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August 09, 2016

アーヴィングはあれでいいのか?

雪組 赤坂ACTシアター 梅田芸術劇場大ホール公演「ローマの休日」-2

 でもって、ここからはちょっと辛口というか文句。ネタバレもあります。
 この作品、原作映画の良さにかなり助けられているな、というか、かなりよっかかっていると言ってもいい。だって観客が笑ったり感動したりしているところの大部分がもともと映画にあるシーンなんですよ。
 えーっと主に役の面から映画と宝塚版の違いを簡単に説明すると、映画は役が少ないというか、アン(咲妃みゆ)とジョー(早霧せいな)とアーヴィング(カメラマン。彩凪翔と月城かなとのダブルキャスト)以外はほとんど役がない。だから宝塚で上演するにあたり、役を増やして膨らませています。映画にはちらっとしか登場しない美容師は出番を大幅に増やす(マリオ。月城かなとと彩凪翔のダブル)。あとは……ジョーの上司である新聞社の支局長(鳳翔大)なんて映画には全く出てこなかったような気がしたけど、一応出てきたみたい。でもあんなに支局のシーンはたくさんなかったと思う。市場の人やらウェイター、警察官たちもちらっと出てきたかもしれないけど、あんなにセリフや芝居はたくさんなかったはず。そうそう、アーヴィングの恋人フランチェスカ(星乃あんり)は映画には出てこなかったような……違ったかな。
 で、観客が笑っていたところは、自己陶酔系美容師マリオがらみのところを抜かせば、ほとんどが原作にあったシーンでした。あと、私が何度見ても泣いてしまう記者会見のアン王女の「ローマです。ローマです」も映画からだし……。ああ、ただし、その前、アン王女が泊まっていた屋敷?(迎賓館?)に帰って、家臣たち(?)に「いえ、もう大丈夫です」的なことを言うところは映画とは違ったような気がする。あそこは咲妃みゆの演技に泣いたな……。うん。
 宝塚版になってすごく出番が増えた役の一つが支局長なんですが、それがあまりうまくいっていない。なかでも一番ひどいと思ったのが、アン王女と別れたジョーのアパートに支局長が一人でやってくるくだり。あれ、いらなくないですかね。三度目、四度目の観劇のときには、あのシーンになると早送りしたくなりました。だって、まず、アン王女の写真があるんじゃないかとかぎつけてきた支局長が写真の入った封筒に気づくと、ジョーは支局長にそれを渡してしまうんですよ(信じられないその1)。そしてジョーは、渡したあとで、「それはフランチェスカのヌード写真ですけどね」(大意)とウソを言ってそんなものどうでもいいようなそぶりをするんだけど、そう言われた支局長はなんと写真を封筒から出さずに返しちゃうんですよ(信じられないその2)。封筒には封もしてないのに。
 些細なことかもしれないけど、毎回そのシーンを見るたびにもやもやしていました。
 でもってさらに問題なのは(ここから先の話は私が月城かなとファンということをご理解の上お読みください)、2番手役のアーヴィング(カメラマン)がどうもしどころがない……(その代わり、3番手のマリオ(美容師)が振り切れたキャラで笑いがとれてかなり美味しいんですが)。これって、設計ミスなんじゃ?と思ったわけですよ。
 つまりですね。私は月城かなと君好きで、関東に住んでいます。まず「ローマの休日」で彩凪翔くんと月城くんが役替りをやると知らされた。役替りは公演期間の長い梅田劇場のみで、月城君は、中日劇場と赤坂ACTシアターで彩凪翔君のやるアーヴィング(カメラマン)の役をやると。彩凪君は月城君より上級生だし、組内番手も上だから、当然、アーヴィングは公演2番手役、月城君が東京でやるマリオ(美容師)が公演3番手役でしょう。だったらこれは2番手役をやる梅田芸術劇場に行くしかない! そう、遠征しなきゃ!
 で、「私のローマ本番は梅田だわ。8月だわ」と思っていたのですが、その前に、まず東京(赤坂ACT)で月城マリオを見たら、これが出番もかなり多く、しかも笑いがとれて美味しい役だったのはうれしい誤算でした。オーバーアクションのコミックキャラを生き生きと演じる月城かなと君、イケメンだけど、ちょっと気持ち悪いイタリア男を演じる月城君しかもwith髭!!最初は本人のキャラに合わない役で大丈夫かな、とも思ったのですが、やはりそこは芝居巧者。けっこう振り切れて演じていました。いやー、「るろ剣」の蒼紫様のあとに、こんな180度違う役が来て、よかった。というわけでマリオは大変よかったのですが、他方で、彩凪君がやっていたアーヴィングは出番多いけど、受け身演技が多いし、ちょっと存在感が薄いかも……と気づいたのです。むむ。やな予感。
 で、いよいよ梅芸Bパターンで遠征したわけです。そこで月城君演じるアーヴィングを見た結論。アーヴィング、やっぱり存在感薄い。描き込み不足。あれは本人たちのせいというより、やっぱり脚本と演出のせいなんじゃないかな。そりゃ、好きなジェンヌさんだから見ていれば楽しいですよ。なんといっても出番は多いし、無精ひげっぽいあごひげも素敵! 歌も、マリオのときのようなコミックソングではなく、割と正統派なものを堪能できるし。でも、やっぱりこの役、あまり美味しくないということに気づいてしまったのです。えー、なんで!? 2番手の役に役替りだからと勇んで遠征したのに!
 もしかして、2番手3番手と考えるのがおかしいのかな、そういう順番をとっぱらったところでの配役だったのかな、とも思いました。あるいは、敢えての月城かなとアゲなのか? でもね……。落ちついて見てみると、アーヴィング、出番は多いし、一応ソロで歌うところも2か所はある(あれ、3か所?)。深読みすることはなくて、やっぱり2番手役として作られていると思います。
 公演2番手が主演者の相棒だったら、もっと男同士の友情がっつりいってほしかった。アーヴィングはジョーがアンを愛してしまったということを、もっとはっきりと気づいたほうがよかったと思うし、そのあとでジョーにはっきり(「おまえ……まさかアーニャのことを」とか)言ったほうがよかったんじゃないかと。えーっと私の理解では、アーヴィングは支局長とアパートでゴチャゴチャやったあとにやっと気づいて、そのあと舞台に残って気づいたことそ示唆するような歌を一曲歌っていたような気がするんですが(4回目の観劇でやっと歌詞の意味をとって、そうなのかな、と)、違ったかな。
 →あ、プログラムにも、「アーヴィングはジョーが心から王女を愛していることを悟った」って書いてあった。うーん、そこははっきりセリフにしたほうがいいと思いました。そこで気障に慰めるとかさ。ジョーもカッコよく返していただいて。
 というわけで、残念なところがいろいろあるんですよ。アーヴィングに関しては彩凪翔くんも、お気の毒でした。いや、ナギショーはこっちが本役だから余計にね。
 あと、全体的に残念だったのは、もともと実力のある人特に芝居心のあるひとはそれなりにやっていたけど、苦手な部分のある人は割とそのまま出ちゃったように思えたところ。つまり、みゆちゃんとか月城くんとか、奏乃はると先輩とか久城あす君とか真條まから君とか、あ、あと陽向春輝くんもよかったと思うけど、例えば彩凪翔君は、「るろ剣」の武田観柳で場をさらい、殻を破ったか、と思わせるものがあったのに、なんかまた殻をかぶってしまったようなところがありました。あと、ちょっとドタバタが過ぎちゃった人も多かった。これは演出の問題なんだろうけど。たとえば真那春人の将軍。これもね……。せっかく見せ場があったけど(スパイたちと踊るところ)、ソロ歌が致命的によくなかった。彼女、歌はそんなに得意じゃないけど、せめてもう少し音程を上げたらなんとかなったのでは。それと、あのオーバーアクションな子供っぽい将軍の作りは……どうかと思いました。わたし、基本的にまなはるファンなんですよ。「凍てついた明日」のころから。しかし、ファンの私でもなんか残念だったです。
 たとえば、真條まから君のお医者さんが来てまなはるの将軍が注射針見て倒れるところ、まなはるの芝居と、真條くんの芝居のテイストが全然違った。真條君が非常に誠実そうなお医者さんを丁寧に演じている横で漫画のような動きをするまなはる。こういうのを見ていると、どういう演出意図なのかなと思ってしまいます。けっこう本人に任せている?
 彩凪翔君や真那春人君のうまくはまったお芝居を見たことがあるからこそ、なんとかできたはずだ、と思ってしまいました。あ、あと大ちゃん(鳳翔大)も。彼女が技術的にやや苦手なことの多いジェンヌだということは知っています。だけど、そうならそれで、もう少し良さを引き出して欠点をカバーする出し方があったんじゃないかな、と。
 そして、役の設定がどうなの、という意味では実は一番損をしていたのではないかと思うのは、ジョー・ブラッドレーを演じたチギちゃん(早霧せいな)かも。なんか、変に……皮肉屋といえばまだ聞こえがいいけど、小ずるい感じになっていませんでしたか。それ、違いません? ハリウッド映画のヒーローとして。しかも、アメリカに帰りたくて腐っている、今の生活に嫌気がさしているジャーナリスト、って設定、観客の共感得にくいのでは? 映画にもアメリカ帰りたい、というくだりはあったのかもしれませんが(思い出せないけど)、あそこまでしつこく「アメリカに帰る」を真顔で訴えてなかったと思います。最初はたいくつそうな王女の会見とか興味なかったけど、いざ王女が自分のアパートにいると知ったら、スクープを常にねらうジャーナリストとしての本能が蘇り、ってことでよかったんじゃないかな。私、チギちゃんはもともと好きです。最近だと「ルパン」も「星逢一夜」も「るろ剣」もすごくよかったと思うし、芝居はうまい人だと思う。そういう芝居の期待値の高さでいくと、今回のジョー・ブラッドレーはもの足りませんでしたね。 まあ、彼女が得意とするのは若者で、今回のようなちょっと渋いオジさんは挑戦だったのかもしれないけど。それにしても、役のつくり方が違う方向に行っているのではないか、と。それから、役作りと関係あるのかないのかわからないけれど、彼女のセリフ、抑揚が変で気になりました。特に疑問形で語尾があがるときとか、「アーヴィング」と呼びかけるときとか。どうなんですか。あれ。ちょっと「ルパン三世」入ってました。ルパンはアニメの(山田康雄の)声のイメージをある程度踏襲してのあの独特の口調だと思っていたんですが、なぜ、いまここで、ルパンの抑揚? (どうしてトップさんはセリフに抑揚がついてきちゃうの!?)
 チギちゃんの芝居にはかなり信頼を置いていただけに……。
 でも、同じ生徒さんでも、こうやって作品によってよかったり今一つだったりするのを目の当たりにすると(もちろん本人に合う合わないはあるとは思うけど)、やっぱり演出家の力って大きいんですね。(イケコ……)

August 08, 2016

「ローマの休日」はやっぱり名作!

雪組 赤坂ACTシアター 梅田芸術劇場大ホール公演「ローマの休日」-1

書くと言ってドン・ジュアンの出演者別感想書いていない……。うううう。い、いつか……。
同じ雪組の「ローマの休日」Aパターン、Bパターン見ました。これはこれでいろいろ考えるところが。
 
やっぱりなんといっても原作がいい。宝塚版の観客の多くが見ていて、おそらく好きだと思われる名作映画「ローマの休日」。その映画の良さがそのまま舞台にも出ている。そして映画を楽しんだ記憶が芝居の好印象にもつながっているよね。私たちは宝塚の舞台の「ローマの休日」を見ているけど、その後ろにオードリー・ヘップバーンが見える、というか。
ちょうど脚本家のダルトン・トランボが主人公の映画が公開されているけど、その彼の書いた「ローマの休日」の脚本(まあ、映画化されるときに手直しは入ったみたいですが)がよくできているってことに尽きますよね。脱走した王女と出会った人たち(おもにジョー)のとんちんかんなやりとりは微笑ましいし、最後の記者会見での「ローマです。ローマです」のシーンはわかっているけど毎回ぐっと来てしまう。そして、突然「記者の方とあいさつを」と言いだすところもしゃれている。このユーモア。
そして、咲妃みゆの演技。オードリー・ヘップバーンと彼女はかなり持ち味が違う。しかし、彼女が、アン王女の浮世離れしたところやかわいらしさ、そして成長ぶりをしっかりと演じたことで、映画の良さが舞台でも生きたと思う。彼女はオードリーじゃないんだから、なぞっていただけではあそこまでの感動はなかったと思う。やっぱりあの作品はアン王女がカギだよね。
 
そもそも、「ローマの休日」のようなちょっとクラシックな洋画って、現代から見ると「古き良き時代」というか、かなりおとぎ話っぽくて、例えば、今映画にしても時代錯誤にしか見えないんじゃないかと思うけど(えーっと確か一回再映画化されたけど全然ヒットしなかった記憶が)、宝塚はその点、ちょっと時代を超えているから(笑)、違和感がないというかけっこう親和性が高いと思う。
初めて宝塚見る人にも楽しめる作品になっていたんじゃないでしょうか。
 
しかし……。つづく。(今度こそ絶対つづく)

July 10, 2016

ドン・ジュアン、すみれコードをぶっちぎり

雪組 KAAT神奈川芸術劇場公演「ドン・ジュアン」-01
 えーっともうだいぶ時間がたってしまいましたが、直後の印象はこれ。

 特に第一幕は圧倒されました。その密度に。ステージの上の人間も、音楽も、みっちり詰まっている感がありました。隙間ない感じ。ものすごく贅沢。主役のドン・ジュアンを演じた望海風斗始め、歌う人歌う人うまい。耳福。しかも迫力のある音楽。私、おそらくフレンチミュージカルのこのみっちり感がかなり好きなんだな。たたみかける、とも言う。もとになったフランス版の「ドン・ジュアン」見てないけど、おそらく、この宝塚版「ドン・ジュアン」のみっちり感はオリジナルのフランス版に負うところが多いんだろう、と。しかし、その楽曲や、すみれコードぶっちぎりの表現(男女の関係もそうだけど、亡霊のビジュアルだってある意味宝塚を逸脱していますよね。すみれコードとは言わないが)によく雪組メンバーがついていったな、と。
 でもって、おそらくお芝居の部分はだいぶ宝塚版の演出家、生田センセイが足したんだろうけど、まあ、私はお芝居部分の書き込みが足りない、とはそれほど思いませんでした(えーっと細かいことはあるけど、致命的というほどには)。私はモリエールの戯曲も知らないし、オペラの「ドン・ジョバンニ」も知らないし、そもそもそれらのもとになっている「ドン・ファン伝説」もよく知らない。知らないけど、ま、あちらの古いお芝居とかオペラって理解不能な筋多いからいいっか……、とハードルが低くなっているところがあるんですよね。まあ、いかにドン・ジュアンがひどい女ったらしかということはしつこく示されていたから、まあ理由が今一つはっきりしていないくてもいいかな、と。で、それを超える全体の熱量、でした。
 梅田に行ってから、いくつか改変が施されたそうですが、なかでも一番大きい、実母との関係については、確かに観劇していてちょっと驚きましたね。要するになぜドン・ジュアンがあのように人を愛せない女ったらしになってしまったか、ということなんだろうけど……。実の母を犯してしまうっていうのはちょっとね……。しかもそのときのジョン・ジュアンが子役だったから余計。まあ、月並みだけど、相手は実母が死んだあと嫁いできた若い後妻じゃいけなかったのかな、あるいは、崇めていた実母が若い男と浮気しているのを見てしまう、とか。
 変更した、ということは演出家が自主的に、というより「すみれコード的にまずい」となったのかな……。しかし、そんなこと(そんなことじゃ済まないかもしれないけど)よりも、ドン・カルロ(公演二番手の彩風咲奈)がなぜあんなにドン・ジュアンのことをかまうのか(プログラムの言葉を使うとするえば、「数少ない理解者」になったのはなぜか)をもうちょっと描いたらよかったのにな、と思いますが。そこ、宝塚作品としては重要でしょう(笑)。いや、市場調査したら一番需要が高そうな「そこに愛があるから」でもいいけど(笑)、別にそこまで露骨に腐女子向けにしなくても、幼馴染だったとか、ドン・カルロが窮地に陥ったときに助けてくれたことがあるとか(得意の剣で?)でもいいと思うんだけど……。
 で、望海風斗はこの作品の最大の貢献者で、彼女の実力がなければここまで作品の完成度が上がったとは思えないんですけど、彼女にとってもこの時期にいい作品が来てよかったね、とも思いました。彼女は近いうちにトップになるだろうけど、やっぱり主演作の評判がいいに越したことはないですよね。私は花組時代の彼女のバウ初主演作品「Victorian Jazz」は見てないけど、少なくとも去年の「アル・カポネ」よりはこっちのほうがあとに残る作品だと思いました。駄作をなんとか作品として成立させる、という形で実力を示すことも大事かもしれないけど、やっぱりいい作品で実力を発揮してもらいたいものでして。
 
 今、宝塚で翻案するなら、フレンチ・ミュージカルがいいのかな。「ロミオとジュリエット」に「1789-バスティーユの恋人たち」、えーっと「太陽王」は舞台見てないし、映像も見てないんだけど……。まあ、音楽とダンス中心で芝居要素が弱いらしいんで(本場のを見たことないからなんとも言えない。仮に見てもフランス語だから芝居要素が強いか弱いかよくわかんないかな)、宝塚でやるには手を入れなきゃいけないみたいだけど、私が密度と書いたゴージャス感、スペクタル感は今の時代に合っていそう。舞台の上がスカスカしている古くさいブロードウェイミュージカルは、あまり時代に合っていないように思うの……(ということは花組ミーマイを見たときに思いました。ああ、ミーマイはイギリス発だから、ブロードウェイミュージカルとは言わないか……。いずれにしても、今回の花組ミーマイはかなりいいと思うけどね。贔屓が出ていることもあるけど、それを抜いても「いま日本で宝塚が上演するミーマイ」としてはかなり頑張っていると思う。これは別項で書いてるし、このあとも書く予定ですが)。
 だから、またどこかで再演したらいいと思いました、「ドン・ジュアン」。けっこう役者の力量が問われるのかな、と思うけど。
 で、個々の生徒についてはまた別に。

May 15, 2016

ちなつジャッキーとれいパーチェスター

花組 宝塚大劇場公演「ME AND MY GIRL」‐2

 うーん、何かこの前のエントリのタイトルを「ジャッキーに納得できる?」にしたことをちょっと後悔。だって、まるで鳳月杏のジャッキーがよくないみたいじゃないですか。
 そんなことはありません。とてもよかったんです。

 わたしは、Bパターンが始まってから、ツイッターでも「皆声.jp」でも、「ちなつジャッキー」を検索しまくっているんですが、いろいろ感想を読んでいるなかで、「ちなつちゃんは大劇場でこんなに大きな役は初めてではないでしょうか(それなのに堂々と好演している)」というようなことが書いてあるものがあって、「あ、そうだよな。彼女はそれまでのポジションから言ったらとても大きな役に挑戦しているんだよな」ということを改めて思い出しました。

 忘れてました。そのことを。いや、いちファンとしては、この前の「Ernest in Love」の役替わりアルジャノンのときのほうがもっと不安だったかも。今思うと。でも、そのErnest役替わりも、始まってみたら期待以上の仕上がりで、しかも彼女独自の解釈でやり遂げて感激!ということがあったので、今回は「きっと彼女ならやってくれる」という期待と安心感が根底にはあったんです。もちろん、初日を見るまではかなり不安でしたけど。そして初日の幕が開くとすぐにその不安は一掃され(まあ、初日の11時公演はちょっと冒頭の歌の高音が出てなくてそれは気になったけど)、この役が彼女にとってどれほど大きなチャレンジだったのか、ということはすっかり抜けていました。

 しかし、「Ernest」は別箱公演(梅田芸術劇場大ホールと中日劇場)。見ていない人も多いわけで、やっぱり、大劇場公演で大きな役をやって結果を出すということはとても重要なんですよね。

 なんか、そのへんが割と私の初日感想には抜けていたかな、と気づきました。見始めたら一気に不安が解消され、作品自体への疑問とかジャッキーとしての役の難しさに考えがいってしまっていて……。

 これは何度も書いているのですが、私は、もともとミーマイは宝塚に向いていないんじゃないか、と思っているんです(とか言いながらいったい何回みるつもりなんだwobbly)。もともとイギリスの貴族階級を皮肉った作品であるはずなのに、その風刺的な部分は伝わらず、やたら古臭いだけの、なんとも不思議で中途半端なお話になっている、と思っています。日本語の歌詞も変。あと、もちろん宝塚の作品として、役がこんなに少ないのは許せん!!とっても許せんpout

 で、今回の「ミーマイ」は、主にビルを演じる明日海りおのキャラと演技のせいで、今までの宝塚版よりさらに毒気の抜けたものになっていて、これはこれでいいのかな、と思いました。明日海演じるビルは、下町で育っているから、礼儀作法やマナーは知らない、言葉遣いも乱暴だけど、決して下品な感じはない。やさしくて素直ないい青年でした。サリーと合わせてすごくピュアな感じ。その性格のいい二人が、これまた基本的にはいい人だけど、家柄とか貴族の誇りにこだわっていたヘアフォード家の人々と出会い、最初は上手くいかないけれど、持ち前の誠実さで付き合っていくうちにヘアフォード家の人々の心を溶かすという、なんかほのぼのしたいい話、に割にうまくまとまっているように思いました。

 貴族社会への風刺はほとんど骨抜き。毒っ気なし。階級の差は、ちょっとした訓練であっさり克服。ここまで毒が抜ければ、もうこれは新しい宝塚のミーマイなんでしょう。

 それでも古臭さはあるし、よくわからないところはあるし、ところどころ毒の残骸部分が残っていて、その最たるものが前項で書いた「お尻ペンペン」。全体がほんわかになっているから余計気になるとも言える……。

 そういうどうしようもないポイントはありますが、鳳月杏演じるジャッキーは、自己チューだけど、それほどおバカではなく、彼女なりに自分の上流社会での生活のためにがんばっている、かなり観客(つまり21世紀を生きるわたしたち)が納得できる(好意を持てる)役づくりになっていると思います。

 ジャッキーがそうやって観客にも納得できる、自分たちと地続きな役を目指していたとすると、対照的だったのが、柚香光パーチェスター。

 こっちはどっちかというと、キャラ勝負! しかも、自分の得意なキャラに持って行きましたね。面白ちょび髭オヤジではなく、自己陶酔系弁護士! メガネ男子! かっこつけるけど滑りがち。なるほどこういうアプローチもあったんですね。まあ、もともとパーチェスターはある種キャラ勝負の役ではありますが。

 宝塚ってキャラも大切。「るろうに剣心」なんて、完全にキャラ勝負の世界だったもんね……。「キャラクター大図鑑」みたいな。

 だから、柚香光のアプローチは「あり」だな、と思いました(もしかししたら、今回はこちらの役作りのほうが威力を発揮していたかも!?)

 そう言うと、宝塚なんてもともとキャラ勝負なんだから、ガタガタ言わず「ミーマイ」だって楽しみたまえ、と言われてしまいそうですが、「るろ剣」みたいにキャラ勝負の世界が確立していれば、私もストーリーにそう文句は言いません。だってマンガだから、キャラクター物だから。「なぜこうなるの?」とか「納得できない」とは言わない。お約束だから。

「ミーマイ」は、その点、古臭いし、原作のもつ社会風刺性とかリアルなところがチラついて、物語の中でもいちいち「??」と引っかかっちゃうんだよな……。虚構の世界に入りきれない、といいますか……。

May 11, 2016

ジャッキーに納得できる?(ちょっと修正)

花組 宝塚大劇場公演「ME AND MY GIRL」‐1

 いちおう最初は「東京にも来るんだから遠征しない」と決めていたはずなんですが、ちょうど仕事が混んでなかったこともあり、チケットも買えたので(っていうか、単にがまんできなくなっただけ?)、役替わりBパターン初日2公演見てきました。

 今日は、ひたすらちなつ(鳳月杏)ジャッキーを見ていました。お屋敷のセット(盆じゃなくてセットが回っている、ということはスカステの「ステージ・ドア」で知りました)が回ってくるところがジャッキーの登場だとか、その後彼女が真ん中で一人歌い出すとか、今日見るまで全く忘れていた、というか、そもそも知りませんでしたよ……。これまでは、こんなにジャッキーばかり見ていなかったから(笑)。

 で、ちなつジャッキーはまず、美人でした。……彼女の女役が美しいのは、実は「バラの国の王子」新公(ヒロインの姉役)で実証済ではあるんですが……。今回のジャッキーも「女装」感は低く、素敵な金髪美女でした。肩出しドレスを着ていたのでよくわかったんですけど、彼女、背は高いけど、肩とか腕とか腰とかはけっこうほっそりしている。男っぽく見えないのはそのせいもあるかも(それなのになんで男役だとあんなにがっしり見えるのかしら……)。ちょっとした驚きだったのが、けっこうかわいい役作りだったこと。やっていることはけっこうしたたかだけど、話し方とかしぐさがいちいちチャーミングでした。声もかわいかったですね(そうそう、普段はカワイイ声なのに、サリーと対決するときはドスの効いた声で、この対比がよかった)。

 で、劇が始まってわりとすぐにあるのが、ジャッキーメインの「トップに上るわ~」のナンバー。イケメン(株式仲買人)にかしづかれ、リフトされる……。個人的にはジャッキーはこのナンバーが一番好き。ガンガン、ガツガツ踊って歌ってカッコイイ。
 実は、11時公演のときはここの歌、高音のところがキツそうで、確か歌劇の座談会で「ジャッキーの歌はけっこう上のほうまで出さなきゃいけないから大変」というようなことを言っていたけどなるほどこういうことか……と思ったんです。が、15時公演のときは、高音もそれほど気になりませんでした。できるじゃないか!! ということで、歌も耳にやさしいし、ここは本当に華やか。長い手足が映えます(初日はやや段取りっぽかったような気もしたけど、きっとこの後こなれていくでしょう……)。このナンバーで、「ちなつジャッキー」の存在感をアピールできたのではないかと……。

 このとき着ているピンクのワンピース(最初はジャケット付き)は、かなり残念なデザインなんですが(ですよね)、私が見た歴代ジャッキーのなかではちなつジャッキーの着こなしはかなりマシなほうだったのではないかと。なんでだろう。まさか私の眼があのワンピースに慣れたとか!? それはいやだ……(笑)。彼女が痩せすぎていないからか(先ほどいったように彼女も結構細いんだけど、歴代ジャッキーってけっこう細い男役が多いですよね)、カツラのボリュームとのバランスがいいのか……。
 あ、ちなみに、これ以外の衣装はどれも似合ってたと思います。特にランベスウォークのドレスと最後のオレンジのドレス。両方とも細くて露出が多いヤツですね。「太陽がシャッポ……」でタップを踊るところのブルーの花柄?のワンピースもよかったですけど。

 キキちゃん(芹香斗亜)ジェラルドとのバランスは……。大変仲のよさそうな二人でした。婚約&結婚ではもめていたけど、そのあいだもずっと仲良かったでしょ、結局ビルが来てから一番しゃべっているのはこの相手でしょう、というような印象……。ただ、鳳月杏が、性格しぐさがカワイイとはいえ、年齢的にはそこそこ行っているように見えるのに、芹香斗亜はかなり若く見えるのがちょっとバランス的にどうなのかな、という気もしました。たぶん二人はあまり年が離れてないはずなので……。

 つまりジェラルドとジャッキーは昔っからきょうだい(兄妹じゃなくて姉弟かな……)のように育っていて、お互いを知り尽くしていているんだけど、知りすぎているゆえに愛しているというよりほとんど相手が空気みたいになってしまっているというふうに見えたんです。過去に少なくとも一回は盛り上がって婚約まで言ったんだけど、おそらくジェラルドの借金問題でそれが進まなくなってしまい、さらにこれも推定ですが自分の家も経済的には余裕がなく、自分の生活のためにも、ついでにヘアフォード一族のためにもここは自分がビルと結婚するのが一番いい、と思っている(結婚すれば今と同じような生活が続けられるし、ジェラルドとは今までと同じように行き来できる、ぐらいに思っている)。それをけっこう大真面目に考えて行動に移しているのがジャッキーなのかな、と(ジェラルドがそれじゃあ納得しないのでは、などとは考えていない)。
 つまり、彼女にとってビルを誘惑するのは、「婚活」に違いないけどむしろ「就活」なんだな。しかも終身雇用の。ということで、ジャッキーはまさに「仕事(結婚)と楽しみ(恋愛)」を分けて考えているんですね。

 彼女も家の経済状況とジェラルドのふがいなさのせいで、婚期を逃しかかっているので、これが現状打開のラストチャンスかも、と背水の陣、と考えるとけっこう腑に落ちます。

 どうでしょう? ちなつジャッキーからはそんな背景を想像することができました。

 し・か・し……それでも、ビル誘惑のシーンの「抱いてほしい」のナンバー(「あなたは私に夢をみさせる」)は相当長くて歌詞もひどく、ちょっとモニョってしまうんですが(いや、色仕掛けで誘惑するのはいいんですよ。別に。しかし「抱いて」の連発とか芸がなさすぎ)、やはり、なんといっても相変わらず納得できないのは、ジェラルドとの結婚を決める「お尻ペンペン」です。ここの演出は特に変わっていなかったと思いますが、ちなつジャッキーの「あああ~ん」の声は比較的さっぱりしていた方だったかな……(他がどうだったか思い出せない。れい(柚香光)ジャッキーはまだ見ていないし)。
 みんな、この「お尻ペンペン」納得したのかな??(追記:なんかここはイギリス上流階級のスパンキング趣味をからかっているのだそうですが……。そういわれても、現代日本人にはあまりピンとこないし、上流階級への風刺が骨抜きになっている宝塚ミーマイでなぜここだけ……)
 えーっとなぜさっきから「納得」「納得」と言っているかというと……。スカステで見た初日挨拶で、明日海りおが、「ある日、三木先生から『納得しないでやるくらいならやらないほうがいい』と言われてみんな変わった」というようなことを言っていたんです(追記その2:録画確かめたら、正確には「腑に落ちないことを腑に落ちないままやるなら、やらないほうがましだ」と言われて「私たちは目覚めた」でした。ちょっと違った。私が勝手に脳内変換していたようですが、この文章は「納得」のままにしときます)。それで、「おおお。やっぱりみんな納得できないよね。この話。じゃあ、このあとみんな『納得』できたの? もしかして今までの『ミーマイ』と違うものになったりして」とちょっとだけ楽しみにしていたんですが……。まあ、脚本があるわけだからそう変わるわけないか……。

 というわけで、「ミーマイ」って微妙な作品だとずっと思っているわけですが(過去にもこんなこと書いてます)、今回ジャッキーにフォーカスして見たら、ジャッキーもなかなか難しい役だということがわかりました。いや、見せ場はたくさんあっていい役だけど……。

 ちなみに、今回はフィナーレに男役燕尾があるのは大変ありがたいことで。しかも、鳳月杏が燕尾のメイン3人に入ってもうファンとしては涙モノです。だってこの3人だけ燕尾にキラキララインストーンがついているんですよ。(ま、パンツの脇のラインの数が芹香斗亜が3本、柚香光が2本、鳳月杏は1本、としっかり順番はつけてますけど。そしてこの燕尾にはトップ男役である明日海りおは入っていないし、瀬戸かずやは、その前に娘役とのナンバーに出ているという状況での男役メイン3人だということはじゅうぶんわかっていますが)

 さらにさらにBパターンでは、黒燕尾でキザる女役化粧の鳳月杏という珍しいものを見ることができまして……。ダンスはいつもと相変わらずカッコイイ、と思いましたが、本人の心情的には男役化粧のときと違うものがあるのでしょうか? 興味深いです。遠目にはそんなに違いはわかりませんでしたが、やはり黒燕尾は男役化粧のAパターンもぜひ見たい、と思いました。

 フィナーレ階段降りや銀橋の並びは番手というより役の順なんですね……。けっこう珍しいかも。役の順というかカップルをまとめることを優先しているみたいですが。
 Bパターンの階段降りは、柚香光バーチェスター、仙名彩世マリア叔母、瀬戸かずやジョン卿、鳳月杏ジャッキー、芹香斗亜ジェラルド、花乃まりあサリー、明日海りおビル。銀橋は、センターから上手に向けて、明日海、芹香、鳳月、柚香だったと思う。ウェディングドレス姿がふつうにキレイな鳳月杏とイケメン柚香光をオペラグラスでまとめて捕えることができて大変眼福でございました。

 あ、最後にジャッキー以外の話を一つだけ。
 ほとんどジャッキーばかり見ていた私ですが、このBパターンで予想しなかった面白さだったのが、柚香光パーチェスター。ちょび髭のおじさんと思いきや、銀縁眼鏡ありのイケメン。しかも、なんか自分に酔っている(笑)。眼鏡をふっと押さえるしぐさが完全に狙っている。ナルシスト! そのかっこつけが結果的にすべて滑っていて笑いをとってました。正直、柚香光があの面白キャラをどうやるのか、と思っていたのですが、未沙のえるさんとも、星条海斗(マギー)とも、おそらく鳳真由(Pちゃん)ともまったく違う役作り! よかったです。彼女は芝居に関してはあまり器用な印象は持っていなかったのですが……。いや、いままで大劇場で見た彼女の役のなかで一番よかったような……。これは思わぬ収穫でした。

(2016年5月15日と17日にこそこそ直しました)

May 08, 2016

「激情」を見て「舞音」思い出し……

月組 全国ツアー(市川文化会館)「激情」「Apasionado!!III」-1

 実は見たんですシリーズ(笑)。観劇は4月10日だから、もう一ヶ月前か……。

 全ツは本当に久しぶりです。もしかして、水夏希の「ベルばら」以来では?なんて思ったけどさすがにそれはないかな……といろいろ考えていたら、柚希礼音の「琥珀色の雨にぬれて」を横浜に見に行ったような気がしてきたんだけど、うーん記憶が曖昧……。行ったとすると2012年秋か。とにかく久しぶりなんです。

 さらに、「激情」を生で見るのは初めて。だいぶ前に宙組のを映像で見ただけ。結構記憶が曖昧で、「あれ、こんな話だったっけ」というところ多々あり。

 で、今回の感想は、まず、ちゃぴ(愛希れいか)カルメンかっこええ! これに尽きるかな。ちょっと動物のようなところ、踊っているときの体のキレ、演技をしているときの体のライン、すばらしかった! 彼女が踊れることはもちろん前から知っていたんだけど、芝居でこんなにぴったりの役見たの初めて。それにはカルメンという役がしっかり書き込まれていることも大きく関係しているよね。束縛されたくない、自由に生きたい女。ここが一見話が似ているようだけど、ヒロインに魅力がなかった「舞音」との一番の違いかな。

 珠城りょうもホセというまっすぐ(実は真面目一本というわけではなく、結構しっかりしている面もあるし、なんか故郷でやらかしていたそうで)な役がお似合いでした。苦悩する大人の男が似合います。チリチリパーマは個人的にはあまり好きじゃなかったけど、これは初演以来の伝統なのか?
 彼女は立派に主役を演じていました。これはショーでも言えるけど、真ん中に違和感なかったです。研9で全ツ主演ってすごいことなんだろうけど、今までの役付きもそれなりだったから、特に違和感はないな、と。でも、骨太でちょっと古風な宝塚のヒーローが似合う彼女がトップになったことはとてもうれしいです。そういう作品たくさん見たいので。

 全ツってチケットが取りにくいこともあってすっかり行かなくなってしまったんだけど、久しぶりに見て思い出したこともある。全ツって大劇場でやった演目を人数減らしてやるからどうしてもちょっと薄くなった感じがしちゃうんだよね。装置も大劇場とは違うから。やっぱり大劇場は違うな……。普段の生オケのよさなんかもしみじみ感じてしまった。特にショーで。もちろん大劇場とは同じシーンでも演じ手が違ったりしてそれはそれで見どころはあるんですけどね。特に今回は珠城りょう主演のショーというのを私は初めて見たわけだし。
 もちろん、
自分が応援している生徒が、ちょうど全ツだと番手があがって、本公演では考えられないくらいのいい役につく、なんてことがあれば「絶対見たい」となるんですが。そうなるとチケットとりづらいのが辛い……。

 あ、最後に、一つ。蒼真せれん君は相変わらずイケメンでした!

 

May 07, 2016

グランドホテル(RED)

赤坂ACTシアター公演「グランドホテル」(REDバージョン)‐1

 思い出し「グランドホテル」。

 観劇からだいぶ間が空いてしまいました。作品およびキャストについて不勉強なもので、大変にシンプルな感想しかないのですが、観劇後に宝塚で再演が決まってちょっと思いめぐらすポイントが増えたかな、ということで(その発表からもだいぶたっているが……)。
 ヅカファンで1公演しか見ないなら、フツーは安寿ミラと樹里咲穂が出ているGreenバージョンを取るんでしょうが、諸般の事情により、Redのみ観劇。でも、片方見るともう片方も見たくなっちゃいました……しかも、結末が違うそうじゃないですか!!……がモロモロ都合がつかず、断念。残念。

REDバージョン、主な役は……

オットー 成河
ガイゲルン男爵 伊礼彼方
フレムシェン(タイピスト) 真野恵里菜
グルシンスカヤ(プリマバレリーナ) 草刈民代
ラファエラ(グルシンスカヤの秘書) 土居裕子
など。

宝塚OGでは真瀬はるかが出ていました(RED、GREEN共通キャスト)。

演出は、トム・サザーランド。

 この作品見るのは全く初めて。宝塚の初演(初演は、私にはプレ宝塚期、つまり文明開化以前というか、前近代というか、暗黒期というか、ルビコン川を渡る前というか……。そんなことどうでもいいが)はもちろん、戦前のMGM映画も見たことなく……。公式HPをざっと見たぐらいで話も登場人物もぼんやりと理解しただけで劇場に。

 群像劇ということは事前に知っていたのですが、途中まで、ストーリーのメインは男爵とグルシンスカヤだと思ってました。詐欺師に成り下がった没落貴族(ただしイケメン)と、落ち目のプリマバレリーナ(こちらも美人)って主役っぽいし、演じている二人も役によく嵌っていたし。しかし、最後に、それまで「主なメンバーの一人」だと思っていた成河オットーに泣かされ、あ、この二人(オットーとフレムシェン)が実はメインのカップルだったのかな?と思ったところでお芝居は終わりました。ある意味予想外というか、最後の最後で比重が逆転というか……。

 で、観劇後にHPなどで「主役」は一応オットーとされていることを知り、ちょっと驚きましたね。うーん、やっぱり全体の主役にはちょっと見えなかったかな。それはオットー役の成河のキャラもあるのかもしれないけど……。たぶんGreenバージョンの中川晃教のほうがヒーローオーラがあると思うので(実は彼舞台では見たことないかも……。あったかな?)、このへんはGreenで見るとちょっと違うのかも。ま、群像劇なんで、誰が主役でもいいんですけどね。

 私が、Greenも見たかった、と思う一番の理由は実は安寿ミラのグルシンスカヤ。いや草刈民代は割によかったんですよ。浮世離れしたお姫様感はあるし(棒読みっぽい台詞回しも、浮世離れと思えばそれほど気にならない……)、バレエのポーズはもちろん、立ち姿、身のこなしの美しさ、プリマバレリーナで100パーセント納得(ついでにいうと、ちょっと年増、というところもぴったり)。歌は上手くはないけど、これは覚悟していたせいもあってかそれほど気になりませんでした。というわけで、これはこれでけっこう納得したんですが、安寿ミラがやったら全然違うんだろうな、と。ちょっと見てみたかったです。

 私的に一番よかったのは、男爵の伊礼彼方。人を騙して金を巻き上げるプレーボーイの没落貴族って役どころがぴったり。彼ってイケメンなのにいつもちょっとイケてない役ばかりやっているような気がする。なぜ城田優みたいになれないのかしら(笑)。でも、いいです。イケメンなんだけど、ちょっと「小さい」男ってのも大事ですから(笑。褒めているのか?)
 ただ、この男爵という役、けっこう残酷(血がドバーとかではなく、詐欺のやり方がね。金持ちから巻き上げるんじゃなくて、余命いくばくもない男を、しかも自分に恋している女性を利用して……)なことしていたのに、恋に落ちてからはあっさり普通の「いい人」に豹変してしまったように見えたのがちょっと残念だった。もうひとひねりほしかったような。もちろん、小ずるいことしていたけど、悪くなりきれない男だった、ということで、この役、とてもおいしいわけですが……。

 宝塚版は演出が違う(トミー・チューン版)ので、オットーの造形も違うのかもしれないけど、宝塚でやるなら、さえないオットーより、イケメンちょい悪男爵が主役のほうがいいような気もするけどな……。最後は、恋人にかっこ悪いところ見せないで死んでいく色男ってことで大変カッコイイし。

 あと、フラムシェンの真野恵里菜、初めて見たと思うけどとてもよかった。いかにもいそうな、小さくてかわいくて頭がよい女の子(でも大人っていうか20歳前かもしれないけど、とにかく自活している一人前の女性)。ただ、ああいう造形って日本独特かな、という気もする。欧米人にはああいう幼さが売りみたいな女性はいないような……。あ、でもいいんですけどね。ここ、日本なんで。

 ラファエラの土居裕子はベテランさんですが、たぶん舞台で見るのは初めて。大変重要な役だと思うんですが、かたくな感じがよく出ていて、派手な登場人物の間で(特にグルシンスカヤとの関係性において)物語に奥行を出すような重要な役と思いました。ある意味凡人には感情移入しやすいし(あれ?そうでもないかな。一見地味で屈折している女性に感情移入する人って実は少ない?)。……っていうかこういうちょっと苦い役があることが作品を大人向けにするんだな、と。
 ――ただ、この役、宝塚の初演のときは天海祐希がやっていたと聞いてびっくり。ラファエラがグルシンスカヤにただ憧れて愛しているだけではなく実は支配している?というあたりは宝塚版にはないだろうな、もっとシンプルな崇拝者または地味な秘書にして比重は落ちるのかな、と思っていたので。だいぶ意味付けが違うんでしょうね。この役に関しては。

 平日夜公演は19時開演。劇場は都会のど真ん中。終演後に行く店にも不自由しない。仕事帰りにちょっと演劇という大人のライフスタイルに合う作品だな、と思いました。
 ま、実際は仕事帰りの観劇なんてなかなかできないんだけど(!)。そして東京が仕事帰りにちょっとお芝居、というライフスタイルに合う街なのかよくわかりませんが。

April 10, 2016

るろ剣初見の痛恨事

雪組 東京宝塚劇場公演「るろうに剣心」‐1

 チケットが大変とりにくい「るろ剣」。ちょっと「酸っぱいぶどう(合理化)」モードで、「まあ、私は原作ファンじゃないし、2.5次元にすごくはまるタイプでもないと思うから、きっと他の人ほどは好きじゃないんじゃないかな……」と、無理やり自分をあきらめさせていました。それでもさまざまな僥倖があり、今回2階B席で見ることができました。

 あー、でも、私は原作「るろ剣」読んでません。映画も見ていません。そして、2階のB席というかなり遠いところから、1回見ただけの感想なので、ご理解くださいね(と言い訳)。

 全体的に役がてんこ盛りで誰が誰だか……話は分かりましたが(原作は読んでませんが、ヅカ関係の出版物やらスカステで粗筋等は仕入れています)、たった1回見ただけでは、ヅカファンとしては消化不良。でも、思ったよりずっと楽しかったです。なぜか、同じ小池先生の「薔薇の封印」を思い出しました。「薔薇の封印」って大作・名作扱いされてないけど、肩の力抜けていて楽しいし、豪華な作品だと思うんですけどね(マッドサイエンティストとか怪しいNPOが出てくるんでちょっと脱力するけど)。これもそんな感じ。またやってほしいな(笑)。「エリザ」とか「ロミジュリ」とか「1789」とは違う系統の、肩の凝らない、役がいっぱいあって楽しい小池作品。あと、殺陣がすごかった! ジェンヌの能力はすごいなあ……。

 あとは箇条書きで。

早霧せいな(緋村剣心)……はまり役! ちぎちゃんは永遠の少年だわ(渋い大人の男の役なんてふらなくていいです)。歌もいつもに比べてよかったような……。宛書だからかな。

咲妃みゆ(神谷薫)……メイクかわいくなったよね……。基本はねっ返りの女の子なんで、演劇少女咲妃みゆのすごさを十分に発揮というわけではなかったかもしれないけど、見ていて安心。しかし、声がかすれていて……心配です。

望海風斗(加納惣三郎)……うーん、これは彼女の問題じゃないけど、このオリキャラがね……ヘンテコだった。小池オリジナル作品によく出て来る妖しいマッドサイエンティストの系統。しかも、この手のいっちゃう役って彼女何度もやっているから既視感……。彼女は悪くないと思うが……。阿片の話って原作にもあるんですかね。過去作品に出てきた不老不死の薬?の幻影が……。

あとは順不同。

彩みちる(弥彦)……すばらしかった。彼女がこの作品最大の収穫かも(新たな発見という意味では)。男の子演技が自然! 私、宝塚の子役演技の癖がどうも嫌いなんですが、彼女はその癖もなく素直な演技で、わんぱくな男の子になっていた。台詞も聴きやすいし……。今まで見た宝塚の子役の中で一番よかったかも(そんなに子役に注目していないけど。いつも)。ちなみに、星逢一夜の新公で、ヒロイン泉をやったのも見てまして……。芝居が上手い、と基本好感を持ったんだけど、泉は子供から大人までやらなきゃいけなかったから、成長して大人の口調になったときがちょっとまだまだかな、というのがあり(これはしょうがないけど)、あと、ヒロインとしては美しく見えないところがちょっとあって残念だったかな……(メイクが……というのもあるけど、そういうことじゃなくて所作とか)という記憶。でも、このすばらしい弥彦を経た今後が楽しみです!

彩風咲奈(斎藤一)……カッコイイ。決して笑わない役。よくぞこういう渋い役を当ててくださいました。私は、ずっと彼女の女の子っぽいところが苦手だったんですが、前の「エスメラルダ」ぐらいから、だいぶ男っぽくなっていい感じ、と思っていたところでした。今回この役で一皮むけた? 衣装のせいでスタイルの良さも際立っていましたね。

彩凪翔(武田観柳)……この役がやたらおいしくて、彼女が舞台をかっさらっていった的な感想をどこかで読んだ記憶が……。確かに、大活躍。決して器用ではなかったはずの彼女、このハッタリ勝負の役をしっかりモノにしていました。彼女も一皮むけたかな? と言いつつ、これ、望海風斗で見たらどんなだったんだろう、とも思います。 

月城かなと(四乃森蒼紫)……美しかったし、二刀流もがんばっていた。けど、基本的に常に暗くかっこつけているだけの役なので、感情の動きがなく、見ている方としてはあまり面白くなかったかな。私が最も好きな彼女はこういうのじゃないんだな(やっぱり演技してナンボというか……。感情の動きがある役で)、ということが分かりました(うーん、なんか冷めてますね。席が遠かったからか? 近くで見たら大変なことになるのかも)。

 ほかには……

 永久輝せあが「剣心の影」(過去の剣心)として出てきた回想シーンが一幕だったので、「確かに重要な役だけどあれだけじゃ出番少ないなあ」と幕間に勝手に心配していたら(笑)、二幕に「剣心が人斬り抜刀斎だった過去の自分と戦って勝利する」というシーンがあり、せり上がりまであってたっぷり活躍していました。なるほど……。主人公が過去の自分と決別するという決意を、こうやってトップスターと若手路線男役との戦いで表すなんてすばらしいわ。小池先生!(私もどこかでこのアイディア使わせていただきたい。ドコで?)

 一幕で、香綾しずる(比留間伍兵衛)の角刈り似合いすぎ!でもこんなもんか……(ちょっとさびしいけど、いまや渋い上級生に移行しているがおりちゃんだったらこんな役なのかな)、と思っていたら、二幕ではダンスを教えるフランス人・セバスチャンとして登場。しかしこのセバスチャン実は単なるダンス教師ではなく……なかなか悪いヤツで、朗々と歌うシーンもあってかなりおいしかった。彼女らしい見せ場があってよかったな、と。

 そう考えると、退団の蓮城まことは役がちょっと小さいような気も……。冒頭の桂小五郎はかなり印象深い役だけど。二幕はね……。

 そして星逢新公の秋定やスカステの達者なトークで最近ちょっと注目している橘幸くん。新聞記者の役(しかも名前も呼ばれる。岸田)でけっこう台詞もあり、主要人物と一緒に行動するので目立っていた。本公演でこんなに目立つ役がついてよかったね……(とほとんどお母さん状態)。しかし、彼女はなんかもう少し印象的なお顔が作れないかな……。どうも舞台の上では顔の印象が薄い。もっと書き込んだほうがいいんじゃないかと思ってしまいました(的外れな感想かもしれないけど)。新公は観柳なんだよね。見たかったなー。

 よく考えてみたら、この作品、二番手以下の路線男役の役に良い人が少ない。ニコニコしているような役がない。でも、その方がいいんじゃないですかね……。敵役で男役は鍛えなきゃ!爽やかな友達ゾロゾロなんていらない!(そうっか。悪いヤツをたくさん出すこと! ( ..)φメモメモメモ

 フィナーレは……うーん。衣装がヘン。イマイチならぬイマサンぐらいに感じました。ちぎちゃんの背中に扇(?)が張り付いているのもね……。男役群舞の鱗スーツ(スーツといっても、背広じゃなくて戦隊もののツナギみたいな)もな……。まあ、男役群舞では、前髪はらりの月城かなと君ばかり見ていましたけど。

 あ、そうそう最大の痛恨事は、ロケットのときに、「なんかまたかなり怖いロケットだなー。縣千くんがセンター左よりなのはわかったが、あのセンターの子は……?」とオペラグラスで見ても結局誰かわからなかったことです。センター永久輝せあクンだったとは! そういえば、宝塚大劇場で公演が始まってすぐに、まさかのロケットセンター、とどこかで読んだような気もするけど、すっかり忘れてた! うつけものめ!!!!

 さらにいえば、冒頭の斎藤一と一緒に出て来る新撰組隊士の一人が月城くんというのは途中で気づき、「なんと豪華なバイト」と思ったけど、もう一人が永久輝くんというのは気づきませんでした。バカバカバカ……。

 あ、そうそう。フィナーレで、永久輝くんセンター降りしてなかったね。なんなんだー。前回の「ラ・エスメラルダ」では、たしか月城かなと君と一緒に降りてたのに……。まあいいけど。→「雪組も少しずつ若返り?」参照

 以上、皆さまにはあまり役に立たない私の備忘録でした。もう1回見る予定なので、そのときこの感想がどう変わるか(どれだけ間違いに気づき訂正するか?)、個人的にはちょっと楽しみです。

March 28, 2016

私も前に進んでいくよ。みりお君

花組 中日劇場公演「Ernest in Love」-2

【3月28日未明の言い訳】
 えーっと、このエントリ、途中まで書いてアップできずにいるうちに、全国ツアーの演目「仮面のロマネスク」が発表になり、なんとなく興がそがれたというかタイミングを逸した……どうしようと思っているうちに、なんと次の大劇場のお芝居が上田久美子先生の新作「金色の砂漠」ということまで発表になり、状況が全く変わってしまいまして……(さらにその間に月組トップに珠城りょうというのも発表され……。なんかこの一か月で発表多くないですか。もしかして、年度末だから?)。もう「Ernest」というタイトルでみりお君のこと書くのはやめた方がいいかな、とも思ったんですが、まあ私の生の記憶はそれが最新なので、いいんじゃないの、思い直しました。

で、まずは「Ernest」のみりお君について(あ、中日劇場と上にあるけど梅芸も含めてね)。

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(たぶん3月6日ごろ記す)

明日海りお(アーネスト/ジャック)……私、けっこう若いころから明日海りおは見ているんですよね。最初に意識したのは、もしかしたら、月船さららの「なみだ橋えがお橋」だったかも。あのころ研1! 霧矢大夢の休演で、月船さららが主演になり、月船さららががやるはずだった役が明日海りおに回ってきたんじゃなかったっけ。あれはさららんの役だった、と書かれたものをどこかで読んだような……。でも、だとしたらすごい抜擢でしたね。それから、個人的には初めて出会ったトンデも作「愛しき人よ」にも美鳳あやの弟の役で出ていたことはよく覚えている。宝塚見始めたころだったので、とりあえず何でも見ようとしたんだけど、けっこう当たり外れが激しいことに気づき、その後、小劇場系は取捨選択するようになったんですよね(経験から学習したんだな、私。→人生で必要な知恵はすべて宝塚から学んだ)。
 そんな明日海りおを私が「好きなジェンヌ」としてはっきり意識するようになったのは、彩輝直の「エリザベート」の侍従役だったと記憶しています。その後も別箱は見てない作品もあるけど、「二人の貴公子」はバウに見に行きました。東上した別箱公演で言うと、「アリスの恋人」も「春の雪」も見ています。たぶん、今のトップさんのなかでは、下級生の頃からよく見ているほうのスター。彼女はその美少年っぷりが強みだと思うけれど、芝居も下級生の頃からけっこうしっかりしていて、それが別箱系での活躍の主な理由ではなかったかと……。歌は以前はそれほど得意ではなかったように思ったけど、いまはかなり上達していますよね。
 ああ、なんかダラダラ書いてしまいました。
 宝塚ってトップになってしまうと、大劇場以外も全国ツアーとか梅田大劇場になってしまって、バウでやるような繊細なお芝居(新作バウはしばしば失敗してそれはそれで困るのだけど)をやる機会がなくなり、大劇場用の大芝居ばかりになってしまうのは、ちょっと残念。何がいいたいかというと、私が好きな明日海りおは、端正な美少年。だから、ドシリアスな「春の雪」の清様みたいな役を見たいな……。しかし、大劇場用の作品ってそういうの少なくないですかね。新源氏物語の前半はわりとそういう若い危うさみたいのがあってよかったけど(しつこいようですが、これ、次の大劇場の芝居「金色の砂漠」発表前に書いています)
 彼女が花組に来てから、私が見たのは大劇場公演だけ、トップになってからは、エリザベート、カリスタ、新源氏物語なんですが、なんかちょっとお疲れかなと最近思うようになっていまして。あと、カリスタの頃かな、滑舌が悪くなっていて、とても違和感を感じました。もともと滑舌が悪かったわけでもないのに……。

 それが(ここへ来るまでの前置き長いよ!)、今回のアーネスト、明日海りおはなんだかとっても楽しそうだったんで、よかったな、と。うれしそうにアドリブを鳳月杏のアルジャノンにしかけているときなんか特にそうでしたが、それだけでなく全体的に。もともとは、皮肉やエスプリが骨抜きにされたオスカー・ワイルドの戯曲ってどうよ……とも思っていたのですが、原作とは離れたかわいらしい話になっていて、でも明日海りおの笑顔を見ていると、まあ、いいっか、という気も……(オイオイ)。というか、この作品、やっぱりすごく皮肉っぽい話だから、宝塚の生徒が「これコメディーですから」と明るくやっていてもその毒がちらっと見えちゃって、なんかモヤるというかちょっと辛い作品なんですよね(いや、皮肉をちゃんと効かせてくれたら作品としては面白いんだと思うけど。しかし、それは宝塚でやるべきものではないかもしれない)。その、中途半端に垣間見える毒っ気が、彼女のアーネストにはなかった、というか、浄化されてしまったというか……。もしかしたら、私が同じようにモヤってしまう「ミーマイ」も彼女なら大丈夫かな、などと思ってしまいました。まあ、ミーマイについては日本語の訳が古すぎる、という問題もあるんで、そうはいかないかもしれないけど。
 で、気づいてみたら、そういえば滑舌も特に気にならないな、と。こころなしか、以前ほどには痩せていないように見えたし、なんか、よかったね、みりお君! と思いました。

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【3月28日の追記】

 以上、「Ernest in Love」の明日海りお。で、ブログの下書きをほっておいたら……。

 次の大劇演目発表。「金色の砂漠」ですよ。キターッ! 少年、シリアス、「春の雪」を彷彿させるこじらせキャラ! いいんじゃないでしょうか。さらには、王女(花乃まりあ)は虐げながら美しい(あ、美しいとは書いてないか。でも美しいに決まっているじゃないか……)奴隷(明日海りお)を愛し、奴隷もそんな高慢な王女に惹かれて……最後は拷問、とかなり被虐的……で屈折度高いのは私の淡い願望をはるかに超えていましたが、とても楽しみです。「月雲の皇子」を見て以来上田先生のことは宝塚の救世主と思って勝手に尊敬しておりますから(えーっと、死の淵で知る「忌まわしい過去」はまさか「きょうだい」設定じゃないよね……。それじゃありきたりか)

 最後に……私事ですが(いや、すべて私事だろう、このブログは)、「Ernest in Love」は私のファン人生のなかで今までなかったような痕跡を残した作品でして(観劇回数が今までと比べても多く、遠征で観劇の密度が濃かったうえに、飢餓感を煽られて観た役替わり鳳月杏のアルジャノンがよくて――あ、ファンなんで……。でも贔屓目を差し引いてもよかったと思うんです。ほんとに)、遠征から帰り、日常生活に戻ったあとも、なんか心ここにあらずでしばらく「ボーっと」(ミス・プリズムの口調で)していたわけなんですが、次々と出される発表に、「ああ、過去に拘泥せず、前に進んでいかなければならないんだな」と思った、そんな3月でありました(嗚呼、人生で必要な知恵はすべて宝塚から学んだ)

 うーん、まとめ方がちょっと違うような気もするが。まあいいか。

March 02, 2016

若返った?鳳月杏

花組 中日劇場公演「Ernest in Love」-1

 名古屋も行ってしまいました。まずは鳳月杏アルジャノン最終日!

 梅田で見たのが二週間ほど前、その後アルジャノンが7公演ほどあったわけですが、進化していました。特に一幕のシガレットケースのやり取りが……余裕かましてました。梅田で見たときに余裕がなかったというわけではないんですが、それと比べるとますます楽しそうに意地悪ぶりを発揮、というか……。そのせいで、ウブな田舎貴族アーネストをからかうスマートでちょっと斜に構えた都会貴族アルジャノン、という対照が出ていたと思います。
 余裕が感じられた理由としては、アドリブがわりとあっさりしていて(特にマチネ)、アドリブやるにしても、梅田のときのような一方的にやられっぱなしのちなジャノンではなかったため、アーネストとアルジャノンがわりと対等に見えたこともあるのかな。

 そんな自信満々の「悪いひと」(まあ女遊びをしているとは思えませんでしたが、女性に対してシニカルだよね。プロポーズは仕事だなんて言っちゃって)アルジャノンが好奇心でちょっかい出しに行ってみたウールトンで小さなセシリイに落ちてしまう……。ここはちゃんとかわいかった。一幕で余裕かましていればいるほど、二幕で「え、僕もしかして照れてる!?」となってしまうギャップが強調されていいんですよね。

「こどものように」の歌が特にすばらしく…。ああいうクラッシックなスローテンポの曲が合う! 声の良さをじゅうぶんに堪能できるといいますか。

「Ernest in Love」、決して好きな作品じゃなかったし、正直、今でも彼女に一番合っている役だとは思わないけど、このアルジャノン、いまや今まで見た鳳月杏が演じた役のなかで一番のお気に入りになってしまいました……(主演だったリアムよりも)。ベストオブ鳳月杏!
 それにしても彼女本当に進化している。で、芝居が的確というか深い……と思うんですが、ファンの欲目でしょうかね。台詞の口跡の良さと声の良さがそれを後押ししている。で、かなりクラシックな持ち味だよね。台詞回しなんかが。そのへんは好みがあるかもしれないけれど、私は好きだな……。(ああ、また礼讃に入ってしまった)
 彼女は歌も歌えるし踊れるけど、最大の強みは「芝居」なんじゃないでしょうか。ってぐらい彼女の芝居好きです。

 もうあのちなジャノンを見ることができない、と思うと本当に残念。自分も残念だけど、ぜひ少しでも多くの人に見てもらいたかった(ただの親戚のおばさんまたは伝道師状態)。

 ところで……梅田と中日の間に(正確にいうと中日劇場公演初日の日でしたが)スカイステージで去年の夏の初バウ主演作「スターダム」が放送されていたので見たんですけど……一番驚いたのは、リアムが老けて―ゴホゴホ、えーっと、大人びて―みえたこと(まあ、抑えた演技でいく、という演出のせいなのかもしれませんが)。今のアルジャノンの方がずっと若いcoldsweats01
 劇場でスターダムを見ていたときは、別にリアムの年齢設定に特に無理を感じてはいなかったと思います。特に老け大人びているという印象もなく。だいたい、最初に「スターダム」の粗筋聞いたときは、「うーん、勝負のかかった(勝手に勝負に出ています)初主演作だから、彼女が得意な大人の男にすればよかったのに……若者か……」などと思ったものでしたけど、いざ「スターダム」が始まってみたらちゃんと若者らしく出ていて、ああよかった、という記憶(いつも心配しているんだな。自分)
 そんな若者リアム君からアルジャノンでさらに若返っちゃうとはどういうことでしょう(笑)。鳳月杏は組替えしてから白い青年の役ばかりやって役の幅を広げてきている、というようなことは前にも書きましたが、今では、このリアム君(去年の8月)すら、月組時代のオヤジが得意と思われていたころの鳳月杏の延長線上に見えます(あ、いまでもオヤジは得意だと思いますが)
 若返る鳳月杏! 白くなる鳳月杏! す・ご・い・じゃ・ないか♪
「カリスタ……」のベルトラムや「新源氏物語」の夕霧(つまり貴公子)の経験も生かされているんでしょうね。夕霧を見たとき、「すごく二枚目声だな」「台詞まわしが白い二枚目風になっている」と思ったものでしたが。
 研10にしてどんどん白い青年スキルを磨き、さらに若返るなんて……。やりおるhappy01。ちゃんとこの作品では明日海りおの同年輩に見えたしね……。そして全体にほんわか華やかムードのこの作品のなかでけっこう華も出ていたと思いましたがどうでしょう。正直、地味に見えてしまうのでは、という心配があったんだけど……。
 いや、本当に与えられた役を次々とものにしていく鳳月杏、この先どうなるのかわからないけど、楽しみだー。

 ああ、もうこんなに書いてしまった。
 芹香斗亜のアルジャノン(かわいい!)と鳳月杏のレイン(もちろんかっこいい)の話は次回に。

(追記:ちょこちょこ直しました(「老けた」→「大人びた」などwobbly)。しかし、改めて読み直すと、この項、ほぼ礼賛になっていますね。うーん、反省)

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