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June 09, 2018

私はサクラー(?):万引き家族

「万引き家族」
2018年日本映画
監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林ほか
 
 最近ずーっと宝塚だったんですけど、久々に映画。しかも日本映画。
 たまたまサイトを見ていたら先行上映をやっていることを知り、先週末に「万引き家族」見てきました。
 もともと是枝監督は好きな監督です。おそらく「誰も知らない」ぐらいから見始めて、全作とは言わないけれど、かなり見ている。最近は、「そして父になる」や「三度目の殺人」の福山雅治や「海街diary」の長澤まさみや広瀬すず(彼女は「三度目の殺人」にも出てましたね)など、“スター”の出ている映画を撮ることが多くなってきて、それまでの通好み、映画祭向けの映画というイメージから、なんか上映館も増えてより商業作品っぽくなってきたな、と感じていた(作品の内容がというより、出ているスターによってワイドショーでの取り上げられ方も変わった面が大きいような。いっぽうでリリー・フランキーなんかが常連になってきて、テレビドラマの主演をするようなメジャーなスターばかり、というわけではないのだけれど)。しかし、この「万引き家族」はまたちょっと昔にテイストに戻ったかな、という印象を持ちました。特に「誰も知らない」に近いなあ、と。端から見たら「家族」とは言えない、おおいに問題のある「家族」。でもそこには確かに幸せがある、というかむしろ家族の原点はそこにある……。
 子どもの印象が強かった「誰も知らない」と比べて、「万引き家族」は子役も出てくるけれど、ぐっと大人がフォーカスされています。そして、「万引き家族」に登場する「大人」の中でも圧倒的な存在感を示しているが安藤サクラなのです。いや、安藤サクラの演技に言及したケイト・ブランシェット(カンヌ映画祭審査委員長)に激しく同意! すばらしい。彼女がいなかったらこの作品はだいぶ違ったものになっていたと思います。
 彼女はいろいろな意味で「大きい」ところがいい。トドのような裸体の存在感よ!(もちろんほめてます) そして、対照的にひょろひょろとしたリリー・フランキーの裸、二人の絡み!!!
 私は、松岡茉優ファンで、この映画の彼女もとてもいいんだけど、いいんだけど、その彼女が「絶望的な存在」と言ってしまう安藤サクラよ(スポニチほか)。映画を見た直後、私は、「自分が俳優だったらすぐに廃業したくなる演技だな」と思ったんですが(その仮定に何の意味もないから!!!!)、まさにそういうことですね。もっとも、このスポニチの記事を読んで、私は己に絶望してしまったけどなんとかその事実を受け入れ、自分の絶望を告白できる松岡茉優がさらに好きになったんですけどね。
 
 樹木希林についても少し。
 今回の樹木希林は、したたかなおばあさんぶりがキャラにもよくマッチしていました。なんでこんなベタなことを書くのかというと、実は、私は、「歩いても、歩いても」の樹木希林の役は彼女ではない女優さんのほうがよかったのでは、と思ったことがありまして(この映画を見て思い出しました)。「歩いても、歩いても」の樹木希林の演じるおばあちゃんは、ずっといいおばあちゃんで、かいがいしく家族に料理を作ったりオロオロしたりしているんだけれど、映画の最後に実はすごく残酷な面を見せる。この落差、驚きがキモなんだと思うのですが、それを彼女が演じていることで、その驚きが弱まってしまったような気がしたのです(つまり樹木希林がやると観客には最初から一筋縄ではいかない人物なのでは、と思ってしまう)。ここは、もっと弱弱しい、典型的な日本のおばあちゃんに見えるような女優がやったほうがよかったのではないか、と。その点、この「万引き家族」の樹木希林は途中にかなりしたたかなシーンがあるし(ここ大好き)、最初からなかなか根性が座っていそうな不愛想なおばあさんなので、そのへんがしっくりきたといいますか……。
 しかし、是枝監督のあるインタビュー(あらためて参照しようとしたけど、どのサイトで見たのかわからなくなってしまった)に出てきた、海辺のシーンでの樹木希林の声にならない口の動き(このエピソードはほかのサイトにも出ています)なんてもちろん初見では気づいておらず、そういうのを読むともう一回見たくなってきてしまいますね。
 あ、まあ、そんなエピソードを書いたそばからこう書くのはなんですが、この映画、丁寧に、過不足なく作られていて、語弊はあるかもしれないけれど、とても分かりやすい。映画一本で完結していて、もう余計な情報がいっさいいらないところが素晴らしいと思いました。安藤サクラがどんなキャリアの女優なのか、とか、樹木希林のアドリブがどうだったか、なんて知らなくてもいいのです。変な話、「プログラム買わなくていいな」(売っていたかどうか見なかったけど)と思う作品でした。すごくいい意味で。まあ、最近周辺情報がやたら充実しているドラマとか映画とかあるけれど(そしてこちらも情報を求めてしまいがちだけど)、勝負は本編なんだよな。本編だけでいいものはいいんだ、という基本に立ち返ったといいますか……。そんな映画でもありました。
 
 余談。
 今回の映画の感想をチェックしていて、松岡茉優のファンは「まゆらー」というらしいことが分かったのですが、と、すると安藤サクラのファンは、「サクラー」なのか?? 
 そうすると、私は「まゆらー」で「サクラー」ということになりますが。
 しかし、そんな安藤サクラがNHKの朝の連ドラで主役を演じるなんでいったいどんなことになってしまうのだろう。ってかそもそもイマドキの若い共演者たちが“大きさ”的に釣り合うのか、ちょっと心配デス。
 
 

May 23, 2018

拮抗する二人の皇子(AB比較)

花組 博多座公演「あかねさす紫の花」「Santé!!」-04

 で、「あかねさす」BとAの比較を。


 私はAで中大兄をやった鳳月杏のファンなんで、そりゃ、バイアスはかかっています。そのバイアスを極力排除しても、Aはとても面白かったし充実していると思いました。中大兄と大海人の存在が拮抗していて、額田の気持ちも両方に惹かれている、そのギリギリの不安定さがあり、切なさがありました。そして報われないみりお君大海人が涙を誘い……。みりお君大海人はとてもよかった。少年期と成人後の演じ分けも鮮やか。トップ男役が我を忘れて自暴自棄になりへたり込む(もちろんボロボロになっても美しい)という、宝塚ではなかなかないシーンが見られるのもお得でした(まあ、みりお君の場合、「金色の砂漠」で奴隷役、最後は砂漠で野垂れ死に、なんてのをやっているので、それほど珍しくないかもしれないけれど)。そして、ちなつ中大兄は、人望があって傲慢な皇太子のなかにも弱さ、切なさが出ていて作品に陰影を与えていたのではないかと。
 で、それに比べると、Bは中大兄が大海人を最初から圧倒していて、Aにあったギリギリ感は弱く、そこがちょっと物足りなかったかな。いまの宝塚のシステムのなかで、トップがトップらしく存在していて、その意味で安心して見ていられるのはBのほうなのかもしれないけれど。最初からかなり分の悪いれい君大海人の最後の乱入・慟哭・高笑いは、より惨めさが出ていてこれはこれでよかったです。
 もともとはダブルトップのために書かれたという「あかねさす」。そのダブルトップの面白さが強く出ていたのがAということになるのでしょうか。

 本当に、この役替り「あかねさす」は奇跡のような公演でした。ぶっちゃけ、動員という目的もあったのだと思いますが、トップが役替りする、それに合わせて脚本も演出も違う……通常の役替りとは次元が違ってほとんど別のお芝居。みりお君の力が大きいと思いますが、最近の花組は芝居が深い。なかでも、宝塚の番手を考えるとイレギュラーな配役の役替りAを見ることができて本当によかった……。
 役替りの恩恵を被った一ファンとしては、A、Bともにライブビューイングがあって、博多に足を運べなかった人もかなりの規模でこの作品を見ることができたことを喜びつつ(あ、Bのライブビューングはこれからですが)、両パターンの映像の販売(決して片方はダイジェスト、とかではなく)とCSでの放送を熱望しております。いや、ほんと。
 さらに言えば、今度の全ツで再演してくれてもいいんですけどね。ね。

「Santé!!」の話も多少はしたいのですが、たどり着けない(笑)。

May 22, 2018

しっかりものの天比古B

花組 博多座公演「あかねさす紫の花」「Santé!!」-03
●「あかねさす」(役替りB)

「あかねさす」役替りB(明日海りお中大兄皇子、柚香光大海人皇子、鳳月杏天比古)見てきました。これ、Aとは全く違う作品ですね。脚本が少し違うとは聞いていましたが、ここまでとは! 演じ手も違うので全く別物! (ってことは、やはりDVDは両バージョン出さなきゃ。2枚セットで特別価格でどうでしょう?)

 鳳月杏の天比古は、Aの柚香光天比古とまったく違いました。もちろん、もともとの持ち味も違うのだけど、役作りが。ちなつ天比古は、思い込みは激しいけど、それもすべて理想の菩薩像を彫るため。突っ張ってはいるけれど、廃人とは程遠い天比古。「なんのためにのたうちまわってきたのか」というセリフがありますが、れい君天比古は文字通りのたうちまわっていそうでしたが、ちなつ氏のほうは、「のたうちまわる」はあくまで比喩かな。あまり生活乱れている様子もない意外としっかりしてそうな天比古でした。お兄さんとは割といい関係をキープしていけそうだったし。けっこうノーブルに見えたのはちょっと中大兄を引きずっているのかもしれません。あ、あと当初心配していた額田の郷での子役!全く問題ありませんでした。れい君天比古に比べると少し年上だったかもしれないけれど、ピュアな少年でした。笑顔や仕草が若々しくて……。そういえば、アーネストインラブのアルジャノンも可愛かったな…と思い出したりして…。
 ただ、役替りAで、破滅型のれい君天比古を見てしまったので、Bではボロボロな鳳月杏を見ることができるか?と勝手に盛り上がっていたのでちょっと当てが外れた感がありました。Bでは、こういう演出方針だったんでしょうが…。個人的にはボロボロ破滅キャラも見てみたかったような…。
 ちなみにれい君はBの大海人でもかなりボロボロになってました。いつも破滅するんだな(このへんのバランスからB天比古は破滅型ではなくなったのかも)。彼女は狂気をはらんだ役がハマりますね。鋭いナイフのような感じ。

 Bを見て個人的にツボったのは、トップスターをトップらしく見せる演出とはこういうものだ、という例がいろいろあって大変勉強になったことです。「勉強」って、私がいつか宝塚の芝居を書く日は来ないからいいんですけど(笑)。
 一番わかりやすい違いは、Bでは明日海りお(みりおくん)が演じる中大兄の出番(と歌)が増え、柚香光(れいくん)大海人の出番が減った、ということですが、それだけではなく、舞台上の立ち位置なんかも細かく変えていました。例えば冒頭の蒲生野の野遊びシーン。対になってのセリ上がりは、中大兄上手寄り大海人下手寄りでこれはAと同じなんですが、そのあとそれぞれの妃と踊るところでは、れい君大海人が上手に行って、みりおくん中大兄がセンターをとってました(Aではちなつ中大兄が舞台上手)。
 さらに、そのあとの狩に行くという設定の客席降り、Aでは、みりおくん大海人が「兄上、私が先達を務めます」とか行って先頭になるのですが、Bでは自分で命令?してそのまま自分が先頭で降りていきます。
 トップスターとはそういうものなんですね……。
 中大兄の衣装も一部違ったと思います。ただ、大海人とお揃いの(色違い)衣装はAもBも同じなんですよね。例えば冒頭の蒲生野の衣装の場合、皇太子である中大兄の衣装は模様のところが金、大海人は銀なんだけど、そこはキープ。作品の中では中大兄が兄であり皇太子であり、大海人は弟という順番というか上下関係をここでは守っているようです。

 そうそう、蒲生野の野遊びで皇子たちが踊るところ、Aでは額田と大海人が「木の実の歌」の振り真似をしていたんだけど、Bはそのジェスチャーがなかったですね。
 あとなぜか祝宴の舞のところでの中大兄の床ドンがなかったな……(Aでは、酔っている大海人のほうに額田が寄っていこうとすると、中大兄が床をドンと鳴らして呼び戻すんです。ここまで書いて気づいたけど、ちなつ氏は力に訴えちゃうイメージがあるのかな。実は、Bパターン天比古は小月に手を上げかけるんです。一瞬だけど)。
 額田と大海人皇子がいまだ惹かれあっているとういことを示すこの二つのシーン(木の実のジェスチャーと床ドン)がなくなったほか、額田と中大兄のシーンが少し増えていたので、Bのほうが額田と大海人のラブ度が下がったかな。これは全体の印象につながる改変ですね。

 中大兄が主役だった春野寿美礼主演作品(生では見てません。映像のみ)の記憶があやふやなので、このBパターンがどれだけ春野寿美礼バージョンに近いかわからないのですが…。今度映像見てみよう。


May 10, 2018

そして気になるちなつ天比古

花組 博多座公演「あかねさす紫の花」「Santé!!」-02

●「あかねさす」(役替りA)つづき

 前項では完全にファンモードになっていますが(いやいつもだけど)、特に鳳月杏のファンでなくても、この「あかねさす紫の花」はぜひ見ていただきたいと思っているんです(まだ見てないけどBパターンもきっとまた違う面白さでしょう)。といっても、博多に行ける人はそう多くなく、DVDやスカステ放映を待つしかないのだけれど……DVDはどのバージョンを収録するのか……。もしかするとDVDが、BバージョンメインでAは部分ダイジェスト(大海人中心)とかだったら嫌だな、と思っています。スカステは両バージョンやってくれると思いますが。

「あかねさす紫の花」(Aパターン)は、永遠の貴公子に加えて、最近ますます演技派の度合いを深めている明日海りお(みりお君)、大人の女は任せろの実力派仙名彩世(ゆきちゃん)、そして冷徹で有能な王様がやたら似合う鳳月杏(ちなつちゃん)というメイン3人の組み合わせがバッチリはまって、観客をスムーズに万葉の世界に連れて行ってくれる名作になっていると思いました。いくら自分の好きなスターの役がかっこよくても、全体として納得できるようなストーリーが展開していないと魅力が半減ですもんね……(遠い目)。
 たいへん古典的なラブストーリーでちょっと古くさいとも言えなくもないこの作品。事実背景がいわゆる「書き割り」然としていて、時代を感じさせるチープさが漂っていたりするんですが……名作です。柴田先生すばらしい。私はよく宝塚を見ていて、「この台詞は嘘くさい」とか「21世紀の女性観客を前にそれはないでしょ」とか思うことが多く、そういうことをこのブログにもしばしば書いていますが、古くさくても、嘘くさくても、完成度が高ければいいものはいいんですね! さらにいえば大野先生の演出も作品に合ったのではないかと。
 ラストの大海人の「狂いましたー」がないところなど、原形に近づいたのかな? 前項の繰り返しになりますが、額田が中大兄に惹かれているのが愛欲(?)だけではなく、自分の力を引き出してくれる王だから、ということが伝わってくるし、中大兄は額田がいないとやっていけない、というか特別な力のある額田の存在に頼っている部分があるというのも見えるので、だれがいいとか悪いとか単純化できないというか……、もちろん中大兄は勝手で、辛いのは大海人なんだけど(あ、鏡女王も)、額田と中大兄にあまり強く嫌悪感を感じさせないんじゃないでしょうか(私はもともとそれほど嫌悪感はなかったのですが、「あかねさす」という作品では、「中大兄がどうしても嫌な奴にしか見えない」という意見はけっこう多いんですね)。
 あ、あともう一つ、今回の「あかねさす」では、冒頭、額田の郷での、大海人皇子のみりお君と額田女王のゆきちゃんの子役演技が不自然じゃないのもよかったな、と思いました。ここの子役シーン、主役が子役を演じる、つまりそれなりに学年が上がったスターが子役を演じるので、「若作り」感が強く出てしまうケースが過去にいくつかあったので……。みりお君は金色の砂漠という実績があるから全く問題ないと思っていましたが。最近では大人の女ばかりやっている(と思ったけど「邪馬台国の風」のマナは最初はけっこう若かったかな?)ゆきちゃんも割と無理なく若返っていたと思います。特徴のあるいわばアニメ声がいい効果を生んだ?
 そして、2番手れい君が演じている天比古は若手男役にぴったりの青くて純粋すぎて破滅する男(まあ、言ってみればストーカーですが)。この破滅するってところがけっこう美味しいですよね。ヒロイン額田の女を上げるためにも、そして彼女の一筋縄ではいかないところを見せるためにも重要な存在です。それにしても、れい君は歌と台詞が本当によくなりましたよね。額田の郷の少年姿は溌剌とかわいらしく、最後の号泣シーンは大変力強い天比古でした。ただ、いい役だけど、番手でいえば、本来3番手4番手の若い男役がやる役。もちろん2番手れい君からすれば天比古は役不足……(すみませ←なぜ謝る?)。その代わりというわけではありませんが、ショーでは大活躍で大きな羽根(二番手羽根)。存在感は前からあったけど、安定感も出てきて立派な二番手さんに育っていると思いました。
 そんな天比古を見ていて気になるのはBパターンのちなつ天比古。みずらが似合うと定評のある彼女のことなので冒頭の額田の郷でのビジュアルはそんなに心配していないのですが、あの場面、けっこうみんな幼くかわいらしく演じていますよね……。どうなってしまうのか?(笑)ちょっとだけ心配。そもそもあの場面の天比古は何歳設定なんだろう。
 一曲ソロがあったけれど、Bパターンではソロがなくなる可能性もあるんですかね……(ちょっと気になる)。
 後半の身を持ち崩すあたりは、いままでにあまりない役ではないでしょうか(不良はアルジェ新公のジャックでやっているけど)。特に最後にボロボロになって号泣のところで、いままでにない彼女を見せてほしいですね。期待(笑)。

「おまえは私の中大兄が観たい。そうだな」

花組 博多座公演「あかねさす紫の花」「Santé!!」-01

●「あかねさす」(役替りA)

「あかねさす」は霧矢大夢大海人皇子(主演)、大空祐飛中大兄皇子の2006年月組全国ツアーを見ています(このブログでも感想書いてました)。あと、春野寿美礼が主演で中大兄皇子をやった博多座公演は宝塚ファンになってすぐ映像を何度も見ていた記憶があり、けっこう好きな作品です。

 まず、最初に演目が発表になったあと、私のツイッターのタイムラインでは、配役についてはかなりの方たちが(体感10人中9人)が「みりお大海人、ちなつ中大兄で見たい」と呟いていました。「うわー、日本中がちなつ中大兄を望んでいる!! いやいや、これが「確証バイアス」ってやつだな」と思いつつ、私ももちろん、それを夢見ていました。「月雲」の穴穂皇子を知っている人なら、強引に弟の妻を奪う有能な兄、中大兄皇子もまた鳳月杏に似合うであろうことは容易に想像がつくわけで……。しかし、それが実現するには、二番手の柚香光、そして、三番手ではないのかもしれないけれど、明らかに鳳月杏より上に位置する瀬戸かずやの二人ともが「あかねさす」とは別の公演に出なくてはいけないので、なかなか難しい……ということもわかっていました。ディナーショーでもあれば別だけど。

 それがまさかの役替わり発表。そして、柚香光、瀬戸かずやともに「あかねさす」組だったのに、鳳月杏がそのなかで中大兄できるとは……。理事長新春インタビューによれば、「明日海が役替わりやりたいと言ってきた」とのことですが、この役替わりはトップがA、Bで違う役をやる、それに伴い台本も変わる、というかなり珍しいパターンでした(最初は台本のことまでは分からなかったけど)。いきさつはよくわかりませんが、みりお君が中大兄と大海人の二役をやらなければ、このウルトラCつまり、男役4番手相当(?)の鳳月杏が中大兄をやるという配役は難しかったのではないかと思うので(みりお君大海人固定でれい君ちなつで中大兄役替わりって手もあったとは思うけど……このへんはまた別項で考えたい)、もうみりお君には感謝してもしきれません。

 万難を排して飛んでいきましたよ。GWの博多座へ。公演はまずAパターンからスタート。トップの明日海りおが大海人皇子、二番手柚香光が天比古、そして本来公演四番手(これはプログラムを見れば明白だし、ショーを見てもわかる)鳳月杏が中大兄皇子です。

 で、ちなつ中大兄皇子。繰り返しになりますが、「月雲の皇子」のときから、ノーブルで冷たい王様が似合うって知っていた、あと、メイクは基本上手いけれど、特に王朝モノの貴公子が似合うというのも知っていたのですが(ご本人は顔がさっぱり(?)しているから和物化粧は書き込みやすいってなことを、「新源氏」のトークスペシャルでおっしゃっていた記憶が)、月雲の頃から、さまざまな役を経て経験も積み、よりスキルを上げてのはまり役で、ファンとしてはひたすらこのめぐりあわせに感謝するという公演でした。「スカイステージ」で、現在、「Brilliant Dreams 鳳月杏」用の投稿を受け付けているんだけど、「出演者の舞台で印象に残っている役は?」という質問への答えは、「あかねさす紫の花」の中大兄皇子で決まりですかね……。表情をあまり動かさず、眼で演技するところ素敵です。話すとまたエエ声でね……。あのちょっと鼻にかかったような声でのノーブルな台詞まわしを堪能できて幸せでした。いや、本当に、宝塚の番手制度を一瞬崩してのこの役替わりを観ることができて本当に幸せでした。

 というわけで、まずはちなつ中大兄のここがこんなにすてきということをダラダラ書いております。そういう「よかった」話ってあまり読んでいても面白くないのではないかと思いますが……。すみません。

 ちなつちゃんのエエ声を堪能できるシーンとして個人的にはとても好きなのが、初めて出会う額田の郷で、まだ子供の額田を中大兄がからかうところ。あくまで大人として、表情を大きく変えたりはせず、余裕を見せてからかっている、面白がっているという雰囲気がよく出ていて……。ここ台詞も多いし。もちろん、からかっているときもノーブルです。

 ちなみにこのときみりお大海人が、パーっと顔を輝かせて登場してくるのがかわいくてね……。知っていた、みりお君がかわいいのは知っていたけど、本当に、ね……。芝居冒頭の蒲生野のシーンは、成人した大海人なので、ここを見ると「あー、久しぶりにノーブルでかわいい和物貴公子みりお君を見ることができるんだ」とお得な気分になります。昔も今も少年やらせたら右に出るものはない、かも。

 あと、ちょっと場面は飛びますが、額田女王略奪(?)のあと、大海人と二人で正面向いての「そうだな」「そうだな」「はいと言え」でもエエ声は堪能できます。このやりとり自体はパワハラというか強引でなかなかヒドイのだけど、中大兄のノーブルな強引さが出ていて、みりお君とのやりとりの緊張感もすばらしく、好きなシーンの一つです。

 こういう上からの傲慢な台詞とは別に、感情を吐露するようなところももちろん捨てがたいデス。個人的には有馬温泉の湯上り姿(笑)、総髪(?)しかもシケありで登場するところがビジュアルインパクトもあるし、額田が自分には必要なんだと口にすることで、中大兄の弱さというかモロさが出ていて、いいですね……。

 中大兄、かなり強引でわがままな男ではありますが、額田の能力を認めていて、それが自分の統治に欠かせないものだとわかっている、ある意味額田をもっとも高く評価している人なんだ、ということがこのシーンでは感じられ、中大兄、そんなにヒドイ奴じゃないじゃん、と思えるのではないでしょうか(というのはファンの欲目?)。
 つまり中大兄は、単に弟のおもちゃ(=額田)がよく見えたから欲しくなって横取りしただけではなく、国を治めるという大仕事をやるなかで、額田の力を借りたかった、そして自分の弱さをさらけ出せるのも額田だった、と思わせるものがあったと私は感じました。
 一方で額田は中大兄に女としても惹かれていると思うけど、額田にとって中大兄には自分の能力を高くかっていて引き上げてくれる有能な上司のような面もあったのではないかと。額田が男の愛だけで満足する女ではない、自分も輝きたい女だということは、子どもの頃のシーンからも明らです(よね)。その点大海人は、額田のことをとても愛してくれているけれど、彼女の能力をもっと高めてくれるかどうか、大きな活躍の舞台をもっと与えてくれる人なのか、という点ではちょっと分が悪いんですよね。この時点では(彼は「虎」だと鎌足も言っているし、その後の歴史を考えれば、兄より能力の劣るような弟ではない、たぶんまだこの時点では若かったのかな、なんて思って見たりして……)。この作品における大海人皇子って、感情をあらわにするし、中大兄より純粋でかわいいところがあり、観客の心をきゅっとさせてくれる感情移入しやすいキャラですね。中大兄、額田がある意味ぶっ飛んでいるなかで、行動様式も一番現代人に近いし。そして何よりみりお君の取り乱しっぷりがすばらしい……。初日から涙流して熱演していました。

 最後の場面、大津京での祝宴に大海人が酔っぱらって(「わずかに酩酊」とパンフに書いてあったけど、泥酔に近いよね)出てきて、対決するところでは、あまり動かない中大兄ですが、その静の演技に迫力ありました。切れ長の瞳にメイクが映えるのはいつものことではありますが、中大兄が体を正面に向けたまま、下手の大海人の方を横目で睨みつけるときに黒目がギロっと動くところがね……。ただただオペラグラスで凝視しておりました。ああいう流し目というか視線の送り方がカッコイイ。本当に最小限の動きで最大限の効果といいますか……。いいもの見せていただきました。

 そうそう、この少し前(?)、一緒に舞っている額田が、危なっかしい大海人を心配して近寄っていこうとすると、足を(?)ドンッとやって額田を自分との踊りに戻す中大兄もツボ。基本俺様、独占欲は強いんですね(笑)。中大兄皇子の「床ドン」(!?)。

 舞台奥の中大兄にスポットライトが当たっているところとか本当に客席から見るとキレイで……。あの中大兄をもう直接見ることはできないんだな、と思うと、本当に寂しい。大海人皇子のように狩りをほっぽって馬を駆って行きたい気分です。

 ※ごちゃごちゃしていたので整理しました。

April 29, 2018

活性化! 活性化

月組 東京宝塚劇場公演「カンパニー」「BADDY―悪党は月からやって来る―」-02

 BADDYの話だけです。
 あれから状況が変わりまして。何がって、BADDY実況CD買ったんです!! 歌詞カード付と聞き。
 歌詞カード、すばらしい。そしてかなり歌詞が聞き取れていなかった、ということが分かりました(その時点で4回見ていたんですけどね)。歌詞カード見ながらCD聞くと「なるほどー」といろいろ目から鱗。そもそも、実況を聞くだけでもいろいろなことが明瞭に。もちろん、CD用にいろいろミキシングしているから聞きやすいというのもあると思いますが、舞台では視覚情報が邪魔をしている(っていうか見るほうに神経かなり使っちゃっている)んだな……ということもわかりました。

 上田久美子先生、やっぱり理屈っぽい(知ってたけど)。詰め込み過ぎだよー(うれしい悲鳴)。もちろん、全部観客が聞き取れるとは思わず、聞き取れなくてもいい、と思ってやっていらっしゃるとは思いますが、これ過剰に意味が込められてる……。そして、もちろんそれが分かればわかるほどますます面白いんですよね。

 たとえば、中詰めの「ワルイ(っていうか、「悪い」じゃなくて「ワルイ」なんだな!)ことがしたい いい子でいたい」のところもでみんなが繰り返し歌っているのは「『愛と憎しみ』入り乱れる」なんだな、とか。BADDYの歌詞の「I am born to be free」とか。あとはロケット「グッディーズ」の、in order to fight for myself/ in order to fight on my ownとか。あと、冒頭のピースフルプラネット地球のところで「ダメ、ダメ」されているのが、テロリズム、エゴイズム、受験戦争などだということはわかっていたんだけど、なんと、「核家族」もダメだったとは!(ここは核戦争とペアで韻を踏んでいるんでしょうが。いや恐ろしい国ですね。ピースフルプラネットは)
 昨日が、最後の観劇だったんですが、幕間はiPhoneと歌詞カードで復習してましたよ! 特に聞き取りにくそうなところを。

 で、幕が開いてからは、できる限り歌詞に意識を集中するようにし、オペラグラスもあまり使わなかったせいで、今までよりは全体の流れを見ることができたと思います。

 その結果……といいますか、私、ロケットでボロボロ泣いてしまいました。バッディーズに出会って覚醒し、自己を解放したグッディーズたちの力強くさが格好良くて! だんだん盛り上がる音楽もステキ。感情を抑えてにっこり微笑むかわいこちゃんなんか「くそくらえ!」と(おっとこの台詞は作品違い)。あれは、抑えつけられていた全ての「女子」たちへのエールなんですね……。退団公演でもないのにショーで涙したのは初めて。しかもロケットで泣く日が来るとは……。

 5回目の観劇にしてようやくここまできました。実況CDがあってよかった(なんか英語の苦手な中学生が、好きな外国のバンドの歌詞を聞き取るまでに人の二倍も三倍も時間がかかって、それでもちゃんと聞き取れず、最後にアンチョコ手に入れてやっとわかったよ、という感じ←なにこのたとえはhappy01。いや、幕間に特に難関の「ロケット(グッディの怒り)」と「フィナーレのパレード(ピースフル・パラダイス)」をもう一度おさらいする自分が受験生みたいだなーと思ったもので)。

 まあ、正直1回や2回の観劇で歌詞を全部聞き取っている人はいないと思います。しかし、歌詞を全部聞き取る必要などもともとなく、少ない観劇数でちゃんと本質をつかんだ方はたくさんいらっしゃるんですよね。すみません。オクテなもので。でも時間はちょっとかかったけど、ここまでこれてよかったです。サイコーです上田先生。でもやっぱり歌詞にあまり意味を込めすぎるのはどうかと……。特に、アップテンポな歌で。

 そうそう、ちょい悪レッスンのジゴロのところは、いつもポッキー巡査と頭取夫人にロックオンだったんだけど、今日初めて、クールと王女が踊っていて、王女がお金を渡そうとするもクールはそれを受け取らない、という芝居しているのを見ました(ツイッターでそれを知り)。泣かせますね……。ついでに言うと、銀行強盗のときのショルダーホルスターしたクール宇月颯がえらくかっこよかった……。ストイックで色気があって。これも今回やっと見ることができたんですよね。本当に退団が残念です。

  本当は控えめに言ってあと3回ぐらいは見たいな……。
 もちろん、いまでも分からないところはある。なんで、ロケットの決め台詞が「活性化」なの? とか。なんでポッキーはポッキーっていう名前なのか、とか、幸福な浮浪者って何?とか(「ピースフルプラネットは、貧困も追放したから浮浪者であっても幸福なのです!」〔憧花女王のキリっとした口調で〕ってことかな)。

 まあ、いずれにしても、今回わかったのは、上田久美子先生のお芝居にはル・サンク、ショーには実況CDが必須、ということですね。

April 23, 2018

悪いことがしたい、いい子でいたい

月組 東京宝塚劇場公演「カンパニー」「BADDY―悪党は月からやって来る―」-01

 まずは手短に。「カンパニー」は原作読んでいません。
 早乙女わかばちゃん演じる社長令嬢、よかった。自分の立場をよく理解した憎めない「お嬢様」で、わかばちゃんのキャラに合っていて、かつ最後に見せ場あり……。初見のときはウルっとしちゃいました。
 で、話題になっている、タニマチのたとえとか、LGBT(とははっきり言わないけど)のくだりとか、突っ込みたくなるところはいろいろありますが……。私が一番引っかかっているのはそこではなく……(あ、話題の海乃美月が演じるユイユイの台詞「テメエが孕ませたんだろうが」は、言葉として即アウトというほどとは思いません。ただ、このセリフをどうしても入れるとすれば、ユイユイは、もっと男勝りというかスポーツのことだけ考えているような極端なキャラにしないといけないのでは、と思いました。たとえば、別格上級生男役なんかが女役としてやったら面白かったかもしれませんが、いくら海乃美月が芸達者とはいえ、合ってなかったなあ……。宝塚の路線娘役はなんだかんだ言って上品でかわいいですからね)。
 現代モノって夢夢しさがないぶん、ストーリーがしっかりしていないとシラけちゃうと思うのですが、この作品、どうも話に乗れませんでした……(現代モノやるな、とは言いませんが……。といいつつ現代モノでよかったのってあったかな? まあ、映像でしか見たことないけど、同じ演出家の「長い春の果てに」は好きです。原作ありだけど、現代といっても一昔前?だけど)
 一番大きいのは、終盤、無事に初日の幕が開き、いよいよあと一公演で終わり、という段階で、「なんか物足りない」「振付変えたい」と言ってくるバーバリアン阿久津さん(宇月颯)と水上那由多(月城かなと)が非常識な人間にしか見えない、いやもっと言うとバカっぽくしか見えない……ということでしょうか。阿久津さんなんて宇月颯のキャラと演技でなんとなく人望篤くてクレバーそうに見えるけど、言っていること滅茶苦茶ですよね。終盤の大きな話の展開のきっかけがこれではしょぼ過ぎて……。よくみえなければいけない人たちなのに、これ致命的欠陥のような気がする。
 あと、世界的プリンシパル高野悠(美弥るりか)。みやちゃん好演しているけど、体がもうボロボロだから出番の少ないロットバルトをやると言ったはずなのに、途中で、自分がロットバルトと黒鳥を演じる「新解釈白鳥の湖」をやろうと言い出す……。これも地味に引っかかりましたね。「なんや踊れるやんけ」「出番増えていいのか」と。今回、主人公の青柳誠二(珠城りょう)も、カッコイイとはちょっといいがたい「いい人キャラ」でやや微妙ではないかと思えなくもないのに対し、このみやちゃんの役は、キャラが立っていてなかなか美味しいのですが、ちょっとこのくだりで人間として筋が通ってないなあ、と思いました。いや、実はスネていただけで、本当はもっと舞台に出たかったという設定!?
 むむ。まあ、「カンパニー」今回はここまで。
 
 で、ショーの「BADDY」ですよ。「BADDY」。いや、すっごい期待して見に行ったんです。で、楽しい、楽しいんだけど……。ちょっと言葉に頼りすぎているのでは、というのが私の今の時点での感想です。上田久美子先生のお芝居は台詞がすばらしい。で、台詞なら基本的には内容はほぼ聞き取れるわけけど、今回のように歌詞になっちゃっているとそうもいかなくて……。っていうか、そもそも、私、ショーの歌詞ってそんなに注意して聞いていないんですよね。普段。
 普通に一回見ただけだとなんかたばこ吸っててノリノリでおもしろかったなあ、ぐらいしか記憶に残らないんじゃないでしょうか。いや、もちろんそれで全く問題ないんですけど、もっとあれこれ考えたい私としては、不完全燃焼。複数回見て、プログラムも読み、スカステの「ナウオンステージ」や「ポップアップタイム」を見、聞き取れなかった歌詞をネットで拾い集めてはいるのですが、まだ不十分かな。私の場合、複数回見ておきながら特定シーンで同じ人ばかり見ているので、見落とし&聞き逃しているところが多々あって全体像が分かっていないのですが(もう脳みそがついていかないというか……)。
 あ、でも注意して台詞(というか歌詞)を聞こうとした3回目の観劇では、ロケットのバッディーズのエネルギーがじわーっと伝わってきて、ちょっと泣きそうになりました。ロケットについてはまだ考えがまとまっていない部分もあるのですが、少なくとも、可愛く笑顔でやるものとされていたロケットを「怒りの発露」にした、ってところがいいですよね。私はそもそも、宝塚のロケットがあんまり好きではなくて、それは衣装にしても「ヤァ!」の掛け声にしても、若くてかわいい無垢なものを愛でる、大人の男(男だけとは限りませんが)の欲望が色濃く反映されているように見える、ということもありますし、多分にファン目線でいえば、せっかくかっこよくなってきている男役もある学年まではロケットに入って、「かわいく」出る必要があるの?と思ってしまうからです。
 通常女性には求められない、かっこよさ、強さ、包容力、リーダーシップなどが男役には要求され、磨かれる、というところが私が宝塚が好きな理由の一つかな、と思っているのです(むろん、それだけではありませんが)。さらにいえば、そのかっこよさを「男役」という型で成立させるために、「娘役」が存在し、過剰に「娘っこ」を演じなくてはいけない、という「男(役)尊女(娘役)卑」を内包していて、それはそれでややこしいのですが、その話はまたいつか……。ロケットにはそういうかっこよさ、りりしさ的なものは求められていないですもんね。
 話戻ります。そう考えると、上田先生が、媚びない、強い、ほとんど笑わないという画期的ロケットを、娘役中心に、しかも「かわいい」衣装で作り上げたところがポイントかな、と。
 
 以前、オギーこと荻田浩一先生が、「ロマンチカ宝塚」でパンツルックの水兵さんのロケットをやったら某氏の劇評に「足をだしてこそロケットだ」的なことを書かれていたな、なんて思い出したりして……。オギーは、ロケットあって、黒燕尾あって、デュエタンあって、フィナーレで階段降り、という宝塚のショーのお約束を解体しようとしていたけれど、上田先生は、「ロケットありますし、足も出してます。そのほか定型パターンは踏襲していますけど何か?」という路線で、いわゆる定番的な要素は入れているけど、その意味を大きく変えている。いやひっくり返している。面白いですね……。(しかし、「昭和歌謡」は宝塚のショー、特に某先生の作品にしばしば入っているけど、定番というほどではないと思っていたのですが……。ポッキー巡査の「ぼくはきみを~」ソングのことです)
 
 どなたかが、ツイッターでつぶやいていらっしゃったけど、「悪いことがしたい」に対応しているのは「いいことがしたい」じゃなくて「いい子でいたい」であるというところが「なるほどー」ですよね。そう考えると、BADDYとGOODYは対ではあるけど全く対称というわけでもなく、まじりあうんだな、まさに。ぐるぐるぐちゃぐちゃと。いい子だって悪いことしたい!
 で、最後にポッキー巡査。
 
 BADDYはかっこよくて面白いキャラだし、GOODYもキュートでカッコイイ。そして、キャラが立っていて美味しいのが、美弥るりかのスイートハートじゃないかと思っているのだけど、実は話の全体を見た時に重要なのは、ポッキー巡査なのかな、と最近思い始めています。まあ、正直言えば、最初に私がポッキーに注目した理由はポッキー巡査の中の人、月城かなとのファンということもあるけど。
 だって、BADDYたちの地球来襲による混乱(ぐるぐるぐちゃぐちゃ)で一番大きく変わった人がポッキーなんですよね。それまで状況に無自覚だったのに、新しい世界に触れて、自己変革をとげる人物って、観客が自己投影しやすいんじゃないでしょうか。そう、このショーは、ポッキーの成長譚でもあるんですよね……。あるいはポッキーの「ビルドゥングスロマン」とも言えるか……。
 そう考えると、何をやっても持ち前の誠実さがのぞいてしまう(ように見える)タカラジェンヌ月城かなとに、やっていることはトンチキですが、基本ナイーブというか、真っ当で観客が自己投影しやすい役をあてるのってとても正しいことのような気がします。
 ということで、もう少しポッキーについて考えたい……。
 

February 09, 2018

まずは歌ウマロべスピエール万歳!

雪組 東京宝塚劇場公演『ひかりふる路』『SUPER VOYAGER!』-01

 初見が新公後、とけっこう遅くなってしまいました。立て続けに二回観劇したらもうすぐ千秋楽。
 この公演、もっと見たかったー。そして、それはいつものことではあるけれど、映像なら見られる、って言っても、特にこの公演の場合映像だと良さが十分に伝わらない気がするんですよ……。残念。
 
 まず、『ひかりふる路』ですが、正直、後半の怒涛の展開のなかでの、ロベスピエールとダントンやデムーランたちの心の動きまで全部理解できたかというと、自信はない(笑)。でも、とにかく望海風斗と真彩季帆(彼女は私が見た時は喉の調子が悪くて声がハスキーだったけれども)の歌唱力。それを際立たせるワイルドホーンの楽曲!
 歌のパワーに圧倒され、「大作ミュージカル見ているんだ」感がスゴかった。多少分からないことがあっても、そのへんは帳消しにしてくれると言いますか。
 ブラボー! 2人が歌ウマと言うことは知っていたけど、この2人に、盛り上がる海外ミュージカル的な楽曲が加われば、もう怖いものなしです。
 この作品、今後もぜひ上演していってほしいな……。

 主な登場人物が、ヒロイン以外はほとんどが実在で、それぞれの登場人物にそれぞれ史実に沿った(そしてそれにオリジナルを加えた)設定があったようですが、まあ、ざっくりと、「ロベスピエールは仲間をどんどん粛清していって、最後は自分も粛清されてしまった」という高校世界史の知識があれば、細かいことはわからなくてもOKではないかと。
 
 ギロチンを表す照明や舞台装置もカッコよかったですね。衣装までも斜め線入りなのは凝りすぎのような気もしましたが……。ああ、とにかく衣装はトンチキなものがなく、すべてよかったな……。まあ、フランス革命期の衣装はたっぷりと倉庫にありそうですからね。宝塚は。ほんとうに、衣装や装置のセンスがいいってことは重要です。
 
 ヒロインのマリー=アンヌがオリキャラで、まあオリキャラらしい大胆な設定。自我がしっかりある自立した女性で、ある意味、あの時代にはなかなかあり得ないキャラかもしれませんが、それゆえ、観客席と舞台をつなぐ役割を果たしていた、と言えるのかもしれません。ああいうトリッキー(っていうのかな)なオリキャラがあることで、ただの史実が物語として転がっていく、と言いましょうか。
 
 個人的には生田作品って、例えば、別箱の「春の雪」と「ドン・ジュアン」は大好きだったけど、大劇場はあんまり好きな作品がなかったんですよね……。「ラスト・タイクーン」も「Shakespeare」もdespair。この前の「グランドホテル」は、再演だし共同演出だからちょっと除外ということで。
 さらにいうと別箱でも、「伯爵令嬢」はそれほど好みではなかったな…(そのほかの別箱は生で観劇していないんです。映像もちゃんと通しては見ていないかな)。つまりわりと好き嫌いが出ちゃう演出家だったんですね、これまでは。
 ですが、この「ひかるふる路」はかなり良かったです。ワイルドホーンの音楽と技術点の高い主演コンビに助けられたところはあると思うけど、それだけでなく、いや、それも含めて、かな。完成度高かったですー。なんとなく私のなかで、生田先生の星が一個いや二個ぐらい増えた気分(満点は星いくつとか突っ込まないでください)。これからますます楽しみになってきましたー。

January 11, 2018

クリフォード先生ったら好青年!

花組 宝塚大劇場公演「ポーの一族」-03

 いよいよ、3回目にしてたどりつきました。ちなつ(鳳月杏)クリフォード。この役について語るのはちょっと難しい。「まわしげりかっこいい!」などというファン目線の一方で、宝塚版ポーの一族でのクリフォードの意味は? ということも考えてしまったりしたので……。

 ネタバレします。

 クリフォードは医師で、原作にも出てきています。シーラを誘惑しようとして彼女の正体に気づき、致命傷を負わせ、メリーベルを銃で撃ち、最後はエドガーにその銃で……という役。バンパネラ一族に対し、人間ども(笑)代表。
 ポーツネル一家とアラン・トワイライトに次ぐ重要キャラかな?
 で、原作と比べてちょっとキャラが変わってます。
 この改変がね……。出番も増えていて、うれしいことはうれしいのですが……。
 宝塚オリジナル場面「婚約披露パーティ」なるものがありまして。黒燕尾を着てお相手である恩師カスター先生の娘ジェイン(桜咲彩花)と登場、友人たちのアーチを照れながらくぐるちなべー。すごいもの見せていただきました。で、親友バイクの突撃インタビューを受けて、“一目ぼれソング”を歌わされる。これが……なんかさわやかなんですけど。ファンとしてはまさかの赤面シーン、いや、大変微笑ましいシーン(笑)。
 さらに、そのあとシーラとダンスするのだけど、そのときのクリフォード、ウブです。青い……。恥ずかしそうに「この町を出たことない」とか言ってみたりして、シーラに「都会の遊びを教えてあげるわ」なんて言われる。うわー、そうなの? 都会から来た年上の女性に翻弄される純朴青年ってことなの? 「ぼくらでもいいんですか」とか言っちゃって(台詞は記憶のみで書いていますが、実はこのときの「ぼくら」も引っかかる。あくまでジェインと一緒、ダブルデート想定なの? でもここでは2人ともそんなこと考えてないでしょー。誰も聞いていない2人だけの会話なのに、という…)なんか恥じらう少女のようです(笑)。
 とにかく、シーラは婚約者のジェインのことも気に入り(「気に入りましたわ」×2)、クリフォードとジェインの二人は、ポーツネル男爵とシーラの「新しい仲間」候補に。で、シーラは、クリフォードを狩りに行く。

 →うーん、このときにシーラは「狩りに」というけど、彼らは仲間にしようとしているんだよね。それで「狩り」というのもちょっと変なような気も。

 でもって、2人はたいそう立派な(笑)「海辺の小屋」で雨宿り。で、シーラがクリフォードに迫る。このラブシーンは原作をほぼ踏襲ですが、ファンとしては小池先生にひたすら感謝の大人っぽい名場面です(ほんとありがとうございます!)。えーと、「粋なキスもできない」(もちろん宝塚オリジナルの台詞)は、ここでいうんでしたっけ? そして、抱擁の最中にクリフォードがあることに気づき……あとは怒涛の展開でラストまで突っ走ります。
 しかし、この怒涛の展開になる前にいまいちど戻って考えると、この宝塚版“さわやかクリフォード”は原作の「モテモテ」設定も踏襲しているため、やや謎のキャラになってしまっているのではないでしょうか。診察室で患者とキス、アランの従妹マーゴットに「3回もキス」しているようなプレイボーイには見えない……(追記:もしかして「キス3回」は、マーゴットの嘘? 患者とのキスシーンはありますが、マーゴットとの方は彼女が語るだけなんで。まぁ、確かに回数は水増ししているかもね。そして原作のクリフォード 先生なら、2回か3回か知らないけど、マーゴットが迫ればホイホイしてくれそうに見えますが、このクリフォード はもしかしたらマーゴットにはしていないかも、と思わせるところがありますね)。ちょっと分裂気味です。キャラが。
 原作のクリフォードは、見かねたバイク(原作では地味で真面目そうな男性)に、「おまえはジェインさんの気持ちを考えたことがあるのか!」と説教されても、「ジェインは美人じゃないがよき妻になるだろう。だが恋人むきじゃない。ロマンスは自分で探す」となんていうことをしゃあしゃあと言う、なかなかヒドイ男なんですが、こういうところはタカラヅカ的にマズイと思ったのかな……。うーん。
「ポーの一族」宝塚化に際しての重要な改変の一つが、シーラと男爵のラブサブ度アップです。シーラはバンパネラになることで、普通の幸せは得られない代わりに、永遠の愛を手に入れる。バンパネラは「何のために生きているのか」とクリフォードに言われているけれど、愛のため、に生きているのがこの二人。二人の純愛が強調されることで、薄汚れている人間ども(笑)と、愛に生きる(純粋な)バンパネラ、という対比がくっきりするんですよね。「愛」を謳う宝塚としてこの改変は効果的です。男爵とシーラの最期は原作とは変えてありますが、それも愛を強調する方向なんで、いい効果を生んでいますよね。
 この対比で考えると、クリフォードは、バンパネラに対峙する人間側の代表なんだから、原作どおり、プレイボーイで野心家のほうがよかったのではないかな、と私は思いました。単純で、計算ずくというか。ある意味人間くさい。
 ファンとしては、婚約披露パーティやら診察シーンの謎の歌台詞(笑)とか、出番や見せ場が多くてうれしいのは確かなんですが、そういう新場面のせいで、なんか、クリフォードという人物の性格がはっきりしていないような気がして(タカラヅカスカイステージのナウオンステージで本人が言及していたのはそういうことでは?)、ややもやもや…しています。これから芝居が変化していくのでしょうか。しかし、あの婚約披露パーティがある以上、好青年設定は大きく変わりそうにないし……。うーん。
 まあ、あまり贅沢を言ってはいけないかもしれません。某邪馬台国の兵の長と比べれば、断然こっちのほうが出番も多いし、歌もあるし、かっこいいし……。多少分裂気味といっても、キャラは立っていますから。
 そもそも今回のフィナーレだって、通常なら2番手がやる銀橋を、3人(あとの2人は仙名彩世と瀬戸かずや)で渡るうちの1人だし、パレードでもべーちゃん(桜咲彩花)とセンター降り。舞台上で並んでいる時の立ち位置も、さらに内側に入ってきていて、本当に、「あんなにセンター近くにいるなんて……」と感慨深いものがありました(毎公演そう言っているような気もするけど。まあうれしいんで言わせてください)。
 組内の序列でいうと、芹香斗亜の組替えのあと、柚香光が2番手に繰り上がり、そのあとは、どうもはっきりした路線3番手ではないようだけど(このへんはこの公演というよりタカスぺの扱いなどによれば)、瀬戸かずや、そして鳳月杏、水美舞斗が続くという順番は変わっていないので、いちおうそれぞれ少しずつ扱いは上がったこの公演。ついに、スカステのナウオンステージに鳳月杏と水美舞斗が出ることになりましたしね(個人的にはこのちなつちゃんナウオンステージ入りも本当に感慨深い)。
 しかし、この明日海、柚香、(ちょっと空いて)瀬戸、鳳月、水美というトップから5番目までの花組男役のラインはこれからどうなってくのでしょうね。
 誰か組替えで入ってくるのか(この5人のうち誰かが組替えで出ていくことはないかなと思いますが)、退団か、あるいは抜擢……。何が一番先に起きるかな……。
 ご存じのように、三回目ぐらいの「劇団よ、鳳月杏をどうしようというのだ」事件も起きていまして(5月の博多座役替わりのことです)、ファンとしてはすごく楽しみではあるものの、幸せすぎて怖いというか、その先のことも考えていろいろ気をもんでしまったりしているのです。

January 07, 2018

「ポーの一族」のヒロインは誰?

花組 宝塚大劇場公演「ポーの一族」-02

 少し冷却期間を置いたら落ち着いてきました(笑)。
 
 では、キャスト別。明日海りおと柚香光は前の項でやったのでゆきちゃんシーラから。
 
仙名彩世(シーラ)……「ポーの一族」を宝塚化するときの課題の一つがヒロインをどうするか、ということだったでしょう。エドガーは女性とはっきりとは恋愛しない。恋愛対象じゃないけれど大きな存在として妹のメリーベルがいるけれど、現花組トップ娘役の彼女はメリーベル役者ではない。通常だとここで彼女にメリーベルをやらせたり、ヒロインの役を原作と大きく変えたりする可能性があったと思います。しかし、そこは「原作」の力か、小池先生の力か、彼女をエドガーの若い養母シーラにした(これについては小池先生も制作発表か何かで説明していますよね。もし、もっと下級生の娘役トップだったらメリーベルということもあったかもしれない。しかし今の花組にはこれがいいと思った、と)。これは結果的には成功していたと思いました。シーラはヒロインではなかったけれど、メリーベルがヒロインと言えるかというとそういう感じでもなく……。ヒロイン不在で重要な女性キャストがシーラとメリーベル、ということだと私は理解しました(で、「相手役」はアランかな。特にBLとかそういう目でみなくても。ラストシーンはエドガーとアランだし)。
 もちろん、原作よりはシーラの比重は上がっていたと思います。歌もたっぷりあって。おかげでバンパネラの偏見をかわしながら生きていく、ポーツネル男爵一家の運命共同体感が強調されていましたね。ゆきちゃんドレスがどれも大変似合ってました。特にデコルテが美しい……。観客全ジェイン状態じゃないですかね(「美しい方。私なんて……」)。演技でいうと、バンパネラとなってからのちょっと達観したようなところが特によかったですね。ああいう年上お姉さまはほんと上手い。特に原作でも大変詩が印象的だった「ゆうるりと」の歌のところがよくて、堪能いたしました(あそこ大変重要なシーンだし)。個人的にいうと、ちょいちょい表情が豊かすぎ(特に笑顔)と思うことがあって、もう少し表情を抑え気味にしたほうがいいと思うのですが、いかがでしょう。特に若い頃は、後半と差を出しているんだと思うけど、貴族の娘なんだから(あれ、違いましたっけ?)、もう少しお澄まし顔でもよいのではないかと思いました。まあ、私はオペラグラスでのぞいた印象を語っていますが、オペラグラスを使っていない人、2階の後ろの席にまで届くように演技するわけだから、多少大げさなほうがいいのかもしれませんが。 
 後半、クリフォードを「狩りに」いくところなんて強そうで美しくてサイコーでした(笑)。バンパネラの世界を成立させるという意味で貢献度すごく高いと思います。宝塚の文法的には異例の配役かもしれませんが、作品を見た後では彼女がシーラでよかった、という気持ちになるかたは多いのでは? 私個人はもともとトップコンビはガチで恋愛していなくてもいいほうなんで、この配役は、彼女の魅力が出ていて問題なしです。でもって、フィナーレではちゃんとデュエットダンスの相手役もしているしね。このデュエットダンスが仙名彩世シフトなのか、アダルトなナンバーでしかも彼女の振りが力強くて、かっこいい。腕から背中の筋肉を堪能できます。いや、当て書きならぬ当て振り?
 
長っ!!! まあ、ここは仙名彩世を語るというより、トップ娘役のイレギュラーな役付を語ってしまいましたね。
 
瀬戸かずや(ポーツネル男爵)……というわけで、シーラの比重が上がったからこちらの比重も上がっていた模様。スタイルがよく眼福です。ゆきちゃんシーラ、みりお君エドガー、華メリーベルと4人でホテルの階段に登場したときは、まさに絵のようでした。あと、今回「あきら、ええやん」と思ったのは、「ゆうるりと」のところ、最初ゆきちゃんが歌っていてそのあとあきら君が参加するのですが、正直、「あきらの歌をいいと思う日がくるとは……」ぐらいよかったです。
 
華優希(メリーベル)……で、注目のメリーベルは新進娘役の華優希。「はいからさんが通る」の紅緒もやって、今回は本公演メインキャスト入り。イケイケ(死語)ですね。さすがの上手さでした(彼女の演技力を高く評価しております)。ただ、「はいからさん」と比べると、今回は、ちょっと元気が良すぎる印象を持ちました。メリーベルって、もうちょい線が細くて高貴ではかない子だと思うので。とはいえ、今の花組で誰ができたかというと……。彼女よりも「少女感」をうまく出せた生徒はそうはいないと思います。いや、オーディションに立ち会ったわけでもないし、わかりませんけどね。あ、でも舞空瞳ちゃんは雰囲気的にはけっこう似合うかな、とも思うので(しかし芝居力については未知数なのでなんとも……。「ハンナのお花屋さん」のハンナは悪くなかったけど、割とよくある若い娘演技でよい役だったから)、新公見てみたいものですが……。
 フィナーレは役の比重ということで、若手3人(水美、綺城、飛龍)、ちなべー(鳳月、桜咲)のあと、なんとお父様あきら(瀬戸)と2人降り。ここだけは役の大きさを反映していたけど、プログラムの写真は六分の一サイズ(役としての写真)の一番最後で、ヅカを知らない人は戸惑うだろうな、と。ま、写真の扱いは通常運転(いや、もちろん彼女にとっては写真サイズが大きくなり、前のページに出て、役名も入って、ということでめでたいと思いますが)で、「神々の土地」の伶美うらら様のときほど不親切とは言えないかもしれませんが(あれはほんととヒドイ)。
 
い、いかん……。これだと終わらないですね。うーん、ではちょっと書き方を変えて……。
 
「さすが実力者!活躍してました」の人たち。
 
天真みちる(ビル/ハロルド)……もちろん上手いことは前から知っている。しかし、今回、割と容赦なく(いや、その言葉の使い方間違っているし)使われていました。小池先生、万全を期してきましたね、という感じ。圧巻はスコッティの村のシーンでしょう(このときはビルかな?)彼女がセンターとって結構長い間歌ってます。「これがミュージカルってもんだ! 宝塚はかわいこちゃんだけじゃない。ちゃんと『ミュージカル』できる役者だっているんだぞー」というメッセージががんがん伝わってきましたね。しかもそれをアシストするのが、びっくこと羽立光来!花組きっての実力派おっさん役者しかも歌うまの二人が揃えばもう怖いものなしです(笑)。
 
和海しょう(ドン・マーシャル/アボット支配人)……ドン・マーシャルは冒頭出てきて、ストーリーテラー的役割を果たすのですが、このときのしいちゃんの声がよく通ってね……。やはりストーリーテラー的には人はセリフが明瞭じゃないとね、と思わせます。と思ったら、オリキャラのホテル支配人でも登場。ストーリーテラーが二役ってどうよ、と思うのですが、この支配人の歌やセリフがまたいい。場を締めていました。彼女は本当に花組に欠かせないイケメン系実力者。何度も書いている気がするけど、二枚目キャラなんで、新公主演してもよかったと思いますが……。
 
芽吹幸奈(マダム・ブラヴァツキー)……オリキャラの降霊術師が出る、と聞いただけで、見る前は不安しかありませんでしが、この降霊術チームは割にうまく本編にハマってました(小池作品のオリキャラと聞けばそりゃ、不安でしょう)。その中心人物がゆきちゃん演じるミセス・ブラヴァツキーです。大げさでいかがわしい演技、そして歌唱力!彼女のソロのところでは毎回拍手したくなる(笑)。アイメイク(特に目の下のライン)もスゴイなと思って見ていたのですが、初日の宝塚ニュース見たらそうでもなく、途中で濃くしたのか!と。いろいろ試行錯誤中なのかも。
 
ではこの項はここまで。
 
ちなつクリフォードは別項で(そればっか書いてる)

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