このままだとタキさんコースなのかな……)。メイクとスタイルをがんばってほしいです。あ、あと下級生(研2)だからまだまだこれからだと思うけど、表情ももう少し工夫してほしいかな(ニッコーと笑うだけでなく)。
ああ、芝居でセシルという大役の音くり寿ちゃんについて書いてなかった。いまさら私があれこれ言うこともないのですが(いや、誰に対してもあれこれ言う必要は全くないのだけど)、贅沢を言えば、もう少し表情のつくり方とかに工夫をしてほしいような。あと、割と強弱がない、というか。もう少し抜くところは抜いてほしい……。実力があるので、メイクがさらにうまくなって情感が出てきたら怖いものなしか。

以上です。うー。この公演、やたら書いてしまった。

September 16, 2016

鳳月杏はどこまで行くのだろう?

花組 全国ツアー公演「仮面のロマネスク」「Melodia」-3
 
まずは懺悔から
実は、全国ツアーって実はそんなにいいイメージなかったんです。そもそもそんなに行ったことなくて……。チケット取りづらいというのが一番の理由ですが、わりと直近にやった本公演の再演が多いので、見られなくてもそれほど悔しくないというか……。本公演でやった演目を本公演より少ない人数、(ときに)簡素化した舞台装置、少ない階段、銀橋のないステージでやるわけだからちょっと寂しいな、と思ったことも。
それが……今回の「仮面のロマネスク」「Melodia」でわたくしは全国ツアーの醍醐味がやっとわかったような気がします(遅いよ!)。
えーっと、そもそも、今回のお芝居「仮面のロマネスク」が、最近同じ組でやった演目というわけではなかったし、今の花組トップコンビの新たな一面を見ることもできたので、それだけでもお得感はありました。「Ernest」「ミーマイ」などの「ハッピーミュージカル」に正直飽きていたこともあったし(笑)。
だけど、私が言いたいのはそこじゃなくて(はやく言いなよ)……。「ショーです! 何と申しましても、ショー・Melodiaです!」(「ローマの休日」のアン王女の「ローマです。何と申しましても、ローマです!」のつもり。組違いですが)
ここから本題。
Melodiaは、前の前の大劇場公演(芝居は「新源氏物語」)のショー(一部変更あり)。
全国ツアーはふつうトップコンビが出るから、この2人の役付きには変化がない。で、それ以外のジェンヌさんたちは人数が減った分役付きが少しずつ上がる。でも、そこには濃淡があって、すごく上がる人とちょっとだけ上がる人とあまり変わらない人がいる。
たとえて言うなら、番手のついている人は一人ずつ、そのほかの組子は何人かずつグループで段差のあるステージに乗っていて、全体の人数が減った分、上の段に上がれる人もいるけど、前と同じ高さの段にいる人もいる。ただ、同じ段でも乗っている人数は前より減るから、明らかに責任は増すし、目立ちやすくなる、といいますか……。役付きってスロープじゃないんですよね。段々になっている。

でもって、今回の全ツMelodiaの場合、若手男役で一つ上の段に上がれたのは、優波慧くんと、矢吹世奈くん、それから帆純まひろくんと聖乃あすかくんかな。この4人は「仮面のロマネスク」のほうでもちゃんと役がついていましたけど。で、もっと上のほうでかなり大きな段差を上がったのが、鳳月杏、ちなつちゃんだったというわけです。(ここまで長っ)

彼女は大劇場公演のときは「男役4~6番目ぐらい?」(男役3番手に次ぐ路線男役たち)のステージにいたのですが(あと2人は瀬戸かずやと鳳真由。……うーん、プログラム的には水美舞斗もこのグループかもしれないけど、まあちょっとほかの3人とは差があったと思うので今回ははずさせてください)、今回鳳月杏が上がったのが、柚香光が乗っていた男役3番手ステージだったので、大劇場のときとの差はすごく大きかった。だから全ツでは彼女の見え方が全然違いました。たぶん向うからの景色も違ったでしょうね。
このたとえ話なんなん?
えーと、平たく言うと、大劇場の柚香光のパートは、特に誰かと分け合うということはなく、ほぼそのまま鳳月杏にスライドしていた(……という理解でいいですよね)ということです。大劇場のMelodiaのディスクを持っているわけではないので、おぼろげな記憶に基づいていますが。
ちなみに、本公演4番目だった瀬戸かずやが演っていた「黄金郷」の「王」の役を今回やったのはなんと高翔組長でしたね。これはちょっと驚き。

てなわけで、鳳月杏史上(笑)、出番出血大サービス状態だったんですよ(涙)。プロローグでも、キキちゃん(芹香斗亜)がスポット浴びて上手に登場して歌った後、下手でスポット浴びて登場するし(あの「こっちにスターもう一人来まっせー」と誰でもわかる演出がうれしい)、しびれたのは、スペインの冒頭、ひとり板付いて後姿でポーズを決めて登場するところ。とにかく歌が多いし……。いやー、3番手ってなんて見やすいんでしょう。位置はいいし長く歌っているし。おまけに遮るものもない(まあ、最近は最前列にいることが多いから、さすがに前に誰かがいることはなかったか)。さらに、全ツで加わった場面の一つがなんと、トップから3番手まで3人の客席降り! えー!! たった3人の客席降りにちなつちゃんが入っているなんて……。実を言えば、2階席、3階席からはほとんど見えなかったけど、許す。それからいきなり飛びますが、黒燕尾のあとも変更があって、なんと男役一人残って娘役従えて(でしたよね)、歌い出す。あれを最初に見た時は「ええええ! まだゼロ番場面あるんですか。聞いてない!」という感じでした。いや、初日じゃなかったんで聞いていたかもしれなけど、心の準備ができてなくて。

あー、ここでふつうの感想をちょっと。この新しくなった場面の歌「Lover, Come back to me」(通称ラバカン?)、曲自体はけっこう好きなんですけど、宝塚の選曲としてどうかな(アレンジ?がけっこうジャズ風だし)。あとでキキちゃんが歌うサビのところはまだいいのですが、冒頭でちなつちゃんが歌うところはテンポが速すぎて特に向いていない気が。私、宝塚の場合、歌は、ジャズっぽいものより歌い上げ系つまりバラードで割と朗々と歌うほうが合うと思うんですよね。
それにしても、ちなつちゃんが「ショーの三番手」をやっているのを見ることができて、幸せでした。素直に。これぐらいの番手が実は一番おいしいのかもしれないな、とか思ったりして。
 
そんなショーのなかで、私が一番堪能したのは……実は黒燕尾なんです。
今回いろんな鳳月杏を堪能することができたゆえに、私はやっぱり彼女の黒燕尾が一番好きだということがよくわかりました。なんというのでしょう。抑制の美学といいますか……。無駄なくメリハリの効いた手足の動き、あの冷たい表情……そしてポイントポイントで見せる挑むようなニヤリ! オペラグラスでがっつり見ることができて、もう思い残すことはござらん……いやいや、まだまだ(笑)。特にあの曲(「My Favorite Things」)と振り付け(平澤智)はしゃれていて好き。おまけに今回歌詞が英語になって(みりお君ご苦労さまデス)、楽曲差し替えを免れるだろうと言われているんですよね。ありがたや。もちろん、「3番手」扱いのちなつちゃん、立ち位置は大変いいし、燕尾はキラキラスパンコールの飾り付き、というまたこれも出血大サービス状態。
(ちなみに黒燕尾のメイン3人入りはこの間の大劇場「ミーマイ」でなぜか経験しているんですよね。あれも、今思うとちょっと不思議ではありました。直前に瀬戸かずや(4番目?)が芯の場面があり、直後にデュエットダンスがあるからといって、2番手芹香斗亜が芯で、両脇が3番手柚香光と5番目ぐらい?の鳳月杏というのはかなり珍しいのでは? まあ両脇の2人がジャッキー役者だったという共通項はあるけど)

黒燕尾以外の場面でも、彼女はあまり笑わない。あからさまな「ドヤ顔」もしない。でも表情がとても美しいんですよね。今回、ショーで踊っているときの表情って大事なんだな、ということがよくわかりました。つまり、下級生をちらちら見ていると、表情が単調だったり、あるいはどのシーンでもただニコっと笑っている男役がけっこういるんですね。たぶん、本人たちにとってはきちんと踊ることが大切なんだろうけど、正直、私にはダンスの差はそれほどあるとは思えない(素人なもんで)。でも、表情の差ってけっこうわかりやすいと思うんですよね。どうしてもダンスに注力しがちなんだろうけど、表情にもっと気を遣ったら、男役はファンが増えると思うな(笑)。けっこうもったいないと思いました。ちなみにピックアップされていない下級生のなかでは、私は一之瀬航季君の表情がとてもいいと思います。というかあの色気はなかなか。
あ、脱線してしまいました。ちなつちゃんに話戻ります。

最後にフィナーレ羽根問題。
えーっと、私が観劇する前に初日のツイッターなどをあさっていたので、3番手羽根(と呼んでいいんですかね。小さい羽根)しかも雉羽根付きということは一応頭に入っていました。しかし、私もともとあまり羽根の大小を気にしたことがなかったので(まだまだ青いヅカファン)、初めて観劇したときには、階段降りの順番は意識したものの、「ああ、そういえば羽根ね。確かに雉羽根もあるわ」ぐらいにしか思っていませんでした。そもそも、ショーのフィナーレ一人降りってジャッキー(ミーマイBパターン)除けば初めて? 「ミーマイ」はかなり特別だし(階段降りも銀橋の並び順も配役重視)、今回はあくまで全ツだけど、ね。
とはいえ、さすがに気になって、見た後でちょっとだけ過去の事例をお勉強しました。彼女の今の位置付けが正直よくわからないのですが(特に前の大劇場作品「ミーマイ」は番手がはっきりしていなかったから)、3番目に彼女が降りるにしても、必ずしも羽根がついてなくてもよかったはずだったし(ましてや雉羽根をや)、それなのに3番手羽根プラス雉羽根とはこれまた出血大サービス(?)。よかったね、と素直に祝福したい。しかし、そもそも全ツの羽根って基準があってないようなものみたいだし、あまり一喜一憂するのもどうか……と自分を抑えております(うーん、どうどう←鼻息荒い馬にささやくようにお願いします)。
いったい鳳月杏はどこまで行くのでしょう……。
一ファンとしては、常に新しい姿を見せてくれる彼女をただ追いかけていくだけなんですが。

September 11, 2016

"危険な関係"の人々

花組 全国ツアー公演「仮面のロマネスク」「Melodia」-2
 
「仮面のロマネスク」出演者箇条書き編
 
明日海りお(ヴァルモン)……前項でだいたい書きましたが、品があるから何をやってもいやらしくならないのがいいですね。あと、細かいところで言えば、ヴァルモンのかつらはなぜかラーメンというかワカメ風という伝統があったようですが、みりお君はあまりワカメっぽくないふつうのウェーブでよかった。ただ、最後の軍服がブカブカだったのが気になりました。梅田で見たときは「今からでも少し詰められないのかな」などと考えてしまいましたよ。特に袖が気になりましたが、袖口が別布になっているから詰めにくいのかな、とか考えちゃったり。だって二の腕のところとか袖がペコンとへこんでいるんですもの。パンツもかなりゆったりめですよね。最近細身がはやっているから余計ブカブカ感あり……。
      
花乃まりあ(メルトゥイユ夫人)……こちらも前項でだいたい書きましたが、賢くて残忍、でも実は情も深い奥方様が似合います。深紅のドレスの「お友達はいやだ」ソングでの、片手を前に出して相手(ヴァルモン)を制するポーズが、なんかものすごく印象的(たぶんこの振りは前からあったんでしょうけど)。力強いからかな。ちょっと癖のある声だと思いますが、その声も今回は落ち着きのある女性、ということであまり違和感なかったですね。歌はちょっと高い声が弱かったかもしれないけど、地声のところはよかったと思います。(追記:彼女のころ「色気」があるとつぶやいている方がいらっしゃっていて、「なるほど、彼女のメルトゥイユがいいのはそのせいか」とちょっと目から鱗。確かに、彼女にはちょっとコケティッシュなところがあって、そのせいで典型的な「宝塚の娘役」っぽい役が似合わないと言われるのかな、と思うけど、このメルトゥイユにはむしろいい効果を生んでいるのでは)
   
芹香斗亜(ダンスニー)……ああ、この役ってこういうことだったのか、と思いました。キキちゃんのちょっとヘタレのおぼっちゃま感がぴったり。初演で轟悠、再演で北翔海莉がやっていますが、今回の芹香斗亜が3人のなかでは一番はまり役なのでは。いや、この役難しいと思うんです。ちょっと損な役回りというか。ヘタをするとただのかっこ悪い役に見えてしまう。その点、キキちゃんのその持ち味で、からかわれてもあまりいたたまれない感じにならず、いやーな感じが薄まったのではないかと。
 さらにいえば、最後に、メルトゥイユ邸でヴァルモンに踏み込まれ、真実の愛に目覚めるときは、もっとかっこよく、メルトゥイユを振って颯爽とセシルへの愛を語ったら男が上がってもっとよかったんじゃないかな、と思いましたがいかがでしょう。つまり、途中まではダンス二ーは2人に遊ばれているわけですが、最後には彼がヴァルモン&メルトゥイユに勝った、というところをはっきり見せた方がいいのではないかと。やはり今のままだとまだちょっと情けない役に見えるので。
(それにしても、初演の轟悠サマはどう考えてもニンじゃないよな……。それも修行のうちだったのでしょうか?)
 
鳳月杏(ジェルクール)……この役、こんなに出番少なかったんでしたっけ。知ってはいたつもりでしたが、初回にけっこう呆然……(笑)。渋い軍人、ちょっと年上でシニカルな遊び人、という役はぴったりでした。メッシュもすてき。というか意外と宝塚でメッシュってあまり見ないような気がするんですがそうでもないですか? ああ、もちろんお髭も素敵です。まあ出番が少ないのはしょうがないとして、個人的には、もう少しいけすかない感じを出してもよかったのかな、と。あるいは女に手が早い感じとか。メルトゥイユが恋人にするほどのイイ男で、彼女の恨みを買うほどのひどい奴なんだから……。もちろん基本的には久々のちょっと黒くて大人の役、大変うれしく堪能させていただいたんですけどね。しかし、よく考えると花組に来てからはこの手の役は初めてか……!
(でもって、彼女に関してはショーでの位置がとんでもなく良くなっていて、そっちのほうが重要と言えば重要です。その話はいずれ)
 
トゥールベル夫人(仙名彩世)……彼女がちゃんとよろめかないと、この話が進んでいかないところがあるから、この役、重要度で言ったら男役2番手のダンス二ーより上ですよね。トップコンビの次。配役を聞いたときは、彼女がトゥールベル夫人ってちょっとニンじゃないかな、と思ったけれど、彼女はやはり何をやらせても上手い。当然のことながらミーマイのマリアからは若返っていたし、美しかった。非常に真面目で堅そうなところが強く出ていたのが、彼女らしさかな。修道院の学級委員(そんなものあるのか知りませんが)でそのまま嫁に行った堅い女性が初めての経験に動揺する、という感じ。ただ、ダンスがうますぎて(?)、ちょっとぶんぶん踊りすぎ? と思うところがありましたが(フラれたあとの幻想ダンスのところとか)、あれはそういう演出なんでしょうか……。
 ただ、たぶんこの役は深窓の令嬢がそのまま成長したような、一見か弱い女性として演じるのが王道じゃないかな、と思うので、別の娘役がやったところも見てみたいな、と思いました。今の花組だとだれなのかな……。庶民キャラと思われているような気がしますがミーマイのマリアでも健闘した桜咲彩花? あるいは城妃美伶かな?
  
そのほか全国ツアーで活躍する下級生たち……
 
若手で目立ったのは、三馬鹿トリオとも呼ばれる(笑)、召使い3人組のうちの男役2人、研4の帆純まひろ、研3の聖乃あすか。もはや若手とは言えないけど若々しい研9の華雅りりかも加えた3人組は、やや古臭いベタなお笑い担当(しかもご当地アドリブもあり)。なかなか下級生には難しいかな、というところではありますが、さわやかにがんばっていましたね。帆純まひろ、聖乃あすかの2人はショーでも大活躍なわけですが、芝居のこの「三馬鹿トリオ」のシーンは、全国のみなさんに「花組若手スター候補」を紹介する場面ということなのかな(だからちょっと古臭くても我慢しろ、というわけではないでしょうが)。2人とも美形だから、将来楽しみですね。聖乃くんはちょっとまだセリフの声が通らないかな。その点では一年上の帆純君のほうが口跡がよかったかも。
それから、冒頭の夜会のシーンで貴族を演じる若手男役が歌い継ぐところがありましたが、けっこうみんな上手かったような(だいたい一人ぐらいビミョーな人がいるもんじゃないですか)。いままで私が知らなかった下級生を挙げると……セリフ、歌ともに安定していて「おお? これだれ?」と思ったのは、澄月菜音くんかな。あと、ほんのワンフレーズだけだったけど千幸あき君の歌が上手いのはよくわかりました。
 そうそう、翼杏寿くんもセリフ明瞭だし、存在感がありました。これから別箱の芝居で活躍しそう(もちろん新公も)。それから、「スターダム」で芝居上手だとは認識していたけど、一之瀬航季くん! セリフは少ししかありませんでしたが、メイク顔が男役らしくしっかりしているし(ちょっとみわっちこと愛音羽麗さん系の美形)、表情がキレイ。華があって眼をひきますね。
そういうわけで、全国ツアーは、本公演と比べて人数が少ない分、役付き等に変動があって、生徒たちの意外な面を発見したり、大劇場ではセリフもなかった下級生を発見したりする楽しみがあるんですよね。(と次の項、「鳳月杏はどこまで行くのだろう」(あくまで仮題)への布石を打つ)

September 05, 2016

初演の呪縛は解けた?

花組 全国ツアー公演「仮面のロマネスク」「Melodia」-1
 全国ツアーのスタート、梅田芸術劇場公演に行ってきました。
「仮面のロマネスク」いいですね。1997年の初演が伝説になっていて(私は映像でしか見ていません)、2012年の宙組は、祐飛くんの鬼畜っぷりと(キャラはぴったり)、すみ花ちゃんの(キャラは正反対だがそんなのものともしない)演技力にしびれてた記憶がありましたが、今回は、もう少しフラットに、「これ、いい演目だな。ぜひこれからも宝塚で上演してほしい」と思いました。
 明日海りおは、かわいいイメージが強いかもしれないけれど、「春の雪」もそうだったように、こういうこじらせ貴公子が似合いますね。そして声がいい。低くてよく通る声が本当に二枚目! どちらかというと少年のようなかわいらしいお顔なのに、あの低い声。彼女はまさに男役になるために生まれたきたのかもしれない……とシミジミ思いました。割と朗々と歌うところが多かったからかな。この作品ちょっと古風で劇的な音楽がまた素敵ですよね。
 彼女の演じるヴァルモンは、女をもて遊ぶとんでもない男ではあるんですが、「彼も面倒な貴族社会のなかで、時代の波にもまれながら、彼なりに必死に泳いできたんだな」と思わせるものがあったので、嫌な感じはなかったです。最後にはちゃんと罰を受け、仮面を脱ぎ捨てて彼なりに義を通す、といういい場面もありますしね(このへんは柴田先生が原作から大幅改変したところですかね)。演じる明日海りおの貴公子キャラのせいもあるでしょうが。何をやっても下品にならないといいますか。彼女はこういう少し時代がかった作品が似合いますよね。
 そして花乃まりあ。彼女のメルトゥイユが……期待以上によかった。この役って初演の花總まり様が伝説化しすぎていたような気がするんですよ。いや、彼女のメルトゥイユは本当に気高く賢く美しく冷たく……素晴らしかったと思います。しかし、エリザベートと同様、メルトゥイユだって演じる娘役によっていろいろあっていいわけなんだし……ということで、今回のメルトゥイユを見て、もうお花様の呪縛から抜けだしてもいいってことだよね、と思いました。花乃まりあのメルトゥイユは、なんというか、地に足がついているメルトゥイユでした。そしてちょっと貫禄のある、なんとなく、ヴァルモンよりは少し年上かな、という感じがしました。経験豊富そうな……。ああ、でも決して上品でないとかそういうことではありません。美しい貴族のご婦人でした。ドレスも似合っていたと思います(特に濃い色の)。デコルテもきれい。髪型もよかったし……。彼女は庶民キャラの人と思われていたようにも思いますが、決してそんなことはなかった、と。このメルトゥイユが、貴族とはいえただのお嬢様ではなく、運命を自分で切り開いていく、芯のある女性だったから彼女に合っていたという面はあるかもしれません。
 この二人、確かにやっていることはひどいけれど、この作品を通して、ちゃんと彼らが貴族社会の中で、仮面を被って生きていかざるを得なかった、という悲しさが伝わってくるんですよね。二人とも傷つくのが怖い人一倍ピュアな人間だし。だから主人公たちに感情移入できる。うーん、すばらしい作品だな。やはり主人公に感情移入できないとね。いまさら言うことでもないですが、柴田先生偉大なり。
 さらに言えば、さきほど書いたように音楽もいいし、仮面舞踏会のシーンなんてとても象徴的で美しいし……。
 初演から15年も再演されなかったのは、やっぱり「不道徳」(原作のラクロ「危険な関係」は発表後発禁になっているそうで)というか、ちょっとお子様向きではない話だからかな……。しかし、子供はわからないなりに雰囲気を楽しんでいただくということで、これからもぜひ再演してほしい作品だな、と思いました。なんというか、いま劇場で鑑賞するのにじゅうぶん耐えうる美学があると思います。古典ですが古くささは……少なくとも主人公二人の心理描写等では感じませんでした。
 初演の呪縛が解けてみれば、この作品、誰がやっても大丈夫とは言いませんが、すごく役者を選ぶかというとそうでもないのでは? 主演男役はこれで新しい扉が開きそうだし、主演娘役は強い女性が演じられればいけるんじゃないかな……。
(とはいえ、宝塚初心者が見ることも多い全国ツアーに向いているかというとちょっと微妙かな。大劇場でもいいけど、そうするとちょっと役が少ないのだろうか……。全ツ規模では、今回下級生まで役がついていて、なんて役が多くてすばらしい作品だ、と思ったけど。と、すると梅芸とか中日向きですかね?)
 みりおくんも、「Ernest in Love」「Me and My Girl」とハッピーミュージカルが続いたけれど、今度は一変、というようなことをどこかで言っていたと思いますが、確かに、ここでぐっとアダルトな作品を選んでくれて(選んだのは劇団??)本当にファンとしては有り難い。そして、「金色の砂漠」が大変楽しみになりました。

August 09, 2016

アーヴィングはあれでいいのか?

雪組 赤坂ACTシアター 梅田芸術劇場大ホール公演「ローマの休日」-2

 でもって、ここからはちょっと辛口というか文句。ネタバレもあります。
 この作品、原作映画の良さにかなり助けられているな、というか、かなりよっかかっていると言ってもいい。だって観客が笑ったり感動したりしているところの大部分がもともと映画にあるシーンなんですよ。
 えーっと主に役の面から映画と宝塚版の違いを簡単に説明すると、映画は役が少ないというか、アン(咲妃みゆ)とジョー(早霧せいな)とアーヴィング(カメラマン。彩凪翔と月城かなとのダブルキャスト)以外はほとんど役がない。だから宝塚で上演するにあたり、役を増やして膨らませています。映画にはちらっとしか登場しない美容師は出番を大幅に増やす(マリオ。月城かなとと彩凪翔のダブル)。あとは……ジョーの上司である新聞社の支局長(鳳翔大)なんて映画には全く出てこなかったような気がしたけど、一応出てきたみたい。でもあんなに支局のシーンはたくさんなかったと思う。市場の人やらウェイター、警察官たちもちらっと出てきたかもしれないけど、あんなにセリフや芝居はたくさんなかったはず。そうそう、アーヴィングの恋人フランチェスカ(星乃あんり)は映画には出てこなかったような……違ったかな。
 で、観客が笑っていたところは、自己陶酔系美容師マリオがらみのところを抜かせば、ほとんどが原作にあったシーンでした。あと、私が何度見ても泣いてしまう記者会見のアン王女の「ローマです。ローマです」も映画からだし……。ああ、ただし、その前、アン王女が泊まっていた屋敷?(迎賓館?)に帰って、家臣たち(?)に「いえ、もう大丈夫です」的なことを言うところは映画とは違ったような気がする。あそこは咲妃みゆの演技に泣いたな……。うん。
 宝塚版になってすごく出番が増えた役の一つが支局長なんですが、それがあまりうまくいっていない。なかでも一番ひどいと思ったのが、アン王女と別れたジョーのアパートに支局長が一人でやってくるくだり。あれ、いらなくないですかね。三度目、四度目の観劇のときには、あのシーンになると早送りしたくなりました。だって、まず、アン王女の写真があるんじゃないかとかぎつけてきた支局長が写真の入った封筒に気づくと、ジョーは支局長にそれを渡してしまうんですよ(信じられないその1)。そしてジョーは、渡したあとで、「それはフランチェスカのヌード写真ですけどね」(大意)とウソを言ってそんなものどうでもいいようなそぶりをするんだけど、そう言われた支局長はなんと写真を封筒から出さずに返しちゃうんですよ(信じられないその2)。封筒には封もしてないのに。
 些細なことかもしれないけど、毎回そのシーンを見るたびにもやもやしていました。
 でもってさらに問題なのは(ここから先の話は私が月城かなとファンということをご理解の上お読みください)、2番手役のアーヴィング(カメラマン)がどうもしどころがない……(その代わり、3番手のマリオ(美容師)が振り切れたキャラで笑いがとれてかなり美味しいんですが)。これって、設計ミスなんじゃ?と思ったわけですよ。
 つまりですね。私は月城かなと君好きで、関東に住んでいます。まず「ローマの休日」で彩凪翔くんと月城くんが役替りをやると知らされた。役替りは公演期間の長い梅田劇場のみで、月城君は、中日劇場と赤坂ACTシアターで彩凪翔君のやるアーヴィング(カメラマン)の役をやると。彩凪君は月城君より上級生だし、組内番手も上だから、当然、アーヴィングは公演2番手役、月城君が東京でやるマリオ(美容師)が公演3番手役でしょう。だったらこれは2番手役をやる梅田芸術劇場に行くしかない! そう、遠征しなきゃ!
 で、「私のローマ本番は梅田だわ。8月だわ」と思っていたのですが、その前に、まず東京(赤坂ACT)で月城マリオを見たら、これが出番もかなり多く、しかも笑いがとれて美味しい役だったのはうれしい誤算でした。オーバーアクションのコミックキャラを生き生きと演じる月城かなと君、イケメンだけど、ちょっと気持ち悪いイタリア男を演じる月城君しかもwith髭!!最初は本人のキャラに合わない役で大丈夫かな、とも思ったのですが、やはりそこは芝居巧者。けっこう振り切れて演じていました。いやー、「るろ剣」の蒼紫様のあとに、こんな180度違う役が来て、よかった。というわけでマリオは大変よかったのですが、他方で、彩凪君がやっていたアーヴィングは出番多いけど、受け身演技が多いし、ちょっと存在感が薄いかも……と気づいたのです。むむ。やな予感。
 で、いよいよ梅芸Bパターンで遠征したわけです。そこで月城君演じるアーヴィングを見た結論。アーヴィング、やっぱり存在感薄い。描き込み不足。あれは本人たちのせいというより、やっぱり脚本と演出のせいなんじゃないかな。そりゃ、好きなジェンヌさんだから見ていれば楽しいですよ。なんといっても出番は多いし、無精ひげっぽいあごひげも素敵! 歌も、マリオのときのようなコミックソングではなく、割と正統派なものを堪能できるし。でも、やっぱりこの役、あまり美味しくないということに気づいてしまったのです。えー、なんで!? 2番手の役に役替りだからと勇んで遠征したのに!
 もしかして、2番手3番手と考えるのがおかしいのかな、そういう順番をとっぱらったところでの配役だったのかな、とも思いました。あるいは、敢えての月城かなとアゲなのか? でもね……。落ちついて見てみると、アーヴィング、出番は多いし、一応ソロで歌うところも2か所はある(あれ、3か所?)。深読みすることはなくて、やっぱり2番手役として作られていると思います。
 公演2番手が主演者の相棒だったら、もっと男同士の友情がっつりいってほしかった。アーヴィングはジョーがアンを愛してしまったということを、もっとはっきりと気づいたほうがよかったと思うし、そのあとでジョーにはっきり(「おまえ……まさかアーニャのことを」とか)言ったほうがよかったんじゃないかと。えーっと私の理解では、アーヴィングは支局長とアパートでゴチャゴチャやったあとにやっと気づいて、そのあと舞台に残って気づいたことそ示唆するような歌を一曲歌っていたような気がするんですが(4回目の観劇でやっと歌詞の意味をとって、そうなのかな、と)、違ったかな。
 →あ、プログラムにも、「アーヴィングはジョーが心から王女を愛していることを悟った」って書いてあった。うーん、そこははっきりセリフにしたほうがいいと思いました。そこで気障に慰めるとかさ。ジョーもカッコよく返していただいて。
 というわけで、残念なところがいろいろあるんですよ。アーヴィングに関しては彩凪翔くんも、お気の毒でした。いや、ナギショーはこっちが本役だから余計にね。
 あと、全体的に残念だったのは、もともと実力のある人特に芝居心のあるひとはそれなりにやっていたけど、苦手な部分のある人は割とそのまま出ちゃったように思えたところ。つまり、みゆちゃんとか月城くんとか、奏乃はると先輩とか久城あす君とか真條まから君とか、あ、あと陽向春輝くんもよかったと思うけど、例えば彩凪翔君は、「るろ剣」の武田観柳で場をさらい、殻を破ったか、と思わせるものがあったのに、なんかまた殻をかぶってしまったようなところがありました。あと、ちょっとドタバタが過ぎちゃった人も多かった。これは演出の問題なんだろうけど。たとえば真那春人の将軍。これもね……。せっかく見せ場があったけど(スパイたちと踊るところ)、ソロ歌が致命的によくなかった。彼女、歌はそんなに得意じゃないけど、せめてもう少し音程を上げたらなんとかなったのでは。それと、あのオーバーアクションな子供っぽい将軍の作りは……どうかと思いました。わたし、基本的にまなはるファンなんですよ。「凍てついた明日」のころから。しかし、ファンの私でもなんか残念だったです。
 たとえば、真條まから君のお医者さんが来てまなはるの将軍が注射針見て倒れるところ、まなはるの芝居と、真條くんの芝居のテイストが全然違った。真條君が非常に誠実そうなお医者さんを丁寧に演じている横で漫画のような動きをするまなはる。こういうのを見ていると、どういう演出意図なのかなと思ってしまいます。けっこう本人に任せている?
 彩凪翔君や真那春人君のうまくはまったお芝居を見たことがあるからこそ、なんとかできたはずだ、と思ってしまいました。あ、あと大ちゃん(鳳翔大)も。彼女が技術的にやや苦手なことの多いジェンヌだということは知っています。だけど、そうならそれで、もう少し良さを引き出して欠点をカバーする出し方があったんじゃないかな、と。
 そして、役の設定がどうなの、という意味では実は一番損をしていたのではないかと思うのは、ジョー・ブラッドレーを演じたチギちゃん(早霧せいな)かも。なんか、変に……皮肉屋といえばまだ聞こえがいいけど、小ずるい感じになっていませんでしたか。それ、違いません? ハリウッド映画のヒーローとして。しかも、アメリカに帰りたくて腐っている、今の生活に嫌気がさしているジャーナリスト、って設定、観客の共感得にくいのでは? 映画にもアメリカ帰りたい、というくだりはあったのかもしれませんが(思い出せないけど)、あそこまでしつこく「アメリカに帰る」を真顔で訴えてなかったと思います。最初はたいくつそうな王女の会見とか興味なかったけど、いざ王女が自分のアパートにいると知ったら、スクープを常にねらうジャーナリストとしての本能が蘇り、ってことでよかったんじゃないかな。私、チギちゃんはもともと好きです。最近だと「ルパン」も「星逢一夜」も「るろ剣」もすごくよかったと思うし、芝居はうまい人だと思う。そういう芝居の期待値の高さでいくと、今回のジョー・ブラッドレーはもの足りませんでしたね。 まあ、彼女が得意とするのは若者で、今回のようなちょっと渋いオジさんは挑戦だったのかもしれないけど。それにしても、役のつくり方が違う方向に行っているのではないか、と。それから、役作りと関係あるのかないのかわからないけれど、彼女のセリフ、抑揚が変で気になりました。特に疑問形で語尾があがるときとか、「アーヴィング」と呼びかけるときとか。どうなんですか。あれ。ちょっと「ルパン三世」入ってました。ルパンはアニメの(山田康雄の)声のイメージをある程度踏襲してのあの独特の口調だと思っていたんですが、なぜ、いまここで、ルパンの抑揚? (どうしてトップさんはセリフに抑揚がついてきちゃうの!?)
 チギちゃんの芝居にはかなり信頼を置いていただけに……。
 でも、同じ生徒さんでも、こうやって作品によってよかったり今一つだったりするのを目の当たりにすると(もちろん本人に合う合わないはあるとは思うけど)、やっぱり演出家の力って大きいんですね。(イケコ……)

August 08, 2016

「ローマの休日」はやっぱり名作!

雪組 赤坂ACTシアター 梅田芸術劇場大ホール公演「ローマの休日」-1

書くと言ってドン・ジュアンの出演者別感想書いていない……。うううう。い、いつか……。
同じ雪組の「ローマの休日」Aパターン、Bパターン見ました。これはこれでいろいろ考えるところが。
 
やっぱりなんといっても原作がいい。宝塚版の観客の多くが見ていて、おそらく好きだと思われる名作映画「ローマの休日」。その映画の良さがそのまま舞台にも出ている。そして映画を楽しんだ記憶が芝居の好印象にもつながっているよね。私たちは宝塚の舞台の「ローマの休日」を見ているけど、その後ろにオードリー・ヘップバーンが見える、というか。
ちょうど脚本家のダルトン・トランボが主人公の映画が公開されているけど、その彼の書いた「ローマの休日」の脚本(まあ、映画化されるときに手直しは入ったみたいですが)がよくできているってことに尽きますよね。脱走した王女と出会った人たち(おもにジョー)のとんちんかんなやりとりは微笑ましいし、最後の記者会見での「ローマです。ローマです」のシーンはわかっているけど毎回ぐっと来てしまう。そして、突然「記者の方とあいさつを」と言いだすところもしゃれている。このユーモア。
そして、咲妃みゆの演技。オードリー・ヘップバーンと彼女はかなり持ち味が違う。しかし、彼女が、アン王女の浮世離れしたところやかわいらしさ、そして成長ぶりをしっかりと演じたことで、映画の良さが舞台でも生きたと思う。彼女はオードリーじゃないんだから、なぞっていただけではあそこまでの感動はなかったと思う。やっぱりあの作品はアン王女がカギだよね。
 
そもそも、「ローマの休日」のようなちょっとクラシックな洋画って、現代から見ると「古き良き時代」というか、かなりおとぎ話っぽくて、例えば、今映画にしても時代錯誤にしか見えないんじゃないかと思うけど(えーっと確か一回再映画化されたけど全然ヒットしなかった記憶が)、宝塚はその点、ちょっと時代を超えているから(笑)、違和感がないというかけっこう親和性が高いと思う。
初めて宝塚見る人にも楽しめる作品になっていたんじゃないでしょうか。
 
しかし……。つづく。(今度こそ絶対つづく)

July 10, 2016

ドン・ジュアン、すみれコードをぶっちぎり

雪組 KAAT神奈川芸術劇場公演「ドン・ジュアン」-01
 えーっともうだいぶ時間がたってしまいましたが、直後の印象はこれ。

 特に第一幕は圧倒されました。その密度に。ステージの上の人間も、音楽も、みっちり詰まっている感がありました。隙間ない感じ。ものすごく贅沢。主役のドン・ジュアンを演じた望海風斗始め、歌う人歌う人うまい。耳福。しかも迫力のある音楽。私、おそらくフレンチミュージカルのこのみっちり感がかなり好きなんだな。たたみかける、とも言う。もとになったフランス版の「ドン・ジュアン」見てないけど、おそらく、この宝塚版「ドン・ジュアン」のみっちり感はオリジナルのフランス版に負うところが多いんだろう、と。しかし、その楽曲や、すみれコードぶっちぎりの表現(男女の関係もそうだけど、亡霊のビジュアルだってある意味宝塚を逸脱していますよね。すみれコードとは言わないが)によく雪組メンバーがついていったな、と。
 でもって、おそらくお芝居の部分はだいぶ宝塚版の演出家、生田センセイが足したんだろうけど、まあ、私はお芝居部分の書き込みが足りない、とはそれほど思いませんでした(えーっと細かいことはあるけど、致命的というほどには)。私はモリエールの戯曲も知らないし、オペラの「ドン・ジョバンニ」も知らないし、そもそもそれらのもとになっている「ドン・ファン伝説」もよく知らない。知らないけど、ま、あちらの古いお芝居とかオペラって理解不能な筋多いからいいっか……、とハードルが低くなっているところがあるんですよね。まあ、いかにドン・ジュアンがひどい女ったらしかということはしつこく示されていたから、まあ理由が今一つはっきりしていないくてもいいかな、と。で、それを超える全体の熱量、でした。
 梅田に行ってから、いくつか改変が施されたそうですが、なかでも一番大きい、実母との関係については、確かに観劇していてちょっと驚きましたね。要するになぜドン・ジュアンがあのように人を愛せない女ったらしになってしまったか、ということなんだろうけど……。実の母を犯してしまうっていうのはちょっとね……。しかもそのときのジョン・ジュアンが子役だったから余計。まあ、月並みだけど、相手は実母が死んだあと嫁いできた若い後妻じゃいけなかったのかな、あるいは、崇めていた実母が若い男と浮気しているのを見てしまう、とか。
 変更した、ということは演出家が自主的に、というより「すみれコード的にまずい」となったのかな……。しかし、そんなこと(そんなことじゃ済まないかもしれないけど)よりも、ドン・カルロ(公演二番手の彩風咲奈)がなぜあんなにドン・ジュアンのことをかまうのか(プログラムの言葉を使うとするえば、「数少ない理解者」になったのはなぜか)をもうちょっと描いたらよかったのにな、と思いますが。そこ、宝塚作品としては重要でしょう(笑)。いや、市場調査したら一番需要が高そうな「そこに愛があるから」でもいいけど(笑)、別にそこまで露骨に腐女子向けにしなくても、幼馴染だったとか、ドン・カルロが窮地に陥ったときに助けてくれたことがあるとか(得意の剣で?)でもいいと思うんだけど……。
 で、望海風斗はこの作品の最大の貢献者で、彼女の実力がなければここまで作品の完成度が上がったとは思えないんですけど、彼女にとってもこの時期にいい作品が来てよかったね、とも思いました。彼女は近いうちにトップになるだろうけど、やっぱり主演作の評判がいいに越したことはないですよね。私は花組時代の彼女のバウ初主演作品「Victorian Jazz」は見てないけど、少なくとも去年の「アル・カポネ」よりはこっちのほうがあとに残る作品だと思いました。駄作をなんとか作品として成立させる、という形で実力を示すことも大事かもしれないけど、やっぱりいい作品で実力を発揮してもらいたいものでして。
 
 今、宝塚で翻案するなら、フレンチ・ミュージカルがいいのかな。「ロミオとジュリエット」に「1789-バスティーユの恋人たち」、えーっと「太陽王」は舞台見てないし、映像も見てないんだけど……。まあ、音楽とダンス中心で芝居要素が弱いらしいんで(本場のを見たことないからなんとも言えない。仮に見てもフランス語だから芝居要素が強いか弱いかよくわかんないかな)、宝塚でやるには手を入れなきゃいけないみたいだけど、私が密度と書いたゴージャス感、スペクタル感は今の時代に合っていそう。舞台の上がスカスカしている古くさいブロードウェイミュージカルは、あまり時代に合っていないように思うの……(ということは花組ミーマイを見たときに思いました。ああ、ミーマイはイギリス発だから、ブロードウェイミュージカルとは言わないか……。いずれにしても、今回の花組ミーマイはかなりいいと思うけどね。贔屓が出ていることもあるけど、それを抜いても「いま日本で宝塚が上演するミーマイ」としてはかなり頑張っていると思う。これは別項で書いてるし、このあとも書く予定ですが)。
 だから、またどこかで再演したらいいと思いました、「ドン・ジュアン」。けっこう役者の力量が問われるのかな、と思うけど。
 で、個々の生徒についてはまた別に。

May 15, 2016

ちなつジャッキーとれいパーチェスター

花組 宝塚大劇場公演「ME AND MY GIRL」‐2

 うーん、何かこの前のエントリのタイトルを「ジャッキーに納得できる?」にしたことをちょっと後悔。だって、まるで鳳月杏のジャッキーがよくないみたいじゃないですか。
 そんなことはありません。とてもよかったんです。

 わたしは、Bパターンが始まってから、ツイッターでも「皆声.jp」でも、「ちなつジャッキー」を検索しまくっているんですが、いろいろ感想を読んでいるなかで、「ちなつちゃんは大劇場でこんなに大きな役は初めてではないでしょうか(それなのに堂々と好演している)」というようなことが書いてあるものがあって、「あ、そうだよな。彼女はそれまでのポジションから言ったらとても大きな役に挑戦しているんだよな」ということを改めて思い出しました。

 忘れてました。そのことを。いや、いちファンとしては、この前の「Ernest in Love」の役替わりアルジャノンのときのほうがもっと不安だったかも。今思うと。でも、そのErnest役替わりも、始まってみたら期待以上の仕上がりで、しかも彼女独自の解釈でやり遂げて感激!ということがあったので、今回は「きっと彼女ならやってくれる」という期待と安心感が根底にはあったんです。もちろん、初日を見るまではかなり不安でしたけど。そして初日の幕が開くとすぐにその不安は一掃され(まあ、初日の11時公演はちょっと冒頭の歌の高音が出てなくてそれは気になったけど)、この役が彼女にとってどれほど大きなチャレンジだったのか、ということはすっかり抜けていました。

 しかし、「Ernest」は別箱公演(梅田芸術劇場大ホールと中日劇場)。見ていない人も多いわけで、やっぱり、大劇場公演で大きな役をやって結果を出すということはとても重要なんですよね。

 なんか、そのへんが割と私の初日感想には抜けていたかな、と気づきました。見始めたら一気に不安が解消され、作品自体への疑問とかジャッキーとしての役の難しさに考えがいってしまっていて……。

 これは何度も書いているのですが、私は、もともとミーマイは宝塚に向いていないんじゃないか、と思っているんです(とか言いながらいったい何回みるつもりなんだwobbly)。もともとイギリスの貴族階級を皮肉った作品であるはずなのに、その風刺的な部分は伝わらず、やたら古臭いだけの、なんとも不思議で中途半端なお話になっている、と思っています。日本語の歌詞も変。あと、もちろん宝塚の作品として、役がこんなに少ないのは許せん!!とっても許せんpout

 で、今回の「ミーマイ」は、主にビルを演じる明日海りおのキャラと演技のせいで、今までの宝塚版よりさらに毒気の抜けたものになっていて、これはこれでいいのかな、と思いました。明日海演じるビルは、下町で育っているから、礼儀作法やマナーは知らない、言葉遣いも乱暴だけど、決して下品な感じはない。やさしくて素直ないい青年でした。サリーと合わせてすごくピュアな感じ。その性格のいい二人が、これまた基本的にはいい人だけど、家柄とか貴族の誇りにこだわっていたヘアフォード家の人々と出会い、最初は上手くいかないけれど、持ち前の誠実さで付き合っていくうちにヘアフォード家の人々の心を溶かすという、なんかほのぼのしたいい話、に割にうまくまとまっているように思いました。

 貴族社会への風刺はほとんど骨抜き。毒っ気なし。階級の差は、ちょっとした訓練であっさり克服。ここまで毒が抜ければ、もうこれは新しい宝塚のミーマイなんでしょう。

 それでも古臭さはあるし、よくわからないところはあるし、ところどころ毒の残骸部分が残っていて、その最たるものが前項で書いた「お尻ペンペン」。全体がほんわかになっているから余計気になるとも言える……。

 そういうどうしようもないポイントはありますが、鳳月杏演じるジャッキーは、自己チューだけど、それほどおバカではなく、彼女なりに自分の上流社会での生活のためにがんばっている、かなり観客(つまり21世紀を生きるわたしたち)が納得できる(好意を持てる)役づくりになっていると思います。

 ジャッキーがそうやって観客にも納得できる、自分たちと地続きな役を目指していたとすると、対照的だったのが、柚香光パーチェスター。

 こっちはどっちかというと、キャラ勝負! しかも、自分の得意なキャラに持って行きましたね。面白ちょび髭オヤジではなく、自己陶酔系弁護士! メガネ男子! かっこつけるけど滑りがち。なるほどこういうアプローチもあったんですね。まあ、もともとパーチェスターはある種キャラ勝負の役ではありますが。

 宝塚ってキャラも大切。「るろうに剣心」なんて、完全にキャラ勝負の世界だったもんね……。「キャラクター大図鑑」みたいな。

 だから、柚香光のアプローチは「あり」だな、と思いました(もしかししたら、今回はこちらの役作りのほうが威力を発揮していたかも!?)

 そう言うと、宝塚なんてもともとキャラ勝負なんだから、ガタガタ言わず「ミーマイ」だって楽しみたまえ、と言われてしまいそうですが、「るろ剣」みたいにキャラ勝負の世界が確立していれば、私もストーリーにそう文句は言いません。だってマンガだから、キャラクター物だから。「なぜこうなるの?」とか「納得できない」とは言わない。お約束だから。

「ミーマイ」は、その点、古臭いし、原作のもつ社会風刺性とかリアルなところがチラついて、物語の中でもいちいち「??」と引っかかっちゃうんだよな……。虚構の世界に入りきれない、といいますか……。

May 11, 2016

ジャッキーに納得できる?(ちょっと修正)

花組 宝塚大劇場公演「ME AND MY GIRL」‐1

 いちおう最初は「東京にも来るんだから遠征しない」と決めていたはずなんですが、ちょうど仕事が混んでなかったこともあり、チケットも買えたので(っていうか、単にがまんできなくなっただけ?)、役替わりBパターン初日2公演見てきました。

 今日は、ひたすらちなつ(鳳月杏)ジャッキーを見ていました。お屋敷のセット(盆じゃなくてセットが回っている、ということはスカステの「ステージ・ドア」で知りました)が回ってくるところがジャッキーの登場だとか、その後彼女が真ん中で一人歌い出すとか、今日見るまで全く忘れていた、というか、そもそも知りませんでしたよ……。これまでは、こんなにジャッキーばかり見ていなかったから(笑)。

 で、ちなつジャッキーはまず、美人でした。……彼女の女役が美しいのは、実は「バラの国の王子」新公(ヒロインの姉役)で実証済ではあるんですが……。今回のジャッキーも「女装」感は低く、素敵な金髪美女でした。肩出しドレスを着ていたのでよくわかったんですけど、彼女、背は高いけど、肩とか腕とか腰とかはけっこうほっそりしている。男っぽく見えないのはそのせいもあるかも(それなのになんで男役だとあんなにがっしり見えるのかしら……)。ちょっとした驚きだったのが、けっこうかわいい役作りだったこと。やっていることはけっこうしたたかだけど、話し方とかしぐさがいちいちチャーミングでした。声もかわいかったですね(そうそう、普段はカワイイ声なのに、サリーと対決するときはドスの効いた声で、この対比がよかった)。

 で、劇が始まってわりとすぐにあるのが、ジャッキーメインの「トップに上るわ~」のナンバー。イケメン(株式仲買人)にかしづかれ、リフトされる……。個人的にはジャッキーはこのナンバーが一番好き。ガンガン、ガツガツ踊って歌ってカッコイイ。
 実は、11時公演のときはここの歌、高音のところがキツそうで、確か歌劇の座談会で「ジャッキーの歌はけっこう上のほうまで出さなきゃいけないから大変」というようなことを言っていたけどなるほどこういうことか……と思ったんです。が、15時公演のときは、高音もそれほど気になりませんでした。できるじゃないか!! ということで、歌も耳にやさしいし、ここは本当に華やか。長い手足が映えます(初日はやや段取りっぽかったような気もしたけど、きっとこの後こなれていくでしょう……)。このナンバーで、「ちなつジャッキー」の存在感をアピールできたのではないかと……。

 このとき着ているピンクのワンピース(最初はジャケット付き)は、かなり残念なデザインなんですが(ですよね)、私が見た歴代ジャッキーのなかではちなつジャッキーの着こなしはかなりマシなほうだったのではないかと。なんでだろう。まさか私の眼があのワンピースに慣れたとか!? それはいやだ……(笑)。彼女が痩せすぎていないからか(先ほどいったように彼女も結構細いんだけど、歴代ジャッキーってけっこう細い男役が多いですよね)、カツラのボリュームとのバランスがいいのか……。
 あ、ちなみに、これ以外の衣装はどれも似合ってたと思います。特にランベスウォークのドレスと最後のオレンジのドレス。両方とも細くて露出が多いヤツですね。「太陽がシャッポ……」でタップを踊るところのブルーの花柄?のワンピースもよかったですけど。

 キキちゃん(芹香斗亜)ジェラルドとのバランスは……。大変仲のよさそうな二人でした。婚約&結婚ではもめていたけど、そのあいだもずっと仲良かったでしょ、結局ビルが来てから一番しゃべっているのはこの相手でしょう、というような印象……。ただ、鳳月杏が、性格しぐさがカワイイとはいえ、年齢的にはそこそこ行っているように見えるのに、芹香斗亜はかなり若く見えるのがちょっとバランス的にどうなのかな、という気もしました。たぶん二人はあまり年が離れてないはずなので……。

 つまりジェラルドとジャッキーは昔っからきょうだい(兄妹じゃなくて姉弟かな……)のように育っていて、お互いを知り尽くしていているんだけど、知りすぎているゆえに愛しているというよりほとんど相手が空気みたいになってしまっているというふうに見えたんです。過去に少なくとも一回は盛り上がって婚約まで言ったんだけど、おそらくジェラルドの借金問題でそれが進まなくなってしまい、さらにこれも推定ですが自分の家も経済的には余裕がなく、自分の生活のためにも、ついでにヘアフォード一族のためにもここは自分がビルと結婚するのが一番いい、と思っている(結婚すれば今と同じような生活が続けられるし、ジェラルドとは今までと同じように行き来できる、ぐらいに思っている)。それをけっこう大真面目に考えて行動に移しているのがジャッキーなのかな、と(ジェラルドがそれじゃあ納得しないのでは、などとは考えていない)。
 つまり、彼女にとってビルを誘惑するのは、「婚活」に違いないけどむしろ「就活」なんだな。しかも終身雇用の。ということで、ジャッキーはまさに「仕事(結婚)と楽しみ(恋愛)」を分けて考えているんですね。

 彼女も家の経済状況とジェラルドのふがいなさのせいで、婚期を逃しかかっているので、これが現状打開のラストチャンスかも、と背水の陣、と考えるとけっこう腑に落ちます。

 どうでしょう? ちなつジャッキーからはそんな背景を想像することができました。

 し・か・し……それでも、ビル誘惑のシーンの「抱いてほしい」のナンバー(「あなたは私に夢をみさせる」)は相当長くて歌詞もひどく、ちょっとモニョってしまうんですが(いや、色仕掛けで誘惑するのはいいんですよ。別に。しかし「抱いて」の連発とか芸がなさすぎ)、やはり、なんといっても相変わらず納得できないのは、ジェラルドとの結婚を決める「お尻ペンペン」です。ここの演出は特に変わっていなかったと思いますが、ちなつジャッキーの「あああ~ん」の声は比較的さっぱりしていた方だったかな……(他がどうだったか思い出せない。れい(柚香光)ジャッキーはまだ見ていないし)。
 みんな、この「お尻ペンペン」納得したのかな??(追記:なんかここはイギリス上流階級のスパンキング趣味をからかっているのだそうですが……。そういわれても、現代日本人にはあまりピンとこないし、上流階級への風刺が骨抜きになっている宝塚ミーマイでなぜここだけ……)
 えーっとなぜさっきから「納得」「納得」と言っているかというと……。スカステで見た初日挨拶で、明日海りおが、「ある日、三木先生から『納得しないでやるくらいならやらないほうがいい』と言われてみんな変わった」というようなことを言っていたんです(追記その2:録画確かめたら、正確には「腑に落ちないことを腑に落ちないままやるなら、やらないほうがましだ」と言われて「私たちは目覚めた」でした。ちょっと違った。私が勝手に脳内変換していたようですが、この文章は「納得」のままにしときます)。それで、「おおお。やっぱりみんな納得できないよね。この話。じゃあ、このあとみんな『納得』できたの? もしかして今までの『ミーマイ』と違うものになったりして」とちょっとだけ楽しみにしていたんですが……。まあ、脚本があるわけだからそう変わるわけないか……。

 というわけで、「ミーマイ」って微妙な作品だとずっと思っているわけですが(過去にもこんなこと書いてます)、今回ジャッキーにフォーカスして見たら、ジャッキーもなかなか難しい役だということがわかりました。いや、見せ場はたくさんあっていい役だけど……。

 ちなみに、今回はフィナーレに男役燕尾があるのは大変ありがたいことで。しかも、鳳月杏が燕尾のメイン3人に入ってもうファンとしては涙モノです。だってこの3人だけ燕尾にキラキララインストーンがついているんですよ。(ま、パンツの脇のラインの数が芹香斗亜が3本、柚香光が2本、鳳月杏は1本、としっかり順番はつけてますけど。そしてこの燕尾にはトップ男役である明日海りおは入っていないし、瀬戸かずやは、その前に娘役とのナンバーに出ているという状況での男役メイン3人だということはじゅうぶんわかっていますが)

 さらにさらにBパターンでは、黒燕尾でキザる女役化粧の鳳月杏という珍しいものを見ることができまして……。ダンスはいつもと相変わらずカッコイイ、と思いましたが、本人の心情的には男役化粧のときと違うものがあるのでしょうか? 興味深いです。遠目にはそんなに違いはわかりませんでしたが、やはり黒燕尾は男役化粧のAパターンもぜひ見たい、と思いました。

 フィナーレ階段降りや銀橋の並びは番手というより役の順なんですね……。けっこう珍しいかも。役の順というかカップルをまとめることを優先しているみたいですが。
 Bパターンの階段降りは、柚香光バーチェスター、仙名彩世マリア叔母、瀬戸かずやジョン卿、鳳月杏ジャッキー、芹香斗亜ジェラルド、花乃まりあサリー、明日海りおビル。銀橋は、センターから上手に向けて、明日海、芹香、鳳月、柚香だったと思う。ウェディングドレス姿がふつうにキレイな鳳月杏とイケメン柚香光をオペラグラスでまとめて捕えることができて大変眼福でございました。

 あ、最後にジャッキー以外の話を一つだけ。
 ほとんどジャッキーばかり見ていた私ですが、このBパターンで予想しなかった面白さだったのが、柚香光パーチェスター。ちょび髭のおじさんと思いきや、銀縁眼鏡ありのイケメン。しかも、なんか自分に酔っている(笑)。眼鏡をふっと押さえるしぐさが完全に狙っている。ナルシスト! そのかっこつけが結果的にすべて滑っていて笑いをとってました。正直、柚香光があの面白キャラをどうやるのか、と思っていたのですが、未沙のえるさんとも、星条海斗(マギー)とも、おそらく鳳真由(Pちゃん)ともまったく違う役作り! よかったです。彼女は芝居に関してはあまり器用な印象は持っていなかったのですが……。いや、いままで大劇場で見た彼女の役のなかで一番よかったような……。これは思わぬ収穫でした。

(2016年5月15日と17日にこそこそ直しました)

May 08, 2016

「激情」を見て「舞音」思い出し……

月組 全国ツアー(市川文化会館)「激情」「Apasionado!!III」-1

 実は見たんですシリーズ(笑)。観劇は4月10日だから、もう一ヶ月前か……。

 全ツは本当に久しぶりです。もしかして、水夏希の「ベルばら」以来では?なんて思ったけどさすがにそれはないかな……といろいろ考えていたら、柚希礼音の「琥珀色の雨にぬれて」を横浜に見に行ったような気がしてきたんだけど、うーん記憶が曖昧……。行ったとすると2012年秋か。とにかく久しぶりなんです。

 さらに、「激情」を生で見るのは初めて。だいぶ前に宙組のを映像で見ただけ。結構記憶が曖昧で、「あれ、こんな話だったっけ」というところ多々あり。

 で、今回の感想は、まず、ちゃぴ(愛希れいか)カルメンかっこええ! これに尽きるかな。ちょっと動物のようなところ、踊っているときの体のキレ、演技をしているときの体のライン、すばらしかった! 彼女が踊れることはもちろん前から知っていたんだけど、芝居でこんなにぴったりの役見たの初めて。それにはカルメンという役がしっかり書き込まれていることも大きく関係しているよね。束縛されたくない、自由に生きたい女。ここが一見話が似ているようだけど、ヒロインに魅力がなかった「舞音」との一番の違いかな。

 珠城りょうもホセというまっすぐ(実は真面目一本というわけではなく、結構しっかりしている面もあるし、なんか故郷でやらかしていたそうで)な役がお似合いでした。苦悩する大人の男が似合います。チリチリパーマは個人的にはあまり好きじゃなかったけど、これは初演以来の伝統なのか?
 彼女は立派に主役を演じていました。これはショーでも言えるけど、真ん中に違和感なかったです。研9で全ツ主演ってすごいことなんだろうけど、今までの役付きもそれなりだったから、特に違和感はないな、と。でも、骨太でちょっと古風な宝塚のヒーローが似合う彼女がトップになったことはとてもうれしいです。そういう作品たくさん見たいので。

 全ツってチケットが取りにくいこともあってすっかり行かなくなってしまったんだけど、久しぶりに見て思い出したこともある。全ツって大劇場でやった演目を人数減らしてやるからどうしてもちょっと薄くなった感じがしちゃうんだよね。装置も大劇場とは違うから。やっぱり大劇場は違うな……。普段の生オケのよさなんかもしみじみ感じてしまった。特にショーで。もちろん大劇場とは同じシーンでも演じ手が違ったりしてそれはそれで見どころはあるんですけどね。特に今回は珠城りょう主演のショーというのを私は初めて見たわけだし。
 もちろん、
自分が応援している生徒が、ちょうど全ツだと番手があがって、本公演では考えられないくらいのいい役につく、なんてことがあれば「絶対見たい」となるんですが。そうなるとチケットとりづらいのが辛い……。

 あ、最後に、一つ。蒼真せれん君は相変わらずイケメンでした!

 

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