サイコーだよ! ゆりやん
日本青年館月組「アリスの恋人」
いやー楽しかった。そして物悲しくて。
2回見たけど、2回とも、赤の女王に涙した。そして、2回目は、より物悲しさを感じたかな。
平日夜公演は、客席に若い子が多くて結構楽しい。「帽子屋実はリア充だよね」とかいろいろ聞こえてくるし。でも終わったあとにはあちこちから、「高校生だったね」「高校生だね」の声が……。
そうなんです。あれだけいろいろ仕掛けて、最後は白の女王(花瀬みずか)に、いろいろ語らせて強引に丸く収めるんだったら(あそこまで強引に丸く収めなくてもよかったと思う。「あなたたちが私たちを覚えている限り、私たちは生き続けるのです」とかそんな感じでいいんじゃ?)、主人公の年齢なんとかしてほしかった。実は、アリスが夢に落っこちるときに時空も越えていて、現実世界で再会すると、少年は、立派な大人になっていましたとさ、めでたしめでたし、とか(それを同じ役者が演じるのはちょっと難しいかもしれないけど、それもまた受けるよね)。
高校生と社会人って……。ちょっとねー。広げた風呂敷を副組長にたたませたのに、そこはいじらないんだ?って(笑)。
さらに言うと、物語を書いたノートがクラスメートに見つかって笑い者になるって、まあ、どっちかというと高校生というより中学生レベル……。みりお君のビジュアルだと高校生かな、って感じだけど(いや、さすがに中学生と社会人はマズイよ。犯罪だよ!!)。
あと、妹が死んじゃったのはいいとして(というか、妹の設定はすごくイイと思う)、お母さんは心を病んで、主人公はお母さんに処方された薬を飲んで覚めない眠りにつくって、睡眠薬自殺図ったってこと??? それもちょっとリアルすぎー。そこまで説明する必要はなかったような……(つまり、ただ「夢から覚めたくなーい!」って願うだけでよかったのでは)。
いきなり、気になるところから入ってしまいましたが、でも、楽しかった。そして、みんなああいうキャラものってやりやすいのかな?ジェンヌたちがすごく上手かった。特に作り込みの大きい役の生徒たちが。
この芝居の功労者はなんと言っても、娘役たち。特に、アリス(愛希れいか)、赤の女王(愛風ゆめ)、そして、ポーン(琴音和葉)とドードー(咲妃みゆ)。彼女たちの演技がすべっていなかったことが、この作品の世界を支えていたと思う。もちろん、男役も健闘していた。ナイトメアの星条海斗は当たり役。上手いのは前から知っていたけれど、彼女にぴったりで、悪役に見えて実は傷つきやすい純粋な心を持っている、というかなりオイシイ役。いやー、こんな当たり役にめぐり合えて彼女もジェンヌ冥利に尽きるのでは? そして、個人的にはこの公演で一番受けたのが、帽子屋紫門ゆりや! 今まで爽やか好青年みたいな役が多かったような気がするし(そうでもないかな)、実際いつもいい人オーラ出まくりだし(でもちょっと気弱?)、どうもやや技術に難あり、押し出しも弱い?みたいな印象があったんだけど、こんなにもチャラ男(あのキャラはなんていうカテゴリーなんだろう。萌えキャラにはあまり詳しくないんで……)が上手いとは! 見直した!!サイコ―!ゆりやん。まあ、彼女の帽子屋がおかしいのは、相手役のメガネッ子(これは知ってるゾ)、ドードーの咲妃みゆに負っている部分も大きいと思うけど。そんな咲妃みゆちゃんはまだ、研2なんだ…。ほんとお見事でした。桜一花タイプかな。それにしても、何をやるにもいちいちカッコつける(でも、それが薄っぺらな感じがイイ)帽子屋がおかしくて、2回目の観劇のときは、彼女(紫門ゆりや)が出てくるとそっちばかり見てました。彼女はこの公演で株をかなり上げましたね。ファンも増やしたと思うよ。ま、最初から純愛一直線で、どこが「女狂い」なんだ、と観客はみんなつっこんでたと思うけど。
で、肝心のルイス・キャロル役・明日海りお君なんだけど、上手くやっていたと思う。まごうことなき主役の美少年オーラは出ているし。でも、ツンデレ(ですよね。今回のこの役は)って、他の役に比べるとやや作り込める部分が少ない、というか、やりようがないというか(それは私がツンデレ好きでないから?)、他の強烈な登場人物に比べると、おいしくなかったかな、と。それに、今気づいたけど、例えば、星条海斗のナイトメアとか、赤の女王(愛風ゆめが快演というか怪演! 彼女新公ヒロインもやっているけど、実は、こういうキャラもの?が得意だったとは。彼女、王道ヒロイン系の役より、こういう方が全然イキイキしてるね)は、心を開いたり、太っ腹なところを見せたりする、いわゆる「おいしい」場面があって、特に赤の女王が、ナイトメアに話しかけるあたりで、いつも私の涙腺はゆるんでしまうんですが……、ルイス・キャロルにはそういう場面がなかったしね……。もちろん、現実に向き合う、という決意をして、アリスと一緒に月に飛び込むところとか、「忘れさせないように」(笑)するところが見せ場なんだろうけど……。あ、そうか、強引にアリスに「忘れさせないように」(笑)するところが、ツンデレ的には萌え~なのかな。
で、アリスの愛希れいかも予想以上によかった。スカステの「ナウオンステージ」で、彼女だけがファンタスマゴリアの人間ではなく、迷い込んでいる、という違いが難しいと言っていたけど、その違いはなかなかよく出ていたと思う(フツーのかわいいかわいい娘役とはちょっと違う持ち味が上手く働いていた部分もあるのかな)。特に最初の方で、「アリス服」を不思議そうにいじるところとか、他の登場人物(動物もあり?)にあちこちひっぱりまわされるときの動きが、100パーセントファンタジーの女の子じゃなく、戸惑いがちで、腰が引け気味でかつ、オトナな感じとか。今回はとにかくその演技力に感心しちゃったけど、そのほかの技術はもともと問題ないし。手足長くてスタイルいいし、ポスター見たときはええっと思ったメイクも舞台では可愛くなってたし。
あー1人1人語りたい! 「キャラでぇーす!」の琴音和葉(ポーン)もよかったし…。
あ、ただ、相対的にちょっと損したかな、というジェンヌも何人かいましたね……。私としては、特に残念だったのが、ヤマネ役の鳳月杏。彼女はちゃんと役としてやることやっていたと思うけど、とにかく寝てばかり、という設定でセリフも少なく、しどころなし……。うーん、ちょっともったいなかったぞー。あと、マーチ・ラビット珠城りょう君は、ちょっとやりづらそうだったかな。狂言回し役で、しかもそれほど強烈なキャラでもなかったから(出番は多いけど)難しかったかも。これは彼女がどうというより演出の問題かもしれないけど、もうちょっと嫌味というかプライドありそうな感じにするとか、個性を出す方向にしたほうがよかったかもね……。彼女、男役の完成度は高いけど、コミカルな役は苦手なのかな……。
まだまだ語り足りないのですが、明日(ってかもう今日)もお仕事! さあ、現実に向き合うのだ(……っていうメッセージが何度も何度も繰り返されていたけど、ちょっとあからさますぎたような。ま、このへんの加減って難しいけど)。


Recent Comments